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おやじスカラー戸田便り

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2006-11-10 新人の艇整備講習会

oyajisculler2006-11-10

T大新人を対象とした艇整備講習会を実施。6月に一度リギング講習会を行っているので、今日はそのオサライを兼ねた内容。

本日の教材:

講習会の教材は、1995年購入のイタリアFilippi製エイト艇とオール。何れも新造後10年以上経過しており、消耗品パーツはガタが来ている。今日は特に痛みが激しいパーツの交換とリギング調整の確認を実施した。

オールのリギング:

オールのリギング計測値は下記3点:

  1. オールの全長(シャフトのセンターラインで計る)
  2. インボード長
  3. ブレードピッチの計測

上記3項目について、再度計測しなおした。1. 2.に関しては問題なかったが、3.については前回計測のピッチから角度が変わっていたオールが2本ほどあった。オールはスリーブが磨り減ったり、シャフトが捩れたりしてピッチが変化することがあるので、最低半年に一度は確認しておく必要あり。

オールのブレードピッチに合わせてクラッチブッシュ調整:

上記のブレードピッチが変わった2本については、クラッチブッシュを交換して合計5度になる様に調整した。

ストレッチャー周りの部品交換:

最新のF社艇はE社など他のボートビルダーと同じシンプルなストレッチャーシステムになっている。しかし、今回対象とした古い艇のF社旧式タイプは調整が非常に面倒。ストレッチャーの前後位置(PTH)を乗艇中に変更するのは、事実上不可能に近い。ハッキリ言ってCrazyだ。(だから新しい艇は普通のシンプルなタイプにしたんだろうが。。。)Heel Depth一つ変えようとすると気が遠くなるほど面倒な調整が必要となる。今回はボロボロになった靴の交換とストレッチャーボード固定金具(ボードと横棒を繋ぐ金具)の交換を実施した。結局の所、本日のところは最終調整までには至らず、明日以降への持ち越しとなった。

ワークハイトとオール振り角のマーキング:

ワークハイトを計測したところ、設定標準値よりハイトが高めに設定されているので、標準値に戻した。また、オールの振り角がマーキングされていないので、取りあえず、Min.レンジとしてキャッチ50度、フィニッシュ角30度の部分にマーキングした。

不良バックステーの交換:

上記の作業中にバックステーの状況をチェックして廻ったが、伸縮部のオーバーラップが足りず、伸縮部の強度が足りないものが1本あった。使い古しのバックステーの中から適当なものを探し出して交換した。T大は大きなクラブで艇を沢山所有しており、バックステーの中古品も沢山ある。しかし、雑然と置いてあるだけなので、今回の様な時には宝探し状態となり、結構時間が掛かる。特にモノを良く知らない新人は、的外れなモノを持ってきたりして、何だかんだ30分程宝探し。結局新人では探しきれず、結局おやじが見に行き、適当な中古品を見つけ、頭のボルト穴径をドリルで再加工して取り付けた。こういった作業は、経験不足の、T大学生には難しいのかもしれない。。。。

f:id:oyajisculler:20061111101658j:image

エイトの担ぎ方、水面への浮かべ方:

最近の後輩クルー(若手コーチも含む)を見ているると、T大伝統の艇の担ぎ方や艇の水面への置き方のノウハウが殆ど伝承されていない様だ。丁度良い機会でもあり、基本的な部分について解説を交えて要領を教示した。要点を箇条書きすると:

  1. エイトを担ぐ時は、Bow方向を見ながら担いだ時に自分の前にリガーが来る様にする。こうするとピンの開閉めの際に直ぐに手が届く。(4番はCOXが担当)また、一番前と一番後ろの担ぎ手が同じサイドとなり陸送中に艇があまり横揺れせずに安定する。(荒川への陸送は長い距離を移動するので重要なポイント)尚、ピンの開け閉めは水上では行わず、担いだ状態で水に下ろす直前や水から上げた直後に行うこと。船台を皆で共有しているので、艇を横付けした時間を短縮するのがエチケットでもあり、自らも時間短縮になる。(最近、ボート人口が減って、こういった配慮が文化として消えるのは寂しい限りだ)
  2. 船台の角に船底を擦らぬ様に船体を船台から離して浮かべる:エイトは中央部の船幅が非常に大きいので、両手共にガンネルを持つと艇を浮かべる際に船底を船台に擦りやすい。昔の木造艇はガンネル間を横に渡すブリッジという横棒があり、揚げ降ろしの際はここを持って船台から離すようにして浮かべていた。今のFRP艇にはブリッジがないので、代わりに片手をストレッチャーバーを持ち、船台から離して置く配慮が必要である。これを知らずに船底を船台に当てて、擦り傷を付けた艇が多い。
  3. 荒川でエイトを蹴り出す際には、水深40cm以上(膝小僧の下)を確保する。:艇の型式にも拠るが、昨日、Filippiのエイト艇のフィンの深さを計測したところ、喫水線から32cmの深さがあった。Empacher艇はもう少しフィンが長めなので35cm程度あるのかも知れない。従い、蹴り出す際には最低40cmの水深を確保しておく必要がある。(昔は膝まで水に浸かれと教育されていた)時々、荒川で蹴り出す際にフィンを曲げたという話を聞くが単なる無知の為す業であり、今後は40cm以上を肝に銘じて欲しい。

上記を簡単に図化してみた。

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本日はこれまで。

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プロフィール

oyajisculler

oyajisculler はてなダイアリープラス利用中

14年間のコーチ経験を経て、漕手に復帰した「おやじスカラー」

<お願い> このWebLogには、漕法及び漕艇用具の考察をする上で、理解しやすい様に写真等を掲載しています。この中にはFISAのHP等からダウンロードしたFISA関係者の個人が著作権を有するものがありますので、他に転用したりしない様にお願いします。
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