中国国家海洋局は今年3月、大韓民国が管轄している離於島(中国名:蘇岩礁)を念頭に「海洋監視船と航空機で中国が管轄する海域を定期的に監視する」と宣言。さらに今月23日には無人航空機を利用し、離於島周辺海域を監視、管理する遠隔海洋監視システムのデモンストレーションを行った。
馬羅島の南149キロに位置する離於島から、中国側に最も近い島は上海沖の余山島で、直線距離では287キロ離れている。離於島周辺海域は韓中両国の排他的経済水域(EEZ)が重なる場所だが、国際法上の等距離原則に従って海洋の境界を定めた場合、明らかに韓国の管轄権に属する。韓国は1952年、この海域を含む「平和ライン」を発表し、2003年には「離於島海洋科学基地」を建設した。
韓国政府は16年前から中国政府に対し、この海域を含む済州島南方海域での境界線を決めるための話し合いを提案しているが、中国側はあれこれ理由をつけて話し合いに応じようとはしなかった。韓国政府はこれまで中国が境界を決めることに消極的な理由について「中国漁船の保護が目的」との見方を示してきた。ところが2006年に中国は突然、離於島を「蘇岩礁」と名付け、昨年にはこの周辺で沈没した漁船の引き上げ作業を行っていた韓国の船舶に対し、政府の船を派遣して「中国が管轄する海域だ」と主張してきた。さらに昨日は「海洋監視船と無人航空機を使って常時監視する体制を築く」と発表した。離於島周辺を紛争海域とする意図を露骨に前面に出してきたのだ。
海中の岩礁である離於島は、領土紛争の対象にはならない。ところが中国がこのように出てきたのは、西海(黄海)から東シナ海を経て南シナ海に続く海洋ラインを掌握し、海上での覇権を確立することにある。中国は今年の夏、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する複数の国と領有権争いをしている南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)、中沙諸島(マックルズフィールド堆)、南沙諸島(スプラトリー諸島)を合わせて三沙市とする措置を一方的に発表し、一部の島には軍隊まで駐屯させている。また、東シナ海では日本と尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐって対峙(たいじ)している。尖閣諸島の領有権争いには台湾も加わり、25日には台湾と日本の巡視船が周辺海域で互いに放水を行う事態にまで発展した。
中国政府は最近の国力向上に伴い、周辺国に対して領土拡張の野心を次々と見せているが、このような行動が自国の将来にどのような影響をもたらすのか、まずは深く考えるべきだ。実際、中国の脅威を感じる国々はここ数年、反中国で連帯する方向ですでに動き出している。中国は自らの行動によりこのような事態を招いている現実を直視しなければならない。
今後、離於島周辺海域で中国がいつ何をしてくるかはまったく予想がつかない。そのため韓国政府は、中国とのEEZ画定交渉を直ちに決着させ、離於島周辺海域に対する韓国の海洋主権を確実に守らなければならない。また、同時に韓国国内では済州海軍基地を1日も早く完成すべきだ。基地建設に反対する勢力は、大韓民国が直面する安全保障上のさまざまな脅威から国民の目をそらし、イデオロギーによって国民を扇動しようとしているが、政府は彼らの妨害に屈してはならない。