イルカのショーの会場を後にしたボクらは館内を見て回ることにした。魚については詳しくないけど幻想的な空間にただただ酔い浸っていた。
ち「涼くん」
り「ん?」
ち「なんでもない」と言いつつ手を握って寄りかかってきた。
くらげのコーナーは特に幻想的でカップルが多く見られた。
か「涼、くらげ買おう!」
り「いくらするんだよ^^;」
か「そっか…」
あ「でもほしい!」
り「あのな~」
あ「えさなんだろう」とすごい食い入って水槽を眺めている。
り「プランクトンとかじゃない?」
か「管理とかめんどそうだからいいや」
あ「でもかわいいからほしいな」
り「俺に余裕があったら買ってあげれるんだけどね」
か「余裕ならあるだろw」
り「うっ」言葉につまった。実際のところ有り余るくらいの金額は持ってきているし、大将に「これほしいんだよな…」とでも言えばすぐに用意できるだろう。だけどそんなことはしたくなかった。
あ「まぁいいや」
ち「涼、思い出に買おうよ」
り「誰が飼うの?」
ち「え?それは…」
だれもやるとは言い出さなかった。どうせえさやりとか面倒になって殺してしまうからだ。
か「もういいって」
り「ちゃんと冷静に将来も見つめなきゃな」
あ「それって私たちとの未来も?」
り「あーもちろん」
か「だから今日は考えてばっかなのかw」
り「うっ」
言葉につまった。それだけじゃないというかそれより大将のことで考えていたからだ。
か「違うの?」
り「そうだよ」
ち「なんか言い方が単調だな~ww」
あ「ウソなの~?」
り「いや、君たちとの未来について考えていたよ」
あ「そうなんだーw」
り「そんなことよりペンギンそろそろ行かない?」
あ「いくー」
か「そうだね、見たらご飯食べに行こ」
ち「いい時間だね」
り「そうだな」
ペンギンのコーナーにつくと小さい子供がたくさんいた。中にはボクと同じように幼馴染の女の子に囲まれてるかわいい男の子もいた。
り「きっとあの子も俺みたいに悩むころが来るんだろうな」
ち「たぶん来ないよw」
か「ってか涼がうちらをみんな惚れさえちゃうのがいけないんだよw」
あ「でもあの男の子ずっとあの女の子と手を繋いでるw」
り「ペンギン見よう」
あ「そうだったw」
か「涼がいきなり変なこと言い出すから~」
ち「ふふふ」
千佳は自分の感情に大きな起伏が起きると手を繋ぐくせがあるみたいだ。その都度そっと握り返すと口元が少しばかり上がる。
か「さっきから千佳と涼いいムードだねw」
あ「ずるーい」
か「いいじゃん、メインの買い物で涼と歩けるんだから」
あ「それもそっかw」
り「メ、メインって?」
か「買い物デート」
ち「みんなで買い物に行って、好きなものいっぱい見たり買ったりするの」
り「そか」
か「一番楽しみ楽なんだからね!」
り「はいはい」
あ「あーお腹すいたー」
ち「可奈ちゃんみたいw」
か「うちは『飯行こ、飯』だよ」
り「まるでおっさんだな」
か「うっさい!それにしても腹減ったー」
ち「可奈ちゃん、男というよりおじさんみたい…」
り「ってか言ってること違うしw」
か「まぁ細かいこと気にすんなって!」
り「はいはい」
水族館に入っているレストランで食べることにした。大きな水槽が目の前にあり、おいしいと評判のお店だ。
子連れが多いみたいだ。
か「うわっ、どれがいいか迷う~」
り「じゃー俺カレー」
ち「私も」
あ「じゃー私は…これ!えびかつサンド!」
か「うちは…ぼっかけ丼」
り「さすがだなw」
か「まぁねw」
ち「すごい食欲w」
あ「ある意味尊敬だゎ~w」
か「けなしてる?ほめてる?」
あ「どっちもw」
か「喜んでいいのかわかんないこの状況w」
り「っばあははははは」
か「笑うなし!」
り「わりぃわりぃw」
ち「でも笑っちゃうのも無理はないねw」
あ「可奈ちゃん、涼くんがいるといいねw」
か「もーみんなして冷やかさないで~」
従「お待たせいたしました、えびかつサンドをお持ちいたしました」
