原子力規制委発足 府知事、京都市長 期待と注文
原子力の新たな規制機関「原子力規制委員会」と事務局の「原子力規制庁」が発足した19日、京都府の山田啓二知事と京都市の門川大作市長は「安全の専門機関ができたことは大きい」と期待を表明した。政府には原発の扱いを始めとするエネルギー政策について長期的な展望を示すよう求めた。
福井県の若狭湾には関西電力の原発11基が立地し、7月に再稼働した大飯原発3、4号機(同県おおい町)の半径30キロ圏には府内で約6万8千人が暮らす。
3、4号機の再稼働をめぐり、山田知事らは当時の原子力安全委員会が安全性を確認するよう繰り返し求めたが、政府は自ら暫定的な安全基準を設け再稼働に踏み切った。
こうした経過を踏まえた規制委の発足に、山田知事は「原子力安全委が機能停止状態だったので、安全のための専門機関が発足したことは大きい」と一定評価した。
今後、規制委では原発再稼働に伴う新たな安全基準をつくる方針だが、「大飯原発が新たな基準に合っているか、しっかり再点検するべきだ」と注文を付けた。
その上で、今後の原発再稼働に「エネルギー政策と密接に関係している。原発を動かすのか廃炉にするのか長期的な見通しが必要だ」と強調した。
市域の北端が大飯原発から半径30キロ圏内に入る京都市は、原子力規制委が今後策定する「原子力災害対策指針」をベースに市地域防災計画の原子力災害対策編をつくる準備を進めている。
門川大作市長は「専門家による独立機関で原発の新たな安全基準を策定し、徹底した安全性を検証することが喫緊の課題だ」とし、「国民の疑問に的確にこたえながら、原子力行政への信頼回復に全力投球してほしい」と求めた。
【 2012年09月19日 23時00分 】