子供相手のオヤツとして生まれたせいか、北関東には安価な“肉なし料理”がいくつか存在します。埼玉県行田市の「行田ゼリーフライ」は、おから入りの野菜コロッケです(コチラ)。両毛線沿線のじゃがいも入りやきそば(コチラ)だって「引き売り屋台では生の肉を持ち歩けないし、値段も高くなるから、挽き肉スープで肉っぽい味を出した」し貧乏料理です。
栃木県と群馬県の県境エリアに「肉なしシュウマイ」が存在します。その主成分は、じゃがいもとタマネギ。群馬県桐生市の「コロリンシュウマイ」は、男爵いものでんぷん粉も使ってます。これだけでは精進料理になってしまうので、豚脂を練りこんで肉っぽい味を演出。栃木県側の足利では薄皮で包まれていますが、コロリンシュウマイは皮もありません。最初からネイキッド。
コロリンシュウマイとは、弾力性のある「ぷよぷよ」物体です。出来立てをすぐ食べないと硬くなるため「弁当には入れないでください」と注意書きがありました。冷えると電子レンジでは元に戻らないため、蒸したてを15分以内に食べることが鉄則。店ではベンチや小部屋が用意され、出来立てアツアツを食べられるようになっていました。
コロリンシュウマイは1個25円で、数に応じてのバラ売りOK。温めたソースがかかっているのですが、これがウスターをお湯で割ったようなシャバシャバ加減。貼りだしてあった雑誌切り抜きによると、薄めソースは特注品とのこと。
もっちりとした「一口ダンゴ」の感覚ですが、ソースが見事な引き立て役になってて、じゃがいも(馬鈴薯)の甘味を引き出しています。ソース好きにはタマラン物件です。しかも安いし。
ほかのメニューも、肉入りコロッケ50円、いもフライ60円、ひと口カツ70円と激安ぞろい。肉なしコロリンシュウマイに対して、コロッケは堂々「肉入り」と書いてあるところが微笑ましいじゃありませんか。
by ぎずも
「かんさい絵ことば辞典」が到…