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高校生の新人トレーニングでは、少し古いスカル艇を使っているのでバックステー(トップステー)無しの艇に乗っている。これはおやじが20歳だった頃と同じ状況。バックステーが無いと1X艇の乗り降りやハンドリングも楽にできるので新人の導入艇として良いと思う。一方、最近製造された新規格艇には何れもバックステーがついている。T大の様に古いバックステー無しの艇が殆ど無いクラブでは、新人のスカル導入時期から、バックステー付きの艇を使っている。これは新人には少々難しい様に思う。バックステー付きの艇は乗り降り時やハンドリング時にバックステーが邪魔になり、それ自体が乗艇の難しさという意味でハードルになっているのではなかろうか? 以上、バックステー無しのスカルしか無かった時代に育ったおやじの世代から見ると、新人・女子の導入トレーニング時期にはバックステーを外した方が良いと思う。そこで先日の新人育成に関するMTGでは、今年度のT大新人のスカル導入トレーニングでは乗艇時乗り降りやハンドリングのし易さのメリットを重視し、スカルリガーからバックステーを外して使う事をアドバイスした。
一方、バックステー付きのスカル艇しか見たことのない若手指導者等が、余り見たことのないバックステーを外した状態で漕ぐことに関して、違和感や警戒感を持ち、本件に関して可笑しな抵抗勢力になる可能性がある。アドバイスしたおやじ自身もそういう状況に陥り、面白くもない議論を交わすことは避けたい。そこで、新人導入トレーニング時におけるスカルリガーのバックステー要否に関して、関連の歴史的経緯も含めてここで整理することとしたい。
木造艇の時代はスカルリガーと言えばバックステー無しが基本だった。一方、その時代にもスイープリガーにはバックステーが装着されていた。要は単純な話がスイープリガーはオールを1本しか使わないので人間1人分の力を1本のピン(クラッチ軸)で受けることになり、バックステーが無いとリガーが変形もしくは疲労破壊することが経験的に分かっていた。一方、スカルの場合は1人で2本のオールを使うので、1本のピンに加わる力は、単純な話、スイープの半分となる。これまた経験的にバックステー無しでもリガーに問題となる様な変形や疲労破壊する様なことは無いことが分かっていた。勿論、スカルでもバックステーを付けた方がリガーの強度は増すが、艇が重くなるし、そもそも艇のハンドリング上、邪魔になるので、スカルリガーにはバックステーは付けなかったものと推察される。日本の規格艇も10年ほど前までは、バックステーはついていなかった。
さて、最近のスカル艇は規格艇も含めて全てバックステーが付いている。バックステーが付けられる様になった経緯はどういうことか?おやじの勝手な推察も含めて時系列的に整理してみたい。:
バックステー付が常態化した現在の艇でも、リガー本体の強度は昔のバックステー無し当時のリガーと同等若しくはそれ以上の強度を有しており、バックステーを外しても余程の力で負荷を掛けない限り、リガーが問題となるほど変形するような事はなく、実使用上の問題は発生しない。ボートビルダーであるK野造船のF川社長も、並のスカラーが乗艇するのであれば、バックステーは無用の長物と言っており、自身の艇はバックステーを外している模様。
メリットはバックステー付きリガーの経緯に記載の通り、リガーの剛性が増すこと。一方、このメリットはリガーが変形するほど強い力で漕ぐことが出来る者だけが享受できるものであり、漕力が弱い漕手や艇上で力を発揮できない新人漕手ではバックステーが無くても何ら問題なし。
一方、デメリットは以下列記する様々な問題がある。
前述のバックステー付きのデメリットが解消され、乗艇や艇の取扱いがより容易になる。尚、相対的にリガー本体の強度が高いウィングリガーでは、世界選手権のレースに於いても、軽量級や女子選手はバックステーを外して使っている例が良く見られる。やはり外しても支障が無ければバックステーは外したいという事だろう。
現在、おやじは日ボのレク艇開発検討の中心メンバーとして活動中。このレク艇の要件を纏めるに当り、ボート先進国の海外の事例も調査している。この中の要件として、レク艇(スカル艇)ではバックステー無しとする事が既に決まっている。理由は前述したバックステー付のデメリットを避け、バックステーを外してボートの参入ハードルを下げること。 下の3つの写真は、上から独の某有名レース艇メーカーのレク艇、仏のクラブで使われているレク艇、そしてK社が扱っているレク艇の写真。当然ながらバックステー(トップステー)は無い。
また、2/28の試乗で使ったD社のレク艇もバックステーを外して乗艇したが、リガー剛性には全く問題なかった。(おやじ(エルゴ2000m:6分48秒)が、確り漕いでも剛性について何ら問題を感じなかった)
以上の状況を総合的に勘案すると、新人・初級者のスカル乗艇トレーニングではバックステーを外して使用した方が、乗艇や艇扱いの難易度・ハードルが下がるので、種々乗艇トレーニングの効率が改善すると思うが如何だろうか。(外したことによるデメリットは基本的に無いと考える。)
以下、余談ながら:
以上
には、思わず笑いました(微笑んだが正しいか)
戸田で漕いでいる学生です。
バックステイの話が出たので、今回便乗して質問させて頂きます。
最近ではウイングリガーの艇がスカル・スイープ関係なく増えてきましたが、ウイングリガーと普通のリガーの違いやメリット・デメリット等あれば教えていただけますか?
よろしくお願いします。
ボートマンさんのご質問ですが、以前、wing riggerについて纏めたログ(下記)があります。こちらを参照ください.
http://d.hatena.ne.jp/oyajisculler/20080409
参考にしてみます。
ありがとうございました。