人事労務トピックス

2007年06月25日

労働者保護規制、緩いほど高就業率・OECD24カ国分析

規制緩和が進み、労働者の保護法制が強くない国は、人口に占める就業者数の比率である「就業率」が高い――。内閣府は経済協力開発機構(OECD)加盟の24カ国を対象にこんな分析をまとめた。正社員などを保護する規制が強いと失業する可能性が低くなる半面、いったん職を失うと失業期間が長期化しやすくなるためだ。
 24カ国を就業率の高い順に(1)日米英、スウェーデンなどの高就業率国(10カ国)(2)オランダ、韓国などの準就業率国(7カ国)(3)ドイツ、フランスなどの低就業率国(7カ国)――の3グループに分け、規制緩和や労働保護法制の程度を比べた。 
[6月24日/日本経済新聞 朝刊]

 

日本の現在の労働法規制は確かに現場の感覚からすると、行き過ぎている感があります。しかし、単純に労働保護法制を弱体化すればいいという短絡的な考え方は違うと思います。

労働者保護法制は確かに必要だし法治国家である以上法規制の枠組みを弱体化させる必要はありません。

必要なことは、法規制の中身を適正な水準にするということです。現在は明らかに労働者側に傾倒しすぎており、それがかえって労働者の雇用環境を悪化させている要因にもなっています。

現実にそぐわない不可解な判例法理など山ほどあります。

今一度、法規制の本質を見直して欲しいと思います。



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2007年05月18日

過労自殺、最多の66人・06年度の労災認定、精神障害も急増

過労や仕事のストレスが原因で自殺(未遂も含む)したとして、2006年度に労災認定された人は前年度より24人多い66人で、過去最多となったことが16日、厚生労働省のまとめで分かった。過労自殺を含む精神障害の認定者数も大幅に増加し、年代別では働き盛りの30代が40%を占めた。

厚労省職業病認定対策室は「労働環境は依然厳しい。求められる仕事量が増えているのに職場のサポートが不十分で、社員が過労自殺に追い込まれるケースが増えている」と分析している。
【5月17日/日本経済新聞 朝刊】

佐藤イラレD

2回続けて過労死ニュースになっちゃいました。。実は私も最近お客様の打ち合わせ案件の中で過労死案件がありました。

現在、安全衛生管理の整備方法や対策などについて指導していますが、残業が絡む問題なのでなかなか一筋縄ではいかない問題です。

安全衛生管理は手薄になっている企業が多いので、今一度自社の管理手法が正しいのか見直す必要があるでしょう。



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2007年05月15日

スズキが過労死自殺で和解金6000万円

スズキ元社員が自殺したのは長時間労働による肉体的・精神的疲労などが原因だとして、元社員の両親が同社に約9000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、同社が和解金6000万円を支払うことなどを条件とする和解が14日、東京高裁(一宮なほみ裁判長)で成立した。

訴えていたのは、2002年4月に自殺した小松弘人さん(当時41)の両親。

和解条項には▽同社が小松さんの在職中の貢献をたたえ両親に哀悼の意を表明する▽再発防止・労働環境の改善に努める――なども盛り込まれた。

スズキの設計技術者だった小松さんは02年2月、四輪車体設計グループに異動。残業が月平均100時間を超える長時間労働や精神的重圧などが原因でうつ病を発症し、同4月、本社屋上から飛び降り自殺した。

両親はスズキに謝罪と損害賠償を求めたが、拒否されたため05年に提訴。一審・静岡地裁浜松支部は昨年10月、過労と自殺との因果関係やスズキの安全配慮義務違反を認め、約5800万円の支払いを命令。同社が控訴していた。

(NikkeiNETより引用)

佐藤イラレD

前に部品メーカーでも同じような事例がありました。最近は長時間労働によるうつ病や自殺の案件が労災認定されるケースが非常に増えてきました。

そして同時に民事訴訟まで発展することがとても多くなってきてます。

続々と同様の判例が築き上げられてきている中、企業の残業対策は急務ですね。

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2007年04月20日

今年の新入社員「実力主義より年功主義に魅力」・能率協会調べ

今年の新入社員は実力主義よりも年功主義の会社に魅力を感じていることが日本能率協会の調査で分かった。年功主義を好む人が49.1%だったのに対し、実力主義は48.3%だった。年功主義が実力主義を上回ったのは2001年の調査開始以来初めて。能率協会は「リストラで苦しむ親の姿を見てきたため、競争を避ける傾向がある」と分析している。

