右上の図は、最近良く使われているブレードの形状。
- C2 Big Blade: 所謂、チョッパーオールのOriginal版。Face面にシャフトのリブが出ている。
- C2 Smoothie: Face面のリブを無くしたもの。流体抵抗を減じる狙い。
- C2 Vortex Ddge: プラスチック製のギザギザの付いた板。これで流体抵抗を減らす狙い。
- Croker Slick: CAD CADでデザインした形状で、リブ無し。フィニッシュでの水切れを改善。
以下、世界のトップレベルが使っているオールについて、最近の動向を纏める。
■Sweepオール:
- The Boat Race: 今年のレースの勝者OXfordはC2のBig Blade。負けたCambridgeはCroker(Slick)を使っていた。
- Canada National Crew:2003年の世界選手権では優勝した8+と4-C2のBig Bladeを使用。
- USA National Crew:2003年の世界戦選手権ではC2のBig Blade+Vortex Edgeを使用。しかし、2004年のオリンピックで優勝した8+はCrokerを使用。
- 豪州 National Crew:2004年のオリンピックで優勝した2-はC2 Big Bladeを使用。8+はCokerを使用。
以上の通り、C2オールの場合はBig Bladeオリジナル版と、Crokerオールに人気が2分している。世界クラスのトップクルーでVortex Edgeを使っているクルーは、今のところ余り多くない。
■Scullオール:
- 男子スカラー:C2 smoothieブレードを使っているクルーが多い。Sweep同様、Vortex Edgeは余り人気が無い模様。ScullではBig Bladeを使っているクルーは余り多くない?リブがあるとエントリーや離水時に抵抗が大きいためだろうか?
- 女子スカラー:NZの世界チャンピオン2XはCrokerのSlickを使用。女子クルーでは、男子クルーに比べてCrokerを使用するケースが多い様だ。グリップ太さのバリエーションが豊富で、手の小さい女子でも握りやすい細いグリップがあるためか?
Scullも、Sweep同様、Vortex Edgeを付けたオールは余り使われていない模様。
■Vortex Edgeの効果は長く持たない?:
C2のVortex Edgeを付けたブレードを良く観察すると、以下の問題点あり。
- 学生が半年程使用したVortex Edgeを見たが、岸蹴り時にブレード先端で岸を押すときに傷が付く様であり、肝心のVortex加工のギザギザが削れてしまっている。2年も使えば、Vortex効果は殆どゼロか?
- 既存のオールにVortex Edge加工をしたオールを見たが、塗装の上から接着したためか、端が剥げて、ぺらぺら捲れあがっているモノが多い。改造は止めた方が良さそうである。
耐久性に問題があり、その効果は1年も経てば殆ど消えてしまい、ブレード先端の角を丸くカットした分だけブレード面積が減ってスリップが大きくなるだけの様な気がする。こんなこともあり、海外ではVortex Edgeは余り好まれないのかも知れない。
最近、C2社が発表したFat Smoothie Bladeの写真を見ると、昨年宣伝していたVortex Edge付きSmoothieブレードの形状に似ているが、Vortex Edge無しで、ブレード幅を広げた形状になっている。C2自身もVortex Edgeの効果が期待した程でないと思っているのかも知れない。
■世界クラスのクルーが一般的に使用しているオール:
- Sweepオール:C2 Big Blade, 又は、Croker Slick Blade
- Scullオール:C2 Smoothie, 又は、Croker Slick Blade
何れもVortex Edge加工無し
以上