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医療費減らず最高37兆円に 後発薬・入院短縮空振り
10年度3.9%増

2012/9/27 20:59
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 医療費が右肩上がりで増えている。厚生労働省は27日、国民が1年間に使った医療費の総額を示す国民医療費が、2010年度は前年度比3.9%増の37兆4202億円になったと発表した。厚労省は価格の低い後発医薬品の利用促進や入院日数の短縮など医療費抑制策に取り組んでいるが、膨張に歯止めがかからない。

 10年度の国民医療費は、4年連続で過去最高を更新した。国民所得に占める割合は10.71%でこれも過去最高となった。増加した3.9%の内訳を分析すると、新しい抗がん剤の開発や治療方法の確立、高度な診断機器の普及など、医療の高度化が2.1%分を占めた。高齢者が増えたことによる影響は1.6%分だった。残りは治療の値段となる診療報酬をプラスに改定した影響が出た。

 医療費は増え続ける見通しで、厚労省は25年度に50兆円を超えるとみている。このため医療費の抑制策を打ちだしているが、目立った成果は出ていない。

 例えば、医薬品に占める後発薬の割合を12年度に30%にする目標を立て、直近では25%程度になっている。財務省の試算では後発薬のシェアが20%から30%になれば、年間4800億円の医療費削減につながる。ところが、10年度の薬局で調剤した薬代は5.5%増の6.1兆円だった。

 薬代が増えているのは、病気やけがをしやすく、薬を必要とする高齢者の絶対数が増えているためだ。薬の処方が多いがん患者の増加も一因だ。

 医療費の伸びを抑えるには、さらに後発医薬品を普及させる必要がある。米国、英国、ドイツの後発薬の割合は6~7割と高い。原則として後発薬の処方を義務付けるなど、大胆な改革が必要になりそうだ。

 入院日数の短縮も進んでいるが、10年度の入院医療費は6.3%増の14兆908億円だった。厚労省の直近の調査では、11年の入院日数は平均16.26日で0.36日減った。厚労省は「1回の入院で高額な治療を受けるケースがあり、医療費の単価が上がっている」とみている。

 年齢別の医療費を分析すると、65歳以上の医療費は全体の55%を占めている。75歳以上の1人当たり医療費は、65歳未満の5倍だった。高齢者の医療費は現役世代が支援金の形で一部を負担しており、高齢化が進めば、さらに現役の負担が増える可能性がある。

 医療費をまかなう財源では保険料が48.5%、税金が38.1%、患者負担が12.7%だった。税金は前年度から0.6ポイント上昇した。医療費は原則3割が患者負担だが、70歳以上の高齢者は自己負担の割合が低い。高齢者が増えたことで、税金への依存度が高まった。

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