デビュー戦を翌週に控え、スパーリングで汗を流す井上尚弥(右)=27日、神奈川県横浜市の大橋ジムで
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史上初めて高校で7冠を達成したスーパールーキー、井上尚弥(19)が27日、プロデビュー戦(10月2日、東京・後楽園ホール)に向け、所属する横浜市の大橋ジムで公開スパーリングを行った。その動きを見た大橋秀行会長は、WBA世界ミニマム級王者井岡一翔(23)が持つプロ7戦での国内最短世界奪取記録をはるかに超える、世界タイ記録のプロ3戦での世界奪取という仰天構想をぶち上げた。
怪物はプレッシャーを楽しんでいた。井上の「怪物伝説」をド派手に報じた25日付の本紙終面の感想を聞くと「読みました。ありがとございます。プレッシャーは全然。逆にパワーになりますよ」とキッパリ。「これからもどんどんあおるよ」と言うと「それは勝ってからで」と言いながら、まんざらでもなさそうなのだ。
この日は、前WBA世界ミニマム級王者・八重樫東と軽くパンチを交換するだけのマススパーを3回披露。スポーツ紙、一般紙、テレビ局など約50人の報道陣が集結。世界戦並みの注目の高さだが、本人は「報道陣が多いと逆に練習に集中できる」と落ち着いたもの。「世界王者になるのは大前提。その階級で誰も敵がいなくなるまで防衛したい。具志堅さんや辰吉さんみたいに有名なボクサーになりたい」と夢を語った。
井上の持つ無限の可能性に、大橋会長のビッグマウスもノンストップだ。「デビュー戦次第だけど、次に世界ランカーとやって、3戦目で世界どりも考えている」と、タイの怪物センサク・ムアンスリンが1975年に達成した世界タイ記録狙いの可能性を口にした。
6戦以内の世界奪取という井岡超えを意識する井上は「3戦目は無理です。プロのキャリアを積まないと。アマとはラウンド数、雰囲気、グローブの大きさも違うし」と冷静に分析。だが、デビュー戦次第では現実味を帯びてくるかもしれない。 (竹下陽二)
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