原発ゼロの衝撃:岐路に立つ青森/4 なくなった選択肢 聴取会、核燃料サイクル議論されず /青森
毎日新聞 2012年09月22日 地方版
5月25日、細野豪志・原発事故担当相は「原発15%は一つのベースになり得る」と発言。技術小委の座長を務めた鈴木達治郎・原子力委員長代理も6月5日の原子力委定例会で、「個人的意見」とした上で、「現時点では、併用の選択肢が合理的だ」と述べた。「落としどころ」に向け、レールは引かれつつあった。
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一方、原子力委の「新大綱策定会議」では、推進派と反対派が真っ向から対立した。
委員の三村申吾知事は、青森県が国や日本原燃と交わした約束をたてに、現政策を維持するよう迫った。知事は時折、感情をあらわにしながら、「核燃料サイクル施設や使用済み核燃料を受け入れたのは、再処理が前提だ」「約束が守られなければ、使用済み核燃料は発生元へお返しする」と繰り返した。
これに対し、反対派からは異論が噴出。「福島第1原発事故を受け、脱原発を求める国民の声は圧倒的に多い。いつまでも過去の国策に縛られているのはおかしな話だ」(伴委員)、「こんな衝撃的なことがあっても転向できない政策をまだ推し進めていくのか」(松村敏弘委員)。これに対し、青森県幹部は「国策に協力したのに、青森が悪者にされている」と憤った。