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おやじスカラー戸田便り

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2011-03-14 巨大地震と荒川津波影響

oyajisculler2011-03-14

3月11日の東北関東大震災、まだまだ被害・影響は続いている。おやじは平塚に住んでいるが、今日は東電の計画停電の影響でJR東海道線が終日運休となり、また、小田急も経堂以西が運休となってしまい、出勤できず。終日自宅で待機した。

平塚も計画停電の予定があり、スーパーは停電時にレジが止まってしまうので停電前に女房が近くの西友へ食料品を買い出しに行ったところ、米が全くなく買うことが出来なかったとのこと。そうか、皆が米不足を心配して買いまくっている訳だ。ガソリンも同じ状況。米については政府の備蓄が十二分にある筈であり、一時的な流通の問題による末端店舗での不足であり、スーパーでの米不足は近々解消されると思う。

我が家は5人家族であり、手元に米が殆どなかったので困った。平塚は実は神奈川県でも有数の米の産地。農協は製精米前の米を倉庫に保管しており、自前の精米機で精米して直売している。早速、農協のショップへ行ったところ、米を購入することが出来た。平塚は良い所だ。

さて、余計な話が長くなったが、今回の巨大地震による荒川への津波影響について調べた内容を紹介する。

巨大地震と荒川津波影響:

今回の地震は宮城県沖の太平洋海底を震源とする地震であり、房総半島や三浦半島でガードされた東京湾への津波影響は、津波に直接曝された銚子や外房に比べると小さかったと思う。荒川はその東京湾の一番奥に位置し、我々が普段乗艇している戸田橋付近は、河口から25?も内陸にあり津波の影響は、日常の暮らしに影響を与える程のものでは無かったと思う。

一方、我々は水面に浮かんだボートを漕ぐスポーツであり、水面のチョットした異常でも大きな影響を受ける。そういう意味で、今回の巨大地震後の津波の影響がどの程度であったのかについて調べる必要があると考えた。

地球の反対側、チリで発生した津波が日本の沿岸に達し、河川に入り込んで、有名はアマゾン川のポロロッカの如く(ミニチュア版)内陸へ向かって逆流するというビデオ映像をTV放映で見たことがある。

恐らく、今回の巨大地震の津波で、荒川でもこれに似た現象が発生していた筈である。本来なら3月12日の地震発生後に戸田の荒川へ行き、その現象を目撃したかった訳だが、当日は鉄道は全線ストップ。おやじは品川の本社ビルで一夜を明かすことになった訳であり、そんな事をする余裕は全くなかった。

でも大都市東京にある一級河川荒川、国土交通省の荒川下流河川事務所のサイト「ARA」や国交省の河川データサイトで、荒川の水位水温などの様々なデータを閲覧することが出来る。

さて、今回注目したのは、津波影響のデータをダイレクトに示す水位変化である。下流河川事務所のサイトで荒川の各ポイントでの推移変動をグラフで閲覧できるが、昨日チェックしたのは笹目橋での水位変動グラフ。下のグラフは昨日コピーした地震発生時前後二日間の笹目橋の水位変動グラフ。(水色の線)

f:id:oyajisculler:20110314042053p:image

地震発生の約3時間後の18時頃から、その直前まで滑らかなS時カーブを描いていた荒川の水位が短時間(1時間?)の周波数でギザギザに変動しているのが分かる。これは正しく津波影響と思う。この津波影響、良く見ると第一波が来てから24時間程度、影響が残っていた模様。この小さなグラフでは良く読み取れないので、別のサイトで10分刻みの水位データが公開されたサイトから、地震発生前後のデータをダウンロードし、グラフ表記してみた。下のグラフがそれ。

f:id:oyajisculler:20110314223335j:image

上のグラフに、おやじの気付き事項をコメント付記したが、この津波(ポロロッカのミニチュア版)影響は、周期が60分で、波のピークとボトムの差(振れ幅)が最大で70cm程度。良く見ると水位上昇は短時間で、水位下降はややユックリとなっている。正しく津波と同じである。特徴的なのは、この短周期の水位変動が丸一日(24時間)続いているという事だ。恐らく、東京湾に入り込んだ津波が湾内に入った後、出口が狭いので周囲の岸に反射して、丸一日東京湾の中で水面振動として残っていたのだろう。それが荒川の水位にも影響していたと考えられる。丸三日経った今日の荒川水位グラフを見ると、漸くこの津波影響のギザギザの水位変化が消えつつある。

