ダークな表現も受け止めて 問題作「アシュラ」公開へ

ダークな表現も受け止めて 問題作「アシュラ」公開へ
アニメ映画「アシュラ」のさとうけいいち監督(左)と、主人公の声を担当したベテラン声優の野沢雅子=大阪市北区

 1970年に発禁処分になったジョージ秋山さんの衝撃的な漫画をアニメーション化した映画「アシュラ」が29日、公開される。戦や飢饉で食糧難の時代、生きるために人を殺して食べるアシュラの運命を描く。主人公役のベテラン声優、野沢雅子さんとさとうけいいち監督は「1シーン、1カット、目をそらさずに見て、受け止めてほしい」と声をそろえた。

 映画化不可能といわれた問題作。今の時代だからこそ、作ると決めた。当初は興行成績を考え「悲恋もの」が軸だった。声優陣の候補も有名なタレントや役者がそろっていた。「どこか違和感を抱えていました」と監督。そんなとき、東日本大震災が起こった。

 さとう監督は「がれきの中、若い僧侶がお経をとなえている写真をネットで見て、迷いが吹っ切れた。きれい事ではない、人間の表裏を見せつつ、それでも生きていくことを表現しようと」。8割近く完成していた作品を作り替えることに。監督を降りる覚悟で提案した。

 初タッグの野沢さんに対しては、「キャリアのある人だからこそ、守りに入らないと思った」と監督。これを受け、野沢さんは「アシュラ君と一体化して、自然に表現できるように」と“無”であることを意識。食事量を減らし、現場でも極力、会話をせずに、役柄に入り込んだという。

 「多くの役柄を演じてきましたが、出会ったことのない坊やでした。アシュラが私の中に歩いてきた気がします」と話した。

 今作にはバイオレンスなどのダークな表現もある。「人が生きるには、何らかの犠牲が生じる。必要だから入れた表現です」と監督。“生きる証し”として血の表現も避けずに使った。「汚いことも含めて生きてることを感じてほしい。若い人に見てほしいですね」

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