(cache) リギングその６（ワークハイトについて）

2004-10-11 リギングその６（ワークハイトについて）

ワークハイトについて考察する。右上の図に描いた、シート座面からクラッチまでの高さ（B)をワークハイトという。本来はハンドルの高さ（E)を計測したいのだが、水の上に浮かべないと計測出来ないので、便宜的にこの(B)値をワークハイトと称してハンドル高さの指標としている。以下、ワークハイトに関して考察する。

■ハンドルの高さについて（試算してみると。。。）：

前術の通り、ワークハイトはローング中のハンドルの高さを設定するための指標である。スィープの場合、おやじが標準的なワークハイトと思っている17cmは、シートからハンドル（グリップエンド）の高さにしてどの位の高さになっているのか、簡単に計算すると次の様になる。（実際にはオールには太さがあるが、ここではオールを上図の破線の通り一本の直線と仮定して簡易計算する）

水面～シート高（D)：以前、国産艇のシート高（D)を調べたことがあるが、最も低かったのが図南型の50mm（正確に言うと、バウ40mm, 整調60mm。デッキが傾斜している）、最も高かったのがT大の三四郎艇（こだま型）の85mm、輸入艇は概ね高めに設定してあるので、ここではD=80mmとする。
水面～クラッチ高(A)：シート高80+ワークハイト170=250mmとなる。
水上のオール長さ：オールの全長を375cmとして、ローイング中の水中に入っている長さは、ブレード長55cm+シャフト没水30cm？で、水上オール長は、375cm-(55+30)=290cmとなる。
水上のアウトボード：インボードを114cmとして、水上アウトボード＝290-114=176cmとなる。即ち、インボード：水上アウトボード＝114:176≒1:1.5となる。
グリップエンドの高さ：水上のクラッチ高さと上記のアウトボードと水上オール長（アウト＋インボード）の比から、250mm*（2.5/1.5）＝417mmとなり、シートからグリップエンドまでの高さは417mm-80mm=336mmとなる。実際のグリップエンド中心の高さでみると、オールのスリーブ太さ70mm?の半分35mmが足されるので、336+35= 371mmとなる。概ねこれで合っていると思うが、如何だろうか？

■ワークハイトが同じでも、艇の浮き具合でハンドル高さが違ってくる：

さて、上記は設計体重通りの漕手が乗った場合である。設計体重より重い漕手が乗った場合どうなるのだろう？ちょっと試算してみよう。

エイト艇では漕手の合計体重で50kg重くなると、艇の喫水は約1cm沈むとしよう。（厳密な説明はここでは割愛する）
設計体重より、漕手合計体重が100kg重いクルー(漕手１人当たり12.5kg)がこの艇に乗ったとしよう、50kgの2倍だから、艇が２cm沈むことになる。
2cm沈むことにより、水面からクラッチまでの高さが250mm-20mm=230mmとなる。シート～グリップエンドの高さ＝230mm*(2.5/1.5)-(80-20)=323mmとなり、設計体重通りの漕手が乗った場合より、実際のハンドル高さが336-323=13mm低くなることとなる。
さて、この13mm下がったハンドルを元の高さに戻すには、ワークハイトを13mm*(1.5/2.5)=8mm高くする必要がある。即ち、ワークハイト＝17.8cmとする必要がある。
重い漕手は体も大きいであろうから、艇の設計体重を基準として、平均体重で5kg重い漕手は5mmUP, 10kg重い漕手は10mmUPを、簡便な目安と考えても良いかも知れない。

■エイトでは整調は高く、バウは低くする：

エイトは長い艇である。ちょっと長手方向にトリム（傾斜）がついてもバウと整調では水面までの高さに大きく差が出てくる。次の様な問題もあり、整調のワークハイトはバウより高めに設定する必要がある。①ボートはローイング中に大なり小なりピッチング運動を避けることが出来ず、特にワークハイトに影響するキャッチ前に、ピッチングによるトリム（傾斜）が最大になり、整調位置は下がり、バウ位置は上がる。②コックスの設計体重はレース時の下限重量である55kgに設定されていることが多いが、社会人コックスは60kgを遥かに超える者もおり、船尾が下がる傾向にある。以上2点より、整調とバウはワークハイトで１ｃｍ位の差を付けるのが適当であると思っている。即ち平均ハイトを17cmとしたとき、整調は17.5cm, バウは16.5cmとするということである。尚、フォアについてはキャンバスが長いのでエイトほどピッチングやトリムの影響は大きくないので、上記の半分程の差で良いと思う。

■スカルのワークハイトと左右のハイト差：

以前のログで既に記載済みであり詳述をさけるが、要点を言うと次の通り。スカルのハイトは人それぞれ、また、ローイングスタイル次第で変ってくるのでこれが最適というのは言い辛い。おやじが最近漕いでいるリギングは、B-side:19cm、　S-side:17cm。これも前述の通り、艇の浮き具合で調整する必要がある。左右ハイト差は20mm程度付けた方が良い様だ。（日ボの専任コーチO氏によると、もっと左右の差を付けても良いとのこと）

以上

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