津波到達後、24時間は荒川に出艇するな:

今回の調査を踏まえ、一つ言えるのは、「大きな津波が東京湾に入った場合、少なくとも24時間は、その影響が水面振動として残る」という事。従い、津波後、少なくとも24時間は荒川に出艇すべきでない。安全を期すのであれば2日間は影響があるので、荒川への出艇は控えるべきという事。

まあ、上記の笹目水位グラフを見れば、津波影響が残っているかどうか、一目で分かるので、これをチェックすれば良い。

今回の東北関東巨大地震の特徴:

今回の巨大地震の特徴として、3つ挙げらえると思う。

  1. 揺れ方が、横揺れ。
  2. 揺れ方向は南北方向であった。
  3. 揺れの持続時間が長かった。

地震当時に品川の本社ビルの18階にいた。オフィスには、引出式のキャビネットが数か所に置いてあったが、倒れたのは、引出が南北方向に向いているキャビネットのみ倒れ、東西方向に向いていた引出式キャビネは倒れなかった事。また、横スライド式の書棚があるが、おやじのオフィスは、この横スライドのレールが南北方向であり、書棚が大きく南北に滑ってスライドしていたのを目撃した。

また、おやじの自宅では、殆ど地震の被害は無かったのだが、唯一の被害は、子供部屋の棚が南方向を向いており、ここに陳列してあった子供のガンダム模型が机上に落ちたこと。

以上により、今回の地震は南北方向の横揺れ型の地震であったと思われる。

また、地震の余波時に戸田コースの水面に発生した波を見たというJ2のT塚氏の証言に拠れば、地震で発生した波は横波(南北方向)であり、発生した波が両岸に”タップン”と乗り上げたとの事。もしこれが戸田コースの縦方向である東西に揺れる地震だったら、揺れによる波はコース方向を走る大きな波となり、それこそ津波のような形でスタート地点の施設や、国立艇庫の船台を襲い、施設に甚大な被害を与えていた可能性がある。

尚、戸田の各大学艇庫では、艇が落下するなどの被害はあまり無かった様だが、良く考えると戸田の艇庫軍は南北方向に建てられているモノが殆ど。即ち艇は南北方向に保管されており、南北方向の揺れに対しては安定した形で保管されていたので、被害があまり無かったのではなかろうか?もしこれが、東西方向の揺れだったら、アームから落ちた艇が多かったかも知れない。

待てよ、国立艇庫は東西方向の向きに建てられているので、南北方向の揺れに対しては、弱いはず。でも大きな被害が出たとは聞いていない。。。この程度の横揺れでは艇はアームから落ちないという事か???

以上

shinashina 2011/03/15 06:04 鶴見川漕艇場は西向きに立っており、艇は西方向を向いて保管しています。アーム(伸縮)は南北方向です。
今回の地震によるゆれで、いくつかのアームは半分くらいまで出てきました。ほとんど動かなかったアームが半分以上でした。
鶴見ではブーム長が30mのクレーンがあります。クレーンの先端は振幅5m以上ゆれました。
ゆれのあったときに、川面には両岸を往復する波が立ちました。艇庫の前では、鶴見川は南に流れています。
5時半頃からは、津波が観察されました。上流に向かって、人が歩くよりも若干速い速度(5km/H程度)で水が流れていき、1m位の水位変動が続きました。周期は1時kん暗いのようでした。逆流は翌日も観察されました。

