温暖化対策税:来月から課税 価格転嫁、家庭に負担 電気・ガス各社検討
毎日新聞 2012年09月28日 東京朝刊
地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出抑制を目的に、10月1日から石油や石炭などすべての化石燃料に地球温暖化対策税が課される。原発再稼働が見通せず、火力発電への依存度が高まる中、既に東京電力が9月1日からの値上げに増税分を織り込んでいるほか、他の電力会社やガス業界も料金への転嫁を検討中で、家計の負担増は避けられそうにない。コスト増となる産業界からも「競争力が損なわれる」と困惑の声が上がっている。【和田憲二、三島健二、永井大介】
10月1日から石油は1キロリットル当たり250円、液化天然ガスは1トン当たり260円の税金が課される。電力業界では、東京電力が一足早く今月1日からの値上げ(家庭向けで平均8・46%)分に増税を織り込み済みだ。15年3月までの3年間に想定されるコストを基に値上げ幅を決めたためだ。毎月の電気料金が7500円前後の標準家庭の場合、月14・5円程度が既に温暖化対策税として上乗せされている。
他の電力各社は「コスト削減で対応したい」(北陸電力)などとして当面、料金への反映を見送る姿勢を示している。ただ、関西電力や九州電力などは火力燃料費の増加に伴う値上げの検討に入っており、値上げの際に温暖化対策税分も転嫁するとみられる。
ガス業界では、東京ガスが9月末までに調達したガスの在庫がなくなる年内にもガス料金に転嫁する方向で検討中。上乗せ幅は標準家庭で月10円以下の見通しだ。大阪ガスなども時期を見てガス料金に転嫁する方針だ。
環境省は、16年まで3段階で引き上げられる温暖化対策税がすべて電気料金などに転嫁された場合、家計の負担が年1200円程度増えるとみている。