潰瘍性大腸炎(4)不安抱える患者に勇気を
首相となって最初に体調を崩したのは2007年初め。その時はステロイド薬で症状を抑えて何とか切り抜けた。しかし、激務に加え、同年7月の参院選で自民党が惨敗したことでストレスが高じた8月、外遊先でウイルス性腸炎にかかった。これを境に、持病は急速に悪化していった。
「総理の職というのは、1か月休養して『やっぱりダメでした』というわけにはいかない。交代するしかないと思いました」
首相辞任後、現みんなの党代表・渡辺喜美さんの妹から、健康食品を薦められた。医師で、同じ病気の患者でもある彼女はそれで症状が改善したという。青汁に混ぜて毎朝飲むようになり、具合がよくなった。
2年ほど前に発売された新薬が効いたこともあり、このところの定期検査では炎症反応は見られない。良好な体調を維持し、今や「完治に近い」という。
患者の集まりで講演した時には「こういう病気でも総理大臣まではできます」と気さくに語り、会場を沸かせた。社会復帰への不安を抱えた患者たちはその言葉を何より喜んでくれた。
「私が政治家として頑張っていくことで、皆さんを勇気づけられたら」。難病対策の一層の充実が、ライフワークに加わった。(文・高梨ゆき子、写真・工藤菜穂)
- 【一病息災・潰瘍性大腸炎】
- ◇ (1)突然の辞任 陰に難病悪化
- ◇ (2)選挙戦 脂汗かきながら我慢
- ◇ (3)新タイプの薬で「克服した」
(2012年1月26日 読売新聞)
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