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おやじスカラー戸田便り

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2011-09-05 濁流の荒川で1X乗艇

oyajisculler2011-09-05

今日は勤務先が休み。例の電力需要削減対策が9月にも実施されており、9月は#1と#2月曜が休みとなっている。という事で、今朝は品川を通り過ぎて、戸田に「出勤」した。荒川は大雨で増水しており、ポンドで乗艇したいと思っていたが、埼玉県の高校新人戦が開催されており、ポンドはコース閉鎖。埼京線から見た荒川は、濁流。しかし他に漕ぐ場所は無いので、荒川で乗艇することにした。1X自艇を担いで荒川へ。岸けり場の前も濁流でコーヒー牛乳の様に薄茶色に濁っていた。岸けり場の前はインカーブで流れが淀んでおり、石段に泥が溜まりつつあった。来週のエイト乗艇では、この泥に足を突っ込む事になるだろう。

岸を蹴ったのが10時過ぎ。増水して水位が上がっており、両岸は垂直護岸の状態。さすがに濁流なのでウェイクはいなかったが、河川事務所のパトロール艇が笹目橋方向へ上っていった。この曳き波が暫く消えずに残っており、最初の往路は濁流の渦とモーターの返し波でバタバタしながら漕いだ。

メニューは24km LSD漕:

今日のメニューは距離稼ぎの24km LSD漕。流れが穏やかなら秋が瀬まで登り、M字往復をするところだが、今日は流れが速く、水路の狭い笹目橋の下は大きな渦が出来ているので危ないと判断。比較的流れや水面の状態が良い笹目水門で折り返し、鉄塔と水門間(約2.1km)を往復しながら24kmを漕ぐ事にした。

今日の様な濁流の荒川(しかも月曜日の午前。。。)で漕ぐのはおやじだけと思っていたが、カヤックの日本代表選手と思われる若者がおやじと同じタイミングで岸を蹴った。また、笹目水門辺りでシングルスカルとすれ違った。遠巻きだったが、ブレードカラーや艇を見るにパルテ回のChokuさんである事が分かった。一声掛けて練習続行。

マスターズスカラー仲間も漕いでいる事が分かり俄然やる気が出てきた。それまでは濁流の渦にやられて2'45"/500m程度の低速でチンタラ漕いでいたが、ここから水中を確り押し、2'40"/500m, SR16.5程度にペースアップ。

荒川下流は、笹目取水堰で上流と分断されており、潮の干満に応じたゆったりした流れがあるだけで、普段は流れらしい流れを感じる事は殆どない。しかし、今日の様に増水時には濁流となって、渦を伴った流れが発生する。こういう時に1Xの様な小艇で漕ぐと、この渦で、急に針路が変わったり、艇が横に流されてバランスを崩したりする。まあ、こういう酷いコンディションでもベテランスカラーは平気な顔で優雅に漕ぎたいところではある。しかし、おやじはその達人の域にまで達しておらず、大きな渦にハマると艇のバランスが崩れてブレードで水面を擦った。(さすがに渦で横に押されるとバランスは崩れるが)

さて、水門〜鉄塔(高圧線)間の距離は、約2.1km。(2000mTTに丁度良いマイルストーン)今日は流れがあるので往路が流れの分だけ長くなり、復路は流れの分だけ短くなる。SpeedCoachの距離表示でチェックしたところ、往路は3.1km、復路は1.6kmだった。みたところ、流れは1m/s程度あった。艇速(3m/s+α)に対し川の流速が1%以下であれば、往復の平均距離(対水距離)は陸上の2地点間jの距離と殆ど一緒となるが、今日の様に体感できるほど速い流れの場合は、逆流時に漕ぎ上る時間がグンと長くなるので、逆流を受ける時間が長くなる。逆に順流時はあっという間に漕ぎ終えてしまうので、順流を受ける時間が短くなる。その結果、往復合計の距離(4.7km)は、流れの無い時の距離=陸上の2地点間の距離(4.2km)より長くなる。この事は計算で示すと以下の様になる。今日はそれを実感した。

即ち、流速をX(m/s)として:

  1. 乗艇中の平均艇速(Speedcoach表示):約2'40"/500m、=3.125m/s
  2. 往路の距離(Speedcoach計測):3100m、漕艇時間=3100m/3.125m/s = 992秒(16’32”)。 陸上での距離:約2100m、2100m = (3.125m/s – X)*992秒、X=1.008m/s、
  3. 復路の距離(同上):1600m、漕艇時間=1600m/3.125m/s=512秒(8’32”)、 陸上での距離:約2100m、2100m=(3.125m/s + X)*512秒、X=0.977m/s、
  4. 上記より、河の流速は約1.0m/sであったことが分かる。(往路と復路で若干流速に差があるのは、右側航行を順守したため、往路と復路でコースが異なるためと思われる)

