日本企業:もろ刃の対中投資 成長市場、リスクも巨大
毎日新聞 2012年09月28日 00時59分(最終更新 09月28日 01時28分)
日本企業による対中投資はこの数年増え続けてきた。11年の対中直接投資額は約63億ドル(約5000億円)。中国の成長に陰りが見え始めた今年以降も勢いは衰えず、1〜8月の世界の対中投資が前年比で3・4%減少する一方で、日本の投資は16・2%増と拡大。中国が改革開放にかじを切った80年代後半、天安門事件後の90年代前半、世界貿易機関(WTO)加盟後の00年代前半に続く、「第4次ブーム」と言われる投資拡大期に入っていた。
一気に冷や水を浴びせたのが今回の反日デモだ。日本企業の中国進出支援に携わる大手銀担当者は「日系工場がこれだけ被害を受けたのは例がない」。大和総研の橋本政彦エコノミストも「賃金上昇など従来の課題に加え、反日リスクを日本企業は意識せざるを得なくなっている」と指摘。さらに「今回の事態は日本企業が投資先をミャンマーなどへ分散させるきっかけとなる可能性もある」と言う。
実際、イオン系のマックスバリュ西日本は27日、中国・青島に来春開業予定の新店舗の開店時期が遅れる可能性があると明らかにした。進出を検討していた自動車部品メーカーにも、当面見合わせる動きが出ている。