自爆、高官追放、商店街スト、暴力団と激突――
もはや共産党も警察も止められなくなった1日500件の過激デモ
(SAPIO 2012年9月19日号掲載) 2012年9月27日(木)配信
中国を震撼させた広東省の“農民一揆”。この事件が若者のみならず、一般中国人を刺激したことは言うまでもない。以後、各地の暴動、抗議行動に「民主化」の波が加わり、さらに激しくなっている。
今年7月、江蘇省南通市にある日本の王子製紙工場をめぐって発生した大規模抗議デモ。参加者たちは同工場から啓東市の海につながる排水管建設計画の中止を要求する一方、地元の啓東市政府高官の腐敗に対しても果敢に抗議した。
5000人を超える群衆が政府庁舎に集まり、1000人以上が敷地内になだれ込んだ。警察車両をひっくり返して破壊、一部は庁舎に乱入して、役人がよく賄賂として受け取る高級酒やワイン、たばこのほか、書類なども窓から放り投げた。
背景にあるのは「反日感情」ではない。揚子江下流を漁場とする漁民(およそ4万人)が目的とした補償金に、若者の「公害」「汚染」という新感覚が加わったことが大きな要因だ。
最近のデモ・抗議行動に若者が積極的に参加することも従来の「暴動」との違いである。
ある中国の専門家はこう分析する。
「学生の参加が目立ち、卒業資格停止や退学処分にするなど教師から脅されても、まったく懼れずに抗議行動に加わる。中学生、高校生さえ参加する。若い世代は公害、汚染に敏感だ」
7月の四川省徳陽市什ほう(ほう=方におおざと)で起きた暴動はその典型だった。金属工場プラントの新設をめぐって「公害反対」を掲げた市民の抗議活動の様子が、ツイッター、ブログで広がると、学生が主体の過激な抗議行動へと変化していった。彼らもまた市庁舎を襲撃、破壊し、副市長を負傷させた。だが、武装警察は催涙弾を打つ程度で、血の弾圧には踏み切らなかった。
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