順流は艇速が出る(水中軽い)は勘違い:

さて余談だが、T大の学生やOBの多くが、「順流で漕ぐと水中が軽い」とか、「順流では艇速(対水速度)が速くなる」と訳の分からない事を言っているのをよく耳にする。或いは、瀬田川で行う京大戦は順流なのでオールの梃比を変えようとか。。。(これを聞くたびに、「それでも最高学府の人間かよ!」と呆れる。。。)

確かに川底を竿で押して進む川船は逆流で重く、順流では軽くなる。しかし、我々のローイングボートは水をブレードで押してボートを進める艇であり、順流だろうと逆流だろうと、対水速度には関係ない。何故なら船体もブレードが押す水も同じ流れの中で動いているからだ。即ち、流れのある川でボートを漕ぐ時に、順流でも逆流でも漕手が感じる負荷は変わらないのである。

例えば、地球は東方向へ向かって自転しているが、西から東へ向かって歩く時(順流に相当)に、東から西へ向かって歩く場合(逆流に相当)より軽く感じるか?という事である。そんなことあろう筈がない。

じゃあ、なんでこんな単純な事を勘違いするのであろうか? おやじには良くわからないが、ボートに乗っている者がボートの対水速度の事を一切無視して(恐らく、ボートの動きに対して恐ろしく鈍感なのだろう。。。)両岸の陸の景色ばかり見ていたらそう感じるのかも知れない。しかし、ボート競技は対水速度を競うスポーツである。また、漕手がボートを漕いでいる時に余所見をせずに全神経をボートに集中した時に感じるのはボートの本当の速度、即ち、対水速度と水中負荷のみである。両岸の景色の流れなどに余計なモノに騙されてはならないのである。

上記の理屈が分からない者は、流れのある水域、例えば瀬田川などで一度漕いでみると良い。順流で漕いだ時にSpeedCoachの艇速表示(対水速度)が逆流の時より速くなるなんて言う事はないのである。そうではなく、ボートの速度や水中の負荷に大きく影響するのは風向きである。順風では空気抵抗が減少するので負荷が軽くなり、艇速(対水速度)が速くなるのである。だから、川でSpeedCoachを使って2000mTTを行う際、良いタイムを出したいなら、流れの方向などには無視して、風向きが順風となる方向へ向けて実施すれば良い訳である。(因みにLBRCエイトが荒川でタイムトライアルするときには、流れの方向は無視して風向きのみに留意し、順風で行う様にしている。)

以上、くどくなったが、「順流は軽い」などという間違った解釈をしている皆さん、ご理解いただけたかな? これでも分からなかったら、瀬田川で漕いでいるボート仲間に聞いてみては如何だろうか?しかし、馬鹿にされることを覚悟の上で。。。

本日の乗艇データ:

  1. 天候:曇り時々雨&晴れ、気温27℃程度、水温21℃、南の風1m程度
  2. 漕艇距離(SpeedCoach計測):24,297m
  3. 時間(折り返しや給水ロス含む):2時間12分56秒
  4. ストローク数:2194本
  5. 平均艇速(ロス時間込みの単純平均):2’44”1/500m
  6. 平均レート:16.5
  7. 平均DPS:11.07m/本
  8. 心拍数:Ave.135, Max.152

以上

川流れ川流れ 2011/09/05 19:52 むしろ、ある条件=流れが速いような状況では、
順流のほうが重く、逆流のほうが軽い。

おやじ本人おやじ本人 2011/09/05 20:10 川流れさん、コメント有難うございます。
その通りですね。
もし、風が全くない無風状態のときに、1m/sの流速で川が流れている場合、順流で漕ぐと1m/sの逆風を受けているのと同じ風圧抵抗になる訳ですね。即ち、順流は重たい。
逆にこの状況で逆流で漕ぐと、1m/sの追い風で漕ぐのと同じ効果があります。即ち、逆流は軽い。
という事ですね。

mmcrno2mmcrno2 2011/09/06 19:23 失礼します。初めてコメントさせていただく地方医学部漕艇部の者です。いつもブログは拝見させていただいており、おやじさんの豊富な知識の一部でも練習に還元できればと参考にさせていただいています。

さて、今回の順流・逆流のお話ですが、前にご指導いただいた際に「逆流では水をつかむことが(比較的)たやすいが、順流では難しい。ので、順流でもしっかりと水をつかめるような練習をしていなさい。」と言われたことがあるのですが、これも間違った考え方なのでしょうか?

