健康志向を背景にジョギング、マラソン、登山などのスポーツ人口が急増中。そしてスポーツ愛好家の必需品といえば、「カロリーメイト」やスポーツドリンクが思い浮かぶのだが‥‥。実は最近、意外な食品が“スポーツ仕様”になって登場している。五輪イヤーに照準を合わせて発売したのか、それとも別の理由があるのか――。

東日本大震災がきっかけで生まれた「スポーツようかん」

 意外なスポーツ仕様食品として最近話題なのが、井村屋が2012年3月26日に発売した「スポーツようかん」。「ようかん」とスポーツは全く結びつかない気がするが、この商品の開発には、実は東日本大震災が深くかかわっているという。

 井村屋では2008年に3年間の長期保存が可能な「えいようかん」を発売。この商品を災害時の非常用食品として各自治体に案内していたが、「5年以上保存できるものが欲しい」という声が多く、2011年4月に従来の「えいようかん」を5年6カ月保存可能な商品にリニューアルして発売。そこに東日本大震災が起こり、長期保存できる菓子として「えいようかん」が注目され、売り上げが大幅にアップしたのだ。

 「昔からあるようかんに従来にはない視点でスポットを当てることで、新しいニーズが開拓できた。そこで、もっと新しいニーズや購買層を開拓したいという機運が高まり、スポーツ用としてのニーズに着眼した」(井村屋・広報担当)という。

 以前からようかんは登山などの行動食(食事とは別に小休止などで簡単に食べられるもの)としてザックに入れていく人もいて、マラソンのエイドコーナーにもバナナなどに並んで置かれることもあった。「振動・温度変化に強く、熱にも溶けにくい」という特性も野外活動にはピッタリなのだ。また、前述の「えいようかん」は手軽にカロリー補給ができるように、片手で簡単に開けて食べられるスティックタイプ。適度にやわらかく、水がなくてもそのまま食べられるといった特徴があり、ランニングやサイクリングなどのアウトドアにも向いている商品だった。そこで「えいようかん」の長所を生かしつつ、よりスポーツに特化した商品として生まれたのが「スポーツようかん」というワケだ。

「スポーツようかん」開発のきっかけになった、5年6カ月保存可能な「えいようかん」(参考小売価格525円)。60g×5本入り。サイズは86×82×37mm
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