実力主義を好む比率は03年(73.5%)をピークに減少。前年調査では実力主義が63.8%で、年功主義が34.6%だった。バブル崩壊後から続いていた就職氷河期が05年春採用で終了。2年連続で学生優位になり、それほど競争しなくても就職できるようになったことも影響しているようだ。[4月20日/日本経済新聞 朝刊]

佐藤イラレD

 

不況期は安定志向が強くなり公務員になりたがる人が多い反面、ベンチャーにもチャンスが広がるため、経営者になるタイプと、役人になるタイプで2極化しますよね。その逆に今のような好景気の中では超売り手市場になるため、全体的に保守的な大企業志向の人が増えてきます。

しかし果たして今の売り手市場がいつまで続くのか。不沈艦と思われる企業が一瞬にして崩れ落ちる瞬間をわれわれは何度も目の当たりにしてきたはずです。時代の風に流されず、会社自身が「勝つために変わり続けなければ」生き残ってはいけないはずです。少子高齢化になっているのは日本のお家事情。国際競争が激化する中で好景気に甘んじた会社が生き残っていけるとはとても思えません。学生諸君もその辺を考えて、道を選ぶべきだと思います。



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改正雇用保険法:衆院で可決、成立 1.2%

厚生労働省職員のミスにより、4月1日の施行予定日に成立が間に合わなかった改正雇用保険法が19日午後、衆院本会議で与党の賛成多数で可決され、成立した。施行日は「公布の日」に修正され、改正案に盛り込まれた雇用保険料率の引き下げは4月1日にさかのぼって適用する。

同改正案は年収に占める保険料率をいまの1.6%(労使折半)から1.2%に引き下げるなどの内容。いったん衆院を通過した後、参院に送付されており、与党は3月29日に可決・成立させる意向だった。ところが、厚労省職員が同28日に「成立した」と記した資料を関係議員に配ったため野党が反発。29日に採決できず、参院で修正法案を可決した後、再び衆院に戻していた。

施行日の遅れに伴い、5月21日としていた当初の保険料納付期間は、6月中旬に延期される見通し。【毎日新聞】

佐藤イラレD

 

今年は国会での雇用保険料率の法案成立が遅れたため、労働保険料の年度更新が大幅に遅れていました。
やっと処理できますね。



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2007年03月28日

松下電器がホワイトカラー全般に在宅勤務制度を導入

松下電器産業は4月1日から、国内最大規模となる約3万人を対象に在宅勤務制度を導入する。システム技術者だけでなく営業、企画、人事などホワイトカラーのほぼ全社員が利用できるようになる。育児や介護などで通常勤務が難しい社員にも仕事を継続できる環境を提供し、少子高齢化に対応した人材確保策の目玉とする。松下が多様な働き方を認める方向に大きく踏み出すことで、労働時間規制など従来の雇用ルールの見直しを求める声が産業界で一段と高まる可能性がある。
工場の現場作業者や保安担当者、秘書などを除くほぼすべてのホワイトカラーが対象。平均で週に1日か2日程度の在宅勤務を認めパソコンやテレビ会議用のカメラなどは会社が貸与。高速インターネット回線を通じてオフィスにいる社員と連絡をとりながら業務を進める。始業・終業時にメールか電話で上司に連絡し自宅で仕事をした時間が労働時間とみなされる。【2007.3.28 日経新聞より】

 

佐藤イラレD

人手不足時代に対する本格的な対応があちこちの民間企業で見られるようになってきたました。
ところで、一般に法律論で考えれば「労働時間」とは「使用者の指揮命令下において労務を提供している時間」をさすのであって、事業場内であっても自主的残業が「労働時間に該当するかどうか」という議論はいまだに頻発しています。これについて、いわゆる法的に認められた「裁量労働制」というスタイルをとればいわば事前にコミットされた所定労働時間を「みなし労働時間」として適用すればよいことになりますが、今回の松下電器の例は法的に担保されたものではなく、あくまでも民間としての独自運用によるものです。したがって、在宅勤務における「残業」も適正に計算しなくてはなりません。私としてはこの残業の取り扱いがどこまでスムーズにできるのかについて大いに注目したいと思っています。メールや電話を駆使して業務推進を管理するということではありますが、目の前にいる部下でさえコントロールできないマネージャーが多いのが現実。。さて、お手並み拝見ですね。



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人事労務コンサルタント

人事コンサルティング エスティワークス代表
新宿に拠点を構え、中小企業の人事労務コンサルティングを中心に活動中。執筆やセミナー講師としての活動も活発に行っている。
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