おやじ本人おやじ本人 2011/09/06 20:59 mmcrno2さんの質問に回答します。
貴方が以前指導頂いた言葉の「流れ」を「風」に読み替えれば正しい表現になると思います。即ち:
「逆風では水をつかむことが(比較的)たやすいが、順風では難しい。ので、順風でもしっかりと水をつかめるような練習をしていなさい」ですね。
もし、貴方が、普段、流れのある水域で練習しているのであれば、私のいう事を既に実感している筈です。
川の流れというのは、空港などに良くある動く歩道と一緒です。

umaumaumauma 2011/09/06 22:33 記事とは関係ない話で申し訳ありませんが、20分測定で、たとえば体重58キロで記録が5000mの人が、体重63キロになったら、だいたいどれくらい距離は伸びるのでしょうか。
ご回答お願いします。

おやじ本人おやじ本人 2011/09/07 06:57 umaumaさん、エルゴ記録の体重換算の話ですね。
この質問は体重が58kgから5kg増えて63kgになるとエルゴの記録がどれだけ伸びるのかという質問ですが、それは計算では求められません。
質問を変えます。即ち、乗艇の技量、乗艇のタイムがほぼ同じ漕手が2名いたとします、Aは58kgで20分漕の記録が5000m、Bは63kgです。さて、Bのエルゴ記録はどの程度でしょう?
Bの20分漕の記録=5000m * ((63+22)/(58+22))^(2/9)
=5068m
となります。
上記の考え方(計算要領)の詳細は、下記のログを参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/oyajisculler/20041105

mmcrno2mmcrno2 2011/09/08 01:14 丁寧なご回答ありがとうございます。
普段は流れのある水流で練習していますが、流れがある場合は必ずと言ってよいほど同じ方向に風がふいています。このために「流れが逆=つかみやすい」と錯覚していたのかもしれません。
また、よく考えれば対水速度の考えを用いたことがありませんでした。いつも対地で距離を出していたため、これからは対水速度を考えていきたいと思います。

umaumaumauma 2011/09/08 21:19 なるほど。
参考になりました。ありがとうございます。

dnozakidnozaki 2011/09/09 12:15 いつも興味深く拝見しています。
対水速度の考え方、なるほどと思いました。しかしよく考えてみると、若干、順流と逆流で違いがあるように思います。すなわち、無風の状態で、ある速度で流れている水の上にボートが置かれている場合、ボートの速度は流れの速度よりは遅くなるのではないか、ということです。ボートが一定速度で流れているとき、ボートの対水速度から決まる水から受ける力と対地速度から決まる空気抵抗が釣り合った状態になっているはずです。つまり、空気抵抗の分は水から力をうける必要があり、力をうけるためにはボートは水の速度より遅くなっていなければならない、のではないかということです。間違いがあればご指摘ください。

おやじ本人おやじ本人 2011/09/09 12:27 dnozakiさん、コメント有難うございます。
貴方の仰ること、全くその通りです。
川流れさんのコメントに対する回答にも書きましたが、空気の対地速度が無い時=無風状態の時には、流れのある川に浮かんだ艇は、川の流速分の速度で空気の流れ(風速)を受けます。川の流れに沿って順流で漕ぐ場合は、この流速分が逆風となって働きます。即ち、無風の時には順流は1本1本のストロークが重くなる訳です。逆に、逆流では軽くなる訳です。
例えばの話、ボートの速度と同じ流速の川で漕いだ場合、岸から見て、漕げども漕げどもボートは動きません。即ち、空気抵抗を受けずに水中の抵抗だけとなるので、1本1本のストロークは軽くなります。これは順風の中で漕いでいる状態と同じとなる訳です。
最後に纏めますと、
「順流は対地速度が速くなるが、空気抵抗は大きい。逆に逆風は対地速度は遅くなるが、空気抵抗は小さい」
ですね。

おやじ本人おやじ本人 2012/08/21 08:30 上記コメントの最後のところは、逆風はではなく逆流はの間違い。
即ち、正しくは:
「順流は対地速度が速くなるが、空気抵抗は大きい。逆に逆流は対地速度は遅くなるが、空気抵抗は小さい」

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14年間のコーチ経験を経て、漕手に復帰した「おやじスカラー」

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