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'12/9/30

広島県が検査で残高確認怠る



 広島市遺族会(約1300人)の基本財産6千万円の大半の行方が分からなくなっている問題で、財団法人を監督する広島県が昨年末にした立ち入り検査で基本財産の残高確認を怠っていたことが29日、分かった。県社会援護課は「適切ではなかった」としている。

 同会は県の規則で年1回、収支などの実績を県に報告し、2年に1回、県の立ち入り検査を受けることを義務付けられている。

 同課は昨年12月、同会を立ち入り検査。その際、県が定めた事務処理手続きに反し、基本財産の残高を銀行口座の通帳と照らし合わせて確認しなかった。

 問題への関与を認めている70代の女性事務員から「基本財産に変更はない。大切な通帳ですぐ持ち出せない」と説明を受け、信じたという。「検査事項が大量で時間に限りがあった」と釈明する。

 同会によると事務員は1990年から勤務し、会計事務を一任されていた。昨年9月に就任した山田義春会長が帳簿の提出を求めたところ、拒み続けたという。内部調査で、複数の口座に分けていた基本財産が2005年2月〜10年12月、理事会の議決や県の承認なしに全て取り崩されていたことが判明した。

 一方、同会は29日、中区で臨時役員会を開催した。山田会長が経緯を説明し、陳謝。役員会から今後の運営に不安を訴える声が相次いだという。終了後、会見した山田会長は「会をつぶすわけにいかない。一日も早く実態を明らかにしたい」と述べた。不明額を把握した上で県警に被害届を出す方針という。

【写真説明】基本財産の大半が行方不明になった問題について記者会見で陳謝する山田会長(手前)




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