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【栃木】

京大・小出裕章助教 田中正造と自身の経験重ね 佐野で講演会

用意された田中正造の写真を横に熱っぽく話す小出裕章さん=佐野市文化会館で

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 足尾鉱毒事件に半生をささげた政治家田中正造(一八四一〜一九一三年)を広く知らせる催し「アースデイ田中正造」が二十九日、出身地の佐野市文化会館で開かれた。京都大原子炉実験所助教で、原発の危険性を訴え続けている小出裕章さん(63)が、「正造さんと原子力」と題して講演した。 (稲垣太郎)

 来年の正造没後百年を前に、市民レベルで正造を顕彰しようと結成した「田中正造没後百年記念事業を進める会」が主催。正造を「最も敬愛する」という小出さんを講師に招いた。

 小出さんは水俣病などの四大公害が起きたころに大学に通い、「それよりずっと前の日本に公害と呼ばれるようなものがあったことを知った」と足尾鉱毒事件や正造との「出会い」を語った。

 「正造さんが生きていた時代に原子力はなかったが、私はずっと原子力の場で生きてきた。いつも私の心の支えになってくれたのが正造さんでした」。鉱毒被害と果敢に戦った正造と、原子力の危険性と常に隣り合わせで生きてきた自身を重ね合わせた。

 東京電力福島第一原発事故にも触れ、国が放射能や放射線などに関する「法律を守れなくなり、自分(国家)が決めた法律の一切をほごにした」と指摘。「正造さんが生きていた時代もひどい国だったが、これほどひどい国だとあらためて思った」と述べた。

 正造の「真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず」の言葉を挙げ、「正造さんの教えが今、私たちを導いてくれる最大のよりどころになっていると思う」と締めくくった。

 放射線から子どもを守るため福島県白河市から佐野市に移り住んだという主婦(37)は、「すごく分かりやすく田中正造さんのことや原発事故の被害のことを話してくれた。正造さんのことを学ぶ必要があると思った」と話した。

 

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