府文化財解除:大阪市内最古の民家解体へ
毎日新聞 2012年09月24日 13時42分(最終更新 09月24日 18時32分)
大阪市内で最古とされ、大阪府の文化財に指定されていた江戸時代初期の民家「渡辺邸」(同市淀川区)が近く解体される。所有者が多額の相続税を払えないという理由で建物の解体と土地売却を希望。府の古い規則に基づく指定だったため、府の文化財保護条例などと違い、所有者の申請だけで4月に指定が解除された。古い規則に基づく文化財は他に27件あり、府は今後も同様の事態が生じかねないと懸念している。
府教委によると、渡辺邸は平安時代の武将、渡辺綱(わたなべのつな)の子孫の家と伝えられる。敷地約2560平方メートルに母屋や土蔵など6棟が建つ。17世紀初頭に建てられたと推定される。府教委は1965年、「府古文化紀念物等保存顕彰規則」(1949年施行)に基づく重要美術品(文化財)に指定。住居として使用されていた。
ところが一人で住んでいた前所有者の女性が10年5月に死亡。唯一の相続人の女性は昨年12月、府教委に文化財指定の解除を申請した。府教委は土地の買い取りを検討したが、5億円以上かかるため断念。相続人に寄贈を勧めたが理解を得られなかったという。