あ「はーい」
従「カレーお持ちいたしました」
千佳がボクと自分を順々に手で表示した。
従「ぼっかけ丼をお持ちいたしました。以上でお揃いでしょうか?」
り「はい」
従「どうぞごゆっくり」
か・り「いただきまーす」
ち・あ「いただきます」
り「うまっ」
ち「ほんと、おいしい」
あ「千佳ちゃん頂戴」
ち「はいどうぞ」
あ「おいしい!これもおしいよ」
ち「おいしっ」
か「どれどれ、涼もらうよ」
り「あー」
か「うめー」
り「お前のももらうからな」
か「やらねーよ」
り「不公平な」
ち「頂戴」
か「いいよー」
ち「こっちもおいしい!」
あ「うちもー」
か「どうぞ」
あ「おっいし~。可奈ちゃん食べる?」
か「うん。うまっ」
ボクはただ一人黙々と食べすすめた。
あ「涼くん怒った?」
り「別に」
あ「顔に書いてある」
り「怒ってないって」
か「ムスってなってるw」
ち「ごめんなさい」
り「謝らなくていいよ」
か「あっそ!」
あ「あのさ…険悪なムードやめない?」
り「あー悪かった」
か「ごめん…」
ち「ね!楽しくやろう」
か「ん!」と手を出してきた。
り「なんだよ?」
か「握手!」
あ「仲直りかw」
り「ん!」
ち「ふふふ、昔もこんなことよくあったね」
か「ほんとw懐かしいw」
あ「切り替わり早い可奈ちゃんに対して引きずる涼くん」
り「だって…」
ち「細かすぎるんだよ」
か「お前は女か?」
り「男だ!ってか俺が女だったらどうすんだよw」
か「たしかにw」
あ「もとに戻ったw」
ち「ほんとだね」
あ「喧嘩をするほど仲がいいw」
り「ごっそさん」
か「ごっそさーん」
あ「あーおいしかったー」
ち「ごちそうさまでしちゃ」
か「さて帰って遊びますか!」
あ「うん!」
ち「涼くん、もう少しここにいよ」
り「いいよ」
か「むむ!それは危ないなー」
あ「な~」
ち「ちっとも二人っきりになれないんだもん」
か「うちだって昨日二人っきりになってないよ」
ち「でもでもー」
あ「でもはなし!平等にね」
ち「ぶぅ」
か「帰って遊ぶにけってーい」
り「ここは従うしかなさそうだね」
ち「うん…」
あ「わーい」
外に出るとご飯を食べ終えた客がお土産を買っていた。
り「なんか買っとく?」
あ「ぬいぐるみ~」
か「キーホルダー揃えとく?」
ち「そうしよっか」
り「千佳、タツノオトシゴなんかどうか?」
ち「かわいいw」
か「やっぱイルカっしょ!」
あ「イルカいっぱい思い出あるもんね」
ち「そうだね、ちょうど、青、ピンク、緑、赤があるね」
り「青がいい」
か「赤にきめーった!」
あ「緑がいいな~」
ち「ピンクかわいい」
みんな同時にばらばらの意見を言った。
り「ちょうど決まったなw」
か「なにこの団結の無さw」
ち「でも争わなくていいからいいじゃん」
か「それもそっか」
あ「あーサメのぬいぐるみ~かわいい~」
り「買うか?」
あ「うん!」
ち「これ買って♪」
り「お!すごいなw」
ち「かわいいでしょ、白いアザラシのぬいぐるみ」
か「お菓子買ってー」
り「どうせ部屋で食うじゃんw」
か「ばれたか!」
り「でもいいよ」
か「まじ?あざーっす」
り「はいはい」
ち「涼くんはいいの?」
り「おれはいいよ、キーホルダーがあればそれで」
ち「そっか」
か「千佳、気にすんなって」
あ「涼くん荷物多くなるから買わないの?」
り「いや、ただほしいものがないだけ」
か「千佳見ててね」
ち「?」
か「お!この時計いいな!」
り「え?どこどこ?」
か「これ!」
り「おー!でもいいや」
か「な!」
ち「残念だね」
か「うん、はまると思ったのだが…」
り「今はめてるのまだ腕になじまないからさ」
あ「ちゃんとなれるまで新しいの買いたくないんだ!」
り「そういうこと」
か「くそー」
ち「まぁいいじゃん」
か「そうだね」
そうして水族館でのデートが終わり、何事もなくホテルに着いた。
つづく