おやじ本人おやじ本人 2011/03/15 12:35 shinaさん、コメント有難うございます。
shinaさんは鶴見川でボートを漕いでいるんですね。
鶴見川でも荒川とほぼ同じ津波影響があったとの事。情報ありがとうございます。上流に向う波の周期が1時間と、上記の荒川の波周期と合致していますね。まあ当たり前のことですが、この波の元は荒川も鶴見川も同じ東京湾ですので、津波で揺らされた東京湾水面の固有振動数が約1時間という事が分かりました。
「逆流は翌日も観察された」との事ですが、荒川の笹目水位グラフでも3月12日の8:00AM頃と15:00PM頃に余波と思われる波が発生しています。余波でも30〜50cm程度の水位差があるので、シェル艇ではひとたまりもありませんね。
やはり、津波発生後、少なくとも2日は様子を見た方が良さそうです。自然の猛威は恐ろしいものです。
それと艇庫アームの伸縮スライドですが、普段からキチンとロックしておかねばなりませんね。三菱艇庫など、スライドアームにロック機構が無いものもある様ですが。。。

シドニー小林シドニー小林 2011/03/15 15:10 三菱艇庫は(言うまでもなく)東大その他の戸田艇庫と同じ向きに艇を保管しており、やはり艇の落下はありませんでした。ただ、アームが大きくせり出して(スライドして)いたものがあったことを申し添えます。

shinashina 2011/03/15 18:13 鶴見川で観察された津波は流速が速いだけで、普段の干満による流れと違いはありません。ただ、引き波のときにはごみが多く流れてきました。テレビで見るような渦巻く流れではありません。これは昨年のチリ地震津波のときも同じでした。
ローマオリンピックのとき(50年前)は、松島湾で練習していた8+クルーがチリ地震津波にあったそうです。強い引き波に逆らって漕ぎ、艇庫に戻ってから大きな津波の被害を受けたそうです。波頭のゆるやかな津波の場合は、ポロロッカのようにはならず、ボートを漕いでいる人は気づかない事もありそうです。
 艇庫の伸縮アームは、固定していなかったために艇がアームから落ちなかったと考える事も出来ます。最近建築業界で知られている免震構造になったと思います。アームをロックする場合は、艇とアームを固縛したほうがよいと思います。固定がよいか否かは悩ましいところです。

シドニー小林シドニー小林 2011/03/15 19:49 shinaさん
私も伸縮アームが落下を防いだのかもしれないと思いました。また、一方で、スライドしなかった(固定された)アームからも落下は無かったので、判断できないでおります。理論的にどうなのか、興味あるところです。

shinashina 2011/03/16 06:56 アームに載せてある艇には、静止摩擦力 F1=μN(F:力、m:艇の質量、μ:静止摩擦係数、N:艇の鉛直方向の加重)が働いて横方向のずれを妨げています。
地震の横揺れでは、F2=mα (F:力、m:艇の質量、α:地震の横方向加速度)が横方向に働きます。
F1<F2となった場合には艇はアーム上を滑って移動します。
単位系についての私の理解が不十分なので数値計算は省きますが、地震の加速度と振幅が大きい場合には艇はアームのストッパーにぶつかってガンネル破損、あるいは落下します。
このように考えると、アームはロックしないほうが安心のように思います。

川流れ川流れ 2011/03/16 11:09 ロックするのでなく
自転車用のゴムでアームを軽く押さえる等々の方法はどうでしょうか。
最善はアームと艇をゴムで縛るのが良さそうですが?

shinashina 2011/03/17 07:20 計算式を見直しました。
静止摩擦力 F1=μmg(F1:力、m:艇の質量、μ:静止摩擦係数、g:重力加速度
地震による力 F2=mα (F2:力、m:艇の質量、α:地震の横方向加速度)
αは重力加速度の倍数で公表される事が多いので、f2は次のように書ける。
f2=mAg  A:受信の水平方向加速度の重力加速度に対する倍数
このことにより、F1とF2の関係式は下記のようになる。
F1=μmg>F2=mAg  
 従い、μ>A ならば 摩擦力のほうが勝って、艇はアーム上を滑らない。

小生が関係していた分野では、地震の水平方向加速度は0.3倍を使っていました。摩擦係数は0.5位が普通のようですので普通ならばすべらないという結果です。
ですが、アームを支柱にロックしてある場合、ロックにガタがありますので、ガタにぶつかったときのショック(加速度)が大きいですので、艇はアーム上を少し滑る事になると思います。
このように考えると、アームは支柱にロックしないほうがよいと思います。

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プロフィール

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14年間のコーチ経験を経て、漕手に復帰した「おやじスカラー」

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