荒瀬ダム:熊本で撤去工事始まる
毎日新聞 2012年09月01日 10時55分(最終更新 09月01日 12時01分)
河川法で定義されたダム(高さ15メートル以上)では全国初となる熊本県営荒瀬ダム(同県八代市)の撤去工事が1日始まった。18年3月まで6年かけて撤去する。事業費は約88億円で、うち19億円の国負担を見込む。県はダムがある球磨川の清流復活を目指し、上下流9地点を中心に環境モニタリング調査も行う。
撤去は、ダム湖にヘドロがたまり、悪臭などの環境が悪化したため地元が要請した。作業は1日午前8時、地域の生活道路でもあったダム管理橋の封鎖で始まった。施工業者の現場責任者の合図で、作業員が鉄パイプの柵を管理橋の両端に並べた。当面は資材置き場の整備など本格着工に備えた準備工事が続く。
現場には清流復活を求め、長年ダム撤去を要望してきた地元住民らも訪れた。02年、合併前の旧坂本村議会に地元の請願を提出した元村議、元村順宣(よしのぶ)さん(75)は管理橋の欄干に酒をかけて別れを告げた。「発電用ダムとして県の発展に寄与してくれたのも事実。ありがとうと伝えた。工事が無事終わって昔の美しい川が戻ったらうれしい」と話した。【取違剛】