大間原発 年内にも工事再開の方針決定9月28日 17時29分
全国の電力会社に電力を供給する「電源開発」は、東日本大震災などで建設が中断されていた青森県大間町の原子力発電所について、政府が着工済みの原発の建設継続を容認したことから、年内にも工事を再開する方針を決めました。
中断されていた原発の建設が再開されれば、震災後、初めてとなります。
建設が再開される見通しになったのは、電源開発が青森県大間町で建設中の大間原発です。
大間原発の建設工事は、電源開発が平成26年11月の運転開始を目指して4年前から進められていましたが、東日本大震災で中断し、さらに、東京電力福島第一原発の事故を受けた政府の新たなエネルギー政策が決まっていなかったことから中断されたままになっていました。
こうしたなか、政府の新しいエネルギー政策がまとまったことを受け、枝野経済産業大臣が建設中の原発について、今月15日に青森県の三村知事や地元自治体に建設の継続を容認する考えを伝えたことから、電源開発は28日、取締役会を開いて年内にも大間原発の建設工事を再開する方針を決めました。
全国で建設中の原発は、このほかに中国電力が島根県で建設している島根原発3号機や東京電力が青森県で建設している東通原発1号機があります。
今回、大間原発の建設が再開されれば、震災後、中断された原発建設としては初めてとなります。
電源開発は来月1日に北村社長が現地を訪れ、こうした方針を地元自治体に伝えることにしています。
国内初のMOX燃料専用の原発
電源開発の大間原子力発電所は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を専用に燃やすことのできる国内初の原発で、青森県下北半島の津軽海峡に面した大間町で、平成20年から本格的な工事が始まっています。
電気出力は138万3000キロワットで、完成すれば国内最大の出力になります。
しかし、去年3月に起きた東京電力福島第一原発の事故の影響で、建設工事が進捗率(しんちょくりつ)38%の段階で中断し、電源開発はことし3月、2年後を目指していた営業運転の開始の時期を「未定」に変更する計画を国に提出していました。
大間原発の建設を巡っては、地元の大間町は、原発事故のあとも推進の立場を変えていませんが、津軽海峡を挟んで20キロ余り離れた北海道の函館市では、市長が工事の無期限凍結を国に要請したり、市民が建設の差し止めを求める訴えを追加で起こしたりするなど、反対の動きが強まっていました。
工事再開“事業者の判断で”
大間原発の建設工事が再開される見通しになったことについて、原子力規制委員会の事務局を務める原子力規制庁の森本英香次長は、28日の記者会見で、「建設工事の再開は報道で承知しているが、規制委員会として再開をすべきか否かの意見を言う立場にない」と述べたうえで、「規制委員会が新たに作る安全基準で評価させていただくので、それを承知で建設を進めるのであれば、事業者の判断で進めていただきたい」と述べました。
これについては、田中俊一委員長も今月19日の記者会見で、大間原発を始め着工済みの原発についても、今後、新たに作る安全基準で改めて審査する考えを示していて、基準に適合しない場合は、完成しても運転の開始は認められないとしています。
[関連リンク] |
|