まるで面識のない人に、ネット上であることないこと好き勝手に書かれました。 相手はネットでは有名人みたいなので影響力はそれなりに大きく、いろんな人にネガティブな印象を持たれたり、また関係する人にショックを与えたりご心配をおかけしたりで、自分だけでなく周りの人にも迷惑を被りました。
しかし改めて考えると、こんなときに個人で対策できることなんて限られています (なんせ影響力に大きな差がありますからね)。 自分なりに考えた結果、せめて身の回りの人たちだけでも事実を説明することが大事であるという結論になりました。実際、できることなんてそのくらいしかないんじゃないでしょうか。
というわけで、自分の身に降りかかった災難に関して、ここで改めて事実を説明しておきたいと思います。
何があったか?
先日、PyConJp2012というPythonのイベントがあり、そこで発表してきました。タイトルは「Fantastic DSL in Python 〜Perlにdisられないために〜」です(movie)。副題は、最初はつけてなかったんですが、その日の基調講演でdankogai氏がPythonをdisってたことを受けて、その場でつけてみました。
その発表の冒頭で、こういう説明をしました。
今回発表するネタは1年以上前から暖めており、PyConJPの発表申し込みが始まったその日のうちに45分枠で申し込みました。 発表資料も45分を想定して作ってましたが、それができたころにちょうど当選通知のメールが来ました。 けど発表時間が25分に減らされてました。 これはつまり、「おまえの発表には45分の価値はない。そんな時間があったら、Pythonをdisるための基調講演に回すわー!」と言われたようなものです。 意気込んでた分、とても悔しいので、今回は45分の資料のまま、25分を駆け抜けたいと思います。
当然ですが、『おまえの発表には45分の価値はない、そんな時間があったらPythonをdisるための基調講演に回すわー!』なんてことを、PyConJPの事務局に言われたわけではありません。これは、dankogai氏による基調講演でのPythonのdisりっぷりを受けてジョークで切り返してるだけです。さすがにここを誤解する人はいないと思いますが、世の中にはいろんなクレーマーがいるので予防線として説明しておきました。
それで、発表自体はつつがなく、というか大した反響もなく終わったわけですが、発表を聞いた人がこんなことを書いてました。
PyCon 2012 に参加したはなし – tokuhirom’s blog.
あと、桑田さんが、「40分でスライド用意してたのに、弾さんの基調講演いれるから20分にされて不愉快だし、今日はさいしょの20分ぶんだけしか話しません」みたいなことをいってて、ちょっと残念だなーとおもった。
よくもまあねじ曲げたもんだと思いましたが、これを書いたのはPerlの人らしいので、dankogai氏の基調講演がネタにされたことにカチンと来たんだろうと思います。そういう悪感情があると、たしかにこういうねじ曲がった解釈をする可能性もあるなーと思いました。
事実はどうなの?
まず『不愉快』だなんてことは一言も言ってません。言ったのは「悔しい」という言葉です。
PyConJP2012で発表した内容は、実は去年のPyConJP2011に申し込んで発表するつもりのネタでした。しかし諸事情によって、去年はLightningTalkだけになりました。そういう経緯もあって、今回の発表ネタは1年以上前から暖めてきた、思い入れのあるネタです。
Pythonは内部DSLに弱いというのはよく言われることで、こちらの日記にも書かれてます。しかしよくよく見るとPythonの言語仕様には内部DSLに使える機能がいくつかあって、でもそれが内部DSLにうまく使われてないだけだと思っています。なので、自分としてはこの発表を通じて、「Pythonは内部DSLに弱い」というイメージを払拭するつもりでした。そのくらい意気込みをいれていた内容です。
また45分向けの発表資料を作ったのも本当です。申し込みの当落が発表されてないのに資料を作るほうが悪いと思うかもしれませんが、PyConJPでは過去に30分の発表(これ)をさせてもらってて好評だったし、LightningTalkも2件(これとこれ)やってたし、過去2回しかないPyConJPで3個も発表した実績があるから大丈夫だろうとタカをくくってました(結果的にはこれは読みが甘かったです)。
あと、PyConJP2012で採択された発表内容をみると、説明書きが「○○について。」の一言で済まされていたりとか(タイトルじゃないですよ、発表内容がほんとに一言だけだった(今見たら修正されてました))、そこまでではないにせよ2行3行しかない発表が続々と45分で当選している一方で、発表内容を詳しく説明して英語の文章も用意して「去年から用意してきたネタですのでよろしくお願いします」と申し込みフォームでアピールしたにも関わらず25分になった身としては、やっぱり悔しさは残ります。
というわけで、かなり意気込んで45分向けの発表資料を準備してたのに、申し込み時もアピールしたのに、それても25分になってしまったので、やっぱり「悔しい」です。これを否定するつもりはないけど、そのくらい気合いを込めて準備してたし思い入れのある内容だから、悔しがるくらいは許していただきたい。
でも「不愉快」だなんてことは言ってないし、思ってないです。
それから『(不愉快だから)今日はさいしょの20分ぶんだけしか話しません』というのも、事実と大きく違います。正しくは「悔しいので、45分向けの資料のまま、25分を駆け抜けます」です。発表を練習したときは、ところどころ省けば45分の資料でも25分でいけそうだったので、本番でもそうしました。実際にはまったく時間が足りずに最後のセクションが発表できなかったんですが、事務局の粋な計らいで、翌日のスプリントで残りを発表させていただきました(ありがとうございました!)。
実際のところは、こんな感じです。不愉快だから20分だけしか話さないとか、そういうのは悪意あるねじ曲げ方をした人の話なんで、自分の周りの人とPyConJP事務局の人にはきちんと事実をお伝えしておきます。
おわりに
今回の件については、桑田が不愉快だと言った、というのがPyConJP事務局の中の人に伝わり、大きなショックを受けた方がいたそうです。またそのことで心配して声をかけてくださった方もいらっしゃいます。僕自身も誹謗中傷を受けることが何度もあったし、今回も数ある中のひとつでしかないといえなくもないですけど、お世話になった人にまで迷惑がかかった以上、やっぱりきちんとした形で説明をしたほうがいいと思い、ここで正式に説明しておきました。
PyConJP事務局におきましては、つまんないことに巻き込んでしまい、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
こういったことは、きっとたくさんあると思うし、被害に遭われた方も多いと思います。今回はPythonのカンファレンスに来たPerlの人がネガティブなことを書いてますが、自分が思い浮かべたのは、古い話になりますがRubyKaigiに参加したJavaな人の話を参加してないJavaな人が聞きかじって好き勝手書き散らした件です(これも悪感情に起因してますよね)。このときやり玉にあげられたMさんも、こんな気持ちだったのかなーと独り思いを馳せました。
それで、「知らない人にネット上であることないこと書かれた場合にどうするべきか」ですが、最初に書いたとおり、一個人でできることなんてたかが知れてます(影響力のある著名人だったり弁護士雇って裁判を起こせる財力がある場合は別ですけど)。でも、自分の身の周りの人やお世話になっている人、もっといえば自分が説明をすれば聞いてくれる人たちには、やはり事実をきちんと説明して誤解を解き、信頼を回復することが必要ではないでしょうか。僕にはそのくらいしか思いつきませんでした。