生活保護:「アメとムチ」 厚労省案、安全網後退の懸念も
毎日新聞 2012年09月28日 22時56分(最終更新 09月29日 00時09分)
厚生労働省が28日公表した生活保護制度の見直し素案は、就労意欲を促すための加算金創設など「アメ」の部分と、審査の厳格化という「ムチ」の両面で従来より踏み込んだ。ただ、就労促進の実を上げるにはきめ細かい支援が不可欠だ。この前提が崩れれば厳格化だけが強調され、「最後のセーフティーネット」としての機能が後退しかねない。
働く意欲がある人への加算、賃金を得れば保護費が減額される仕組みの緩和−−。受給者に働くことを強く促す素案に対し、実務を担う自治体側の委員は28日の社会保障審議会の部会で方向性に賛意を示した。ただ、実効性には疑問も残る。
例えば今回の目玉、加算金創設も、何をもって「働く意欲がある」と評価するかは示していない。厚労省は採用面接を受けた回数などを想定しているが、あるケースワーカーは「外形的なアリバイはいくらでも作れる」と打ち明ける。