女優の松田美由紀（５０）が、１９８９年に膀胱（ぼうこう）がんのため亡くなった俳優の夫・松田優作さん（享年４０歳）との私生活を初めて赤裸々に語る。昨年の東日本大震災などを経て「人間が本気で生きることはすごいことだ、それを伝えたい」気持ちからオファーを受諾。ＮＨＫ ＢＳプレミアム「ヒーローたちの壮絶人生『２４時間俳優だった〜松田優作と妻・美由紀の１０年〜』」（１１月１５日・後１０時）で俳優・優作の生きざまを伝える。
「家庭人としても、松田優作は２４時間、俳優でした。日常を生きている当時の私としては、壮絶な日々でした。そのくらい生き抜いた人でもありました」
テレビカメラの前で、美由紀が優作さんを語る。過去には「いつみても波瀾万丈」「オーラの泉」などでも触れているが、私生活を含めて優作さんのことを洗いざらいにするのは初めて。
これまで「奥さんがしゃしゃり出ることで優作が誤解されるのが嫌だった。テレビカメラの前で語るのを、あえて避けてきた」と美由紀。逝去から２３年。気持ちが大きく変わったのは「震災などで、人間の本質に気がついた」ためだという。
７９年にドラマ「探偵物語」の共演で出会い、８１年に結婚（優作さんは再婚）。幸せな時間は長く続かず、８年後の８９年に永遠の別れを迎える。
同番組では、優作さんのラスト１０年間にスポットを当てる。人生の並走者として間近で見守ってきた「妻・美由紀」の視点を軸に、関係者の証言、残された自筆の創作ノート、台本から「俳優・松田優作」の生きざまを描く。
長時間のインタビューを始め、収録はこの夏、３回に分けて行われた。強い覚悟で臨んだつもりだったが、美由紀は「やっと公の場で優作と向き合う。そのチャンスをいただきましたが、今でも、優作と向き合うのはつらかった」と吐露。「自分の心の正義と闘う。何のために生きてきたのか、生きることの意味は。優作の生きてきた軌跡をたどりながら、それを感じ取っていただけたらうれしいです。それが、優作を知ることだと思う」
ＮＨＫエンタープライズの三浦尚プロデューサーは「出会った頃のエピソード、３人の子供の父となったことでの変化、ストイックで真っすぐな姿勢。すべて演じること、表現すること、生きることにつながっている。『本当の本気』とはどんなことか、投げかけてくれる番組になる」と話した。