米アップルと米グーグルの険悪化する関係を考えると、アップルがこの検索大手の技術を完全に自社の携帯機器から締め出すことができるのかどうか、またグーグルはそれによってどれだけ打撃を受けるのかといった点が臆測を呼んでいる。
アップルはすでにスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)」やタブレット端末「iPad(アイパッド)」で使われる基本ソフト(OS)を最新版「iOS6」にアップデートした際、「グーグルマップ」を自社の地図サービスと置き換え、大いに物議をかもすことになった。
グーグルは同社の携帯機器用OS「アンドロイド」でiOSの機能を模倣したとアップルが主張しているため、多くの投資家はアップルがグーグルの検索技術を将来的にiOSから排除していくのではないかとみている。
米調査会社バーンスタイン・リサーチの2人のアナリストは27日、調査リポートの中でこの問いに回答を試みた。トニー・サコナギとCarlos Kirjnerの両氏の論旨は、グーグルより劣る検索エンジンを導入すればユーザーの不評を買うというリスクを抱えることになるが、一方で、グーグルにはない同社の音声アシスタント機能「Siri(シリ)」の技術を使うことで、グーグルの収益に打撃を与えることができるかもしれない、というものだ。
「パーソナル・デジタル・アシスタント」と揶揄(やゆ)されることが多いシリだが、すでに簡単な検索に使うことができる。しかし、2人のアナリストは「抽象的であいまいな検索」には不十分だと指摘する。だが、シリの技術の進歩が、アイフォーン・ユーザーをグーグルにアクセスさせずに済ませるようになる可能性があり、そうなれば携帯機器を使った検索結果の広告から得られるグーグルの収益が打撃を受けることになる。「アップルにとって、こういった動きは皮肉にもグーグルからのTAC(トラフィック獲得コスト)収入減という結果につながるが、競合他社の主力商品への依存度を低下させることになる」とアナリストの両氏は論旨を展開している。
とは言うものの、その影響は、2020年に検索エンジンから得られると予測されるグーグルの収入の5%未満にとどまると試算している。この試算はアイフォーン・ユーザーが検索の3分の2をシリなど音声アシスト機能で行った場合という仮定に基づいている。
ただ、アップルが自社の地図サービスに対してユーザーから不満を受けていることは考慮されることになるかもしれない。2人のアナリストはこう書いている。「アップルのグーグルマップスからの離脱に対する激しい反発のなかにあって、根本的な問いが残る。アップルは、たとえそれが差別化になり、長期的にはグーグルへの依存度を軽減することにつながるとしても、機能的に劣る検索サービスを導入するというリスクをとるだろうかという問いだ」と。