自爆、高官追放、商店街スト、暴力団と激突――
もはや共産党も警察も止められなくなった1日500件の過激デモ
(SAPIO 2012年9月19日号掲載) 2012年9月27日(木)配信
暴力団と対決した住民
各地の幹部による汚職・職権乱用への怒りも収まらない。河南省固始県の農村で徴収されている「自然水税」というのがある。雨水が田畑に注ぐのは「自然水」であり、村内の田を潤しているという理由で年間30元(約370円)の税金を払えという滅茶苦茶な要求だ。それに対して今年7月、農民が抗議した。
同県の行政当局は推計210万元集めながら、県の水利局には5万7000元しか上納していなかったと言われる。現在は一部の村では徴収停止となった。
一方、不思議な対抗策に当局がどう対応してよいか途方に暮れた事態も出ている。
遼寧省瀋陽市にある大型商店街で、この8月、店舗の衛生、火災防止設備の点検などを消防署が抜き打ちで行ない、不合格を乱発。その罰金は5000元(約6万2000円)。無店舗営業の悪質露店などにも5万元から20万元という高額な罰金を科した。
このため移動理髪店、産地直送野菜、自転車・バイク修繕、簡素食堂(露店)などが軒並み閉店に追い込まれた。
この職権乱用に商店主らが団結し、一斉休業に突入した。殷賑を誇った商店街がゴーストタウンのようになってしまったのだ。瀋陽は経済発展著しい遼寧省(昨年のGDP成長率が12・1%)の省都で、人口780万の大都会である。
シャッター通りとなった翌日から市民が「日用品も手に入らない」と騒ぎだし、さらに隣の鉄嶺市、鞍山市などに騒ぎが飛び火したため、当局は打ち消しに躍起となり、商店街と妥協が成立、3日目に営業が再開された。
7月下旬に豪雨に襲われ多くの死者を出した北京市。その北京市でも8月初旬凄まじい暴動が起きた。
場所は西城区菜市。発端はビル開発のための立ち退きに不同意の住民が暴力団と乱闘を始めたことだった。ブルドーザーやクレーンを駆動して、住民がまだ住んでいる建物を破壊する暴力団。住民は棍棒、鉄棒で武装し、対決したのだ。
西城区は人民大会堂など中国の政府、党、軍の重要機関が密集し、中南海も位置するエリアである。当然、警備も厳戒なエリアであるはずだが、それでも庶民が権力の走狗、暴力団を懼れずに戦った事件として記憶にとどめるべきであろう。
かくて中国民衆の権力に対する抗議行動は、もはや中央、地方問わず各地で拡大中である。
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