大名古屋ビルヂング:「ヂ」の文字、半世紀…30日に閉館
毎日新聞 2012年09月29日 10時41分(最終更新 09月29日 12時06分)
水野隆夫さん(70)=名古屋市昭和区=は当時20代の若手商社マンで、開館から数年間、多くの大企業が事務所を構えるビルの取引先を毎週のように訪れた。「駅前再開発が進む中、いつかは閉じられるだろうと思っていたけど……」とビルを見上げ「取引先と一緒に屋上のビアガーデンの『マイアミ』で息抜きもした。熱気にあふれ、経済成長を実感していた」と懐かしむ。
飲食店など約40店が入る地下街「ダイナード」はサラリーマンでにぎわった。酒やたばこを販売する「林屋」は62年から営業する古株だ。91年から店に立ち続けた野村朱美さん(66)=同市守山区=は「勤め始めた頃はバブル景気の名残があり、毎朝大勢の人が寄ってくれた。レジが混雑して大変でした」と振り返り、「最近は顔なじみが少しずつ減って、寂しくなっていた」と話す。建て替え後に再出店するか検討中だが、野村さんは「店が再開しなくても、同じ場所からどんな風景になるのか見てみたい」と期待を寄せる。