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今年のThe Boat RaceもOxfordが勝った。強風下、かなりのラフコンでのレースだった様だ。ラフコンに上手く対処するには、漕ぎ手の対応能力の巧拙が大きいが、艇・リガー選択の占める割合も大きい。テムズ川が時として酷いラフコンとなることは、両校とも百も承知であり、ラフコンに強い艇及びリガーの組合せを選んできた経緯がある。今年の対校クルー(The Blue)が選んだ艇は、昨年同様にEmpacher K85のアルミWingリガー艇。艇・リガーの組合せでは、ラフコン下、現時点ではこれが最良の組合せということだろう。右上の写真は酷いラフコンの中で練習するOxfordクルー。ラフコンに強い艇に乗り、こういうラフコンでレースをするのも面白そうだ。
以上の要件を踏まえて、ラフコンが想定されるレースで、最良の艇を選択すると、自ずとEmpacherのWingリガー艇ということになる訳だ。(安定性の面に関しては、K85より幅が広く安定性の良いK82の方が良いと思うが、今は生産していない模様。)
Wingリガーエイトで有名なのは米国やカナダのナショナルクルーが使用しているHudson艇だ。日本ではTレやKO大が昨年から使用している。これを見れば気付くだろうがガンネルが低く、乾舷が非常に小さい。何故こうなっているのか?理由は以下の通り:
さて色々述べたが、上記のWingリガー艇の欠点を補う為、EmpacherのWingリガーは賢い工夫がしてある。即ち、リガーと逆サイドの支点をガンネルでなくデッキ位置まで下げ、Wingリガーのブリッジを斜めにしている。これにより、ラフコン時にハンドルを握る指がWingブリッジに当たらない様にしている。(通常のWingリガーのブリッジはガンネル間を渡してあり、水平になっている)この工夫でガンネル高さ通常通りの高さを保っている。素晴らしい工夫だ!問題はこの歪な形状を採用したため、ブリッジを固定するデッキ周りの補強材が必要となり、艇の重量が通常のアルミ3脚リガー艇より重くなっているという話だ。(ガンネルが高いという点も重さに影響している筈)また、聞くところではワークハイトの調整等、リギングの調整可動域が3脚リガーの様にフレキシブルな調整は出来ない模様。尚、価格の方は3脚リガー艇よりホンの少し高いだけで、Carbonチューブ式リガー艇よりは廉い模様。
先ず戸田コースであれば、上の写真のような酷いラフコンになることはない。台風でもくればそういうコンデョションになることもあろうが、その前にレースは中止になるだろう。隅田川や宮城県長沼でのレースを念頭に置けばEmapcherのWingリガー艇が威力を発揮する場面もある。しかし一般的なボートを漕ぐ水域では、通常の3脚リガーで支障が出る様なコンディションは想定しづらい。相当酷いコンディションが想定されるのであればフロントステーがシングルパイプのリガーを搭載すれば、それで十分と言えそうだ。フロントステーがシングルのリガーはVespoliやSykes艇には標準装備されている。必要ならAeRoWing若しくはNeaves等のリガー専門メーカーに注文すれば良い。
HudsonやSykesのスイープWingリガー艇は写真で見る限りEmpacherの様な工夫が無く、乾舷が小さいためにラフコンで浸水しやすかったり、捻り強度不足が懸念されるので、レース専用艇という扱いが出来る裕福なクラブしか持てないような気がする。新艇購入を検討されているクラブは上記の点も勘案して、高い買い物である新艇発注を失敗しない様にして欲しい。
尚、上記は全てスイープ艇での話であり、スカル艇についてはWingリガーの欠点というのは外した時に大き過ぎて場所をとるぐらいのものかと思う。(でもマイカーで運搬するときには重要な要素かもしれない。)
以上