日本政府は米軍岩国基地で試験飛行が行われている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、28日以降に米海兵隊が普天間飛行場へ移動を開始することを県や関係自治体に通告した。
9日の「オスプレイ配備に反対する県民大会」の抗議決議を踏まえ、24、25日には仲井真弘多知事が森本敏防衛相ら政府側へ配備中止を強く求めたが、国は結局聞く耳を持たなかった。
これは一貫して配備に反対している県民総意を無視する蛮行である。日米は民主主義を真っ向から否定する国に成り下がったのか。
有名無実の「安全」
本紙が毎日新聞社と合同で5月に実施した世論調査では、県内回答者の9割が「配備すべきでない」と反対の意思表示をしている。中でも普天間飛行場を抱える宜野湾市は97%と高率だった。
同調査以降も、6月にフロリダ州で空軍のオスプレイが墜落するなど事故は続いている。政府は「安全宣言」を行ったが、全く説得力を持たない。
不思議なのは、自由と民主主義、法の支配、基本的人権の尊重を共通の価値観として、ことあるごとに世界へアピールする日米両国が、なぜ沖縄に対してそれと相反することができるのか。沖縄は民主主義の適用外とでも言うのか。
そもそもオスプレイ配備以前の問題として、両政府は県民が住宅密集地に立地し「世界一危険な基地」と称される普天間飛行場の一日も早い閉鎖・撤去を求めていることを忘れてはいないか。
「配備ありき」の政府の強硬姿勢に関係市町村の首長らが「県民を自国民と思っていないのではないか」「民主主義国家の体をなしていない」と反発するのは当然だ。
普天間の県内移設、オスプレイ配備への反対が大多数の県民の意思であることは明白なのに、民主国家を自認する日米両政府はなぜこの現実を直視しないのか。なぜ沖縄の声を無視し続け、沖縄以外の地域と不平等な扱いをするのか。
岩国基地で行われたオスプレイの試験飛行では「市街地上空を飛んだ」などの情報や苦情が相次いだ。日米合同委員会で合意した安全確保策では、移動の際は可能な限り水上を飛行することになっている。また、米軍の施設・区域外で、原則として認められていないへリモードの飛行をしたとの指摘も寄せられた。
わずか数日間の試験飛行でも、米軍は安全確保策を逸脱した。沖縄にオスプレイが配備されればこの状況が日常化し、県民はいつオスプレイが落ちてくるか分からない恐怖の中で暮らすことになる。
非人道的政策
先の世論調査では、普天間飛行場の移設について県内回答者の9割が県外か国外移設、または無条件撤去を求めた。住宅密集地域に存在する危険な普天間飛行場は閉鎖・撤去を最優先すべきというのが揺るがぬ民意だ。
県民が沖縄戦の悲惨な体験を教訓に一貫して平和を希求しているのに対し、日米両政府は一貫して県民の願いを無視し軍事優先の非人道的政策を繰り返している。
着実な基地返還で、究極的に「基地のない平和で豊かな沖縄」の実現を望む県民の思いと、オスプレイ配備を強行する両政府との隔たりはあまりに大きい。
野田佳彦首相にあらためて問いたい。ぜひ答えてもらいたい。
沖縄では県知事と県議会、県内の全市町村長と議会、県選出の全国会議員が人命、人権の脅威である「欠陥機」の配備に明確な「ノー」を意思表示している。そのような代物を、あなたはお膝元の千葉県民に対し強制することができるのですか。
配備強行は沖縄を植民地扱いする暴挙だ。このままだと全基地が県民の敵意に囲まれる。強欲な軍事至上主義とも言うべき愚策は容認できない。オスプレイ配備を断念し、日米関係の劇的改善につながる普天間飛行場の閉鎖・撤去こそ強力に推し進めるべきだ。
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