社説:東京駅復元 時の流れを思う場所に

毎日新聞 2012年09月30日 02時30分

 その後、何度も高層化の話が出たが、80年代後半から市民の間で保存運動が盛んになり、03年には重要文化財に指定された。多くの人々の思いが後押しして復元につながった。総工費は約500億円。その大部分は駅舎上空の容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)を周辺の高層ビルに移転して、その売却代金でまかなった。

 特徴的なのは、全長が約335メートルに及ぶ横長な形だろう。高さが周囲より低いこともあって、重厚なのに押しつけがましさを与えない。

 日本人はもともと横に長いものをとらえる感性を持っていると指摘するのは美術史家の高階秀爾さんだ(「ジェイアールイースト」9月秋号)。歌舞伎の舞台や絵巻物など、伝統文化にも横長のものが多い。私たちが親しみを感じる背景に、民族的な美意識があるのかもしれない。

 オープンを前に報道陣に公開された。内装でもいたるところで98年前のレンガがうまく使われ、時の流れを実感させた。

 この駅舎は現代に至る日本の近代史を首都の中心部で見守ってきたことになる。私たちがふと目にした時に、歴史を感じ、自らがいる時代を確かめるような場所にできるのではないだろうか。

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