神戸市兵庫区の金属加工会社「神戸鉄工」本社工場で男女２人が死亡した火災で、今年５月に退社した元従業員（５９）とみられる男性の遺体近くから、ライターの部品の金属片が見つかっていたことが２９日、捜査関係者への取材で分かった。元従業員が９月末で居住していたマンションを退去する手続きをしていたことも判明。兵庫県警は元従業員がライターを使ってガソリンに着火し、焼身自殺を図った可能性もあるとみて調べる。
捜査関係者によると、金属片が見つかったのは、男女２人の焼死体があった本社工場の事務棟２階の更衣室。男性は更衣室の扉側、女性は男性から約１メートル窓側にそれぞれ倒れていたが、金属片は男性の遺体付近にあったという。
更衣室からはすでに普段は置いていない溶けたポリタンクが見つかったほか、ガソリン成分も検出されている。
一方、女性のミイラ化遺体が見つかった神戸市中央区のマンションは、６０代女性が十数年前から居住していたが、同居する元従業員とみられる男性が８月下旬ごろ、管理会社で９月末での退去手続きをしていたこともわかった。男女２人が死亡した工場火災は今月２７日に起きており、県警は元従業員が退去手続きをした経緯についても調べる。