自爆、高官追放、商店街スト、暴力団と激突――
もはや共産党も警察も止められなくなった1日500件の過激デモ
(SAPIO 2012年9月19日号掲載) 2012年9月27日(木)配信
文=宮崎正弘(評論家)
住民が樹木を切り倒してバリケードを築き警察侵入を阻止した村、政府庁舎に突撃して破壊する若者……。中国では共産党幹部の不正・腐敗への不満が爆発し、権力側の弾圧をはねのけて過激な抗議行動が続発している。最新の動きを追った。
昨今、中国で発生している暴動は1日平均500件、年間18万件である。よほど大規模か、参加者に多くの犠牲が出る、あるいは日本企業が狙われるなどのデモ・抗議行動ではない限り報道されることはない。
この5月、筆者は上海空港に降り立った際、空港に座り込んだ住民の抗議行動を目撃した。滑走路近辺の騒音被害を訴え、「この国の政府は何をしているのか」などと書いた大きな紙を広げていた。その示威活動を警察が取り締まろうとする様子はない。従来の中国では考えられない事態が起きていた。
抗議行動・暴動を起こす民衆の不満は、官僚の不正、党幹部の腐敗に原因がある。
5月23日、北京で検察機関と党腐敗防止担当委員会、公安、外交部ならびに国際金融機関の担当者が集合して「汚職防止」のための検討委員会が開催された。
徹底した汚職防止の方法を検討するという名目だったが、「会計のごまかし、マネー・ロンダリングの巧妙化、香港の子会社、英領バージン諸島のペーパー・カンパニー」などの諸手口、手段を検証しただけだった。
汚職は減るどころか拡大の一途。公金の横領、恣意的な規制や不公平な建設認可など、庶民の不満は大暴動の導火線となっている。
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