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おやじスカラー戸田便り

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2006-02-15 キャッチ時の上体姿勢:おやじの考え

oyajisculler2006-02-15

1月末に開催された日ボのコーチセミナーで、ジャンニコーチがキャッチ前でも体軸と頭をキールセンターにキープするのが良いと言っていた。かなり執拗に主張していたし、イタリアのナショナルクルーの徹底度合いから見ると、イタリアナでは体軸センターキープは「ミリ単位で強要される鉄の掟」の様に思われる。

おやじの勝手な考えだが、イタリアがやっている体軸センターの掟は、生身の人間の動きとしては、少々無理があり、かえって自然でスムーズな動きを阻害している様に見える。

一流クルーのキャッチ時の写真で、適当なものがないかネット上で探し回ったところ、昨年のThe Boat Race時のケンブリッジ大クルーのキャッチ時の写真があった。「渡りに舟」ではないが、このクルーのS-side 4名の漕手は各々微妙に異なるスタイルとなっており、キャッチ時の姿勢を評価するのに丁度良い。これをダウンロードして、おやじの勝手なコメントを書き込んだのが、下の写真。(Copyrightの問題があるが、この際、許して貰おう)

f:id:oyajisculler:20060215164630j:image

S-sidの4名のキャッチ時姿勢に関するおやじの評価は上記の通り。4名とも超一流の漕手であり、おやじが勝手な評価をするのは申し訳ないが、敢えて評価すると上記の通りとなる。この中で見習うべきは整調の姿勢であろう。2番もキャッチからダイナミックにドライブする姿勢が出来ている。しかし、やや内傾が大きいのでこのスタイルで漕ぐ場合は、キャッチ時の内傾姿勢をクルー全員でシンクロする必要がある。4番と6番は各々、少々の難あり、スタイルのお手本としては適当ではない。

この整調のキャッチ姿勢について:

さて、この2005年ケ大の整調のキャッチ時の姿勢について分解評価してみたい。

  1. 体軸は概ねセンターキープ:体軸センターキープと言ってもミリ単位で強要されるセンターキープではない。略おなじスタイルである7番との位置関係を見ると、ほんの少し体軸が内傾していることが解る。言い換えれば、キャッチ周りの自然な動きを阻害しない範囲でなるべく体軸はキールセンターをキープするということだろう。
  2. 肩はハンドルの動きに合わせて回転する:肩を確り回転することで両腕、特にインサイドハンドが良く伸びたキャッチ姿勢となり、両腕を使ってハンドルにぶら下ることが可能となっている。(ややアウトサイドの肩が下がっている様に見えるが、この程度であれば全く問題無い)
  3. 両膝は自然に開き、間にアウトサイドの肩を通す:Sweep rowingの場合は、上体が一方向に回転運動をするので、前のレンジを大きく取るためにはアウトサイドの脚を少しアウト側に開き両膝の間にアウトサイドの肩を通すのが自然である。(両膝を胸の前で揃えるのは不自然な姿勢となる)インサイド側の脚はほんの少しだけインサイドに傾斜しているが概ね垂直に立てている。2番、6番の様に、インサイドの脚を少しインサイド側へ倒すのは問題無い。(4番の様にインサイドの脚をアウトサイド(逆サイド)へ倒すのは間違い。)
  4. シートスライドは脛は垂直までとし、上体を前傾させて前に伸びる:脛が垂直を過ぎて大きく前傾すると、キャッチからのレッグドライブが弱まってしまうので、脛は垂直までとしたい。キャッチレンジを大きくする為には、上体を前傾させて前に伸びるべきである。尚、上体の前傾や両腕の伸ばしはハンドル膝前を過ぎたらセットされるものであり、キャッチ前のハンドルの動きとシートの動きはシンクロさせる必要がある。(時折、未熟な漕手が、シートスライドが止まった後で、上体の前伸びが遅れて上体だけで更に前に伸びる動きをするのを見かけるが、これは間違い)

この整調の動きをお手本にして、理想のキャッチ姿勢に近付けたい。

PS:

一つ言い忘れていたことがある。それは「Rowing中の如何なる瞬間も、体軸をアウトサイドに傾けてはならない」ということ。これこそSweep Rowingにおける鉄の掟というべきものである。未熟な漕手はフォワード中に自分のサイドに傾けたくないという自己防衛本能が災いして、往々にして上体がアウトサイドに逃げる動作を伴い易いので、指導者はこういう漕手を見つけたら、悪い癖が付かない内に、鉄の掟を叩き込む必要がある。

以上

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プロフィール

oyajisculler

oyajisculler はてなダイアリープラス利用中

14年間のコーチ経験を経て、漕手に復帰した「おやじスカラー」

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