社内会議は会社人生の破滅のもとだ。会議の数が多すぎるうえ、時間も長すぎるのに、ほとんど成果がない。
なぜか。ほとんどの会議は、実は必要ないからだ。会議を招集する前に、考えたほうがいい。電子メールや短い電話で目的を達成できないかどうかを。ただ情報の共有や業務の指示を与えるだけなら、会議をする必要はほとんどない。対照的に、問題について議論をしたり、新しいアプローチ法を開発したりするには会議は必要かもしれない。
また招待された会議のすべてに出席する必要があると思わなくていい。かなり多くの場合、締め切りが迫った急ぎの仕事を理由に丁重に断ることができる。それで完全に会議を避けることができなくても、あらかじめ設定した時間(例えば30分や60分など)に退場することができる。
会議が必要なときでさえも――できるだけ多くの人が会議を完全に避けられるように――特に重要な人だけを招待することで従業員が会議に費やす時間を減らすことができる。実証的研究は、より小さなグループ(5~7人)のほうが意思決定には効果的であることを示唆していることから、会議をより少人数で行えば、より生産性の高い会議ができるだろう。
最も重要なことは、会議をできるだけ短時間で終わらせることだ。1時間以上必要な会議はめったにない。ましてや90分を越えるなど、ありえない。1時間もかけたら従業員の集中力が失われ、達成できるものも減ってくる。時間制限を有効にする1つの方法は、椅子を会議室の外へ出すことだ。立ったままであれば、参加者は素早く仕事にとりかかる。
会議があるならば、十分に準備をすることが生産性にとって重要になる。参加者の一部が準備をしてこなければ、会議の最初の部分は全員のペースを合わせることに費やされることになる。これは将来の会議のために準備をしようという動機を参加者から失わせることになる。
十分な準備を奨励するために、リーダーは背景資料やアジェンダなどを少なくとも1日前に渡しておくべきだ。特定のリーダーがしばしばこのステップを忘れるなら、会議への出席は十分に時間的余裕をもって資料などが渡されたときだけにするという条件付きにしてもいい。ただし、その場合は自分の役目も果たすこと。つまり、リーダーが事前に資料を渡してきた場合は会議の前に精読しておくことだ。
全員の準備ができているなら、会議はより生産的なものになるだろう。リーダーによる簡単な導入(15分程度)のあと、参加者は問題について議論したり、新しいアプローチを開発したりできる。しかし、しばしば導入部分が果てしなく続き、議論の時間がほとんどなくなる場合もある。これでは会議を開くことの根本的な目的が完全に失われてしまう。
長い導入はパワーポイントを使ったプレゼンテーションの形をとると特にイライラさせられる。20~30のスライドを、1枚1枚に書かれた文字をすべて読みながら見せられると、死にそうなほど退屈になるのは誰もが経験済みだ。もしもそれが始まったら印象よくこう言おう。「あなたの論点は本当に興味深い。だからあなたのプレゼンについて議論するために、できるだけ多くの時間を割けることを望む」と。
どんな会議でも終了の際には、参加者が全員、次のステップについて合意しておくべきだ。1つ1つのステップの締め切りも同様だ。ただ、リーダーはこの決定を自分自身で下す衝動を抑えるべきだ。参加者が自分たちで目標を設けることができれば、自分たち自身を信じるようになる可能性が高いからだ。
端的に言うと、完全に会議をなくすことはできない。しかし、ほとんどの会議をなくし、サイズを小さくし、短時間にすることはできる。そして、その生産性を最大にさせるために、必要な会議を組み立てることはできるのだ。
(ロバート・C・ポーゼン氏は米国で10月2日公刊予定の『Extreme Productivity: Boost Your Results, Reduce Your Hours』の著者)