'12/9/27
安倍元首相が総裁「再登板」
26日の自民党総裁選で、安倍晋三元首相(58)=山口4区=の総裁再登板が決まった。「政権投げ出し」と批判された突然の退陣から5年。「あの挫折と経験を胸に刻み、必ず政権奪還を果たす」。就任会見で安倍氏はまっすぐに前を見つめ、力を込めた。
午前8時半、安倍氏は東京都内の自宅前で記者団を前に「序盤は出遅れたが、随分挽回できたと思う。けさの空のように爽やかな気分だ」。12日間に及んだ戦いの充実感と手応えをにじませた。
午後1時から党本部で始まった投開票は、石破茂前政調会長と安倍氏の決選投票にもつれこむ。「安倍晋三君が当選者に決定しました」。結果が読み上げられると、口を真一文字に結び、やや硬い表情で深々と頭を下げた。壇上に上がると、谷垣禎一前総裁とがっちり握手を交わした。
2006年9月、安倍氏は小泉純一郎氏の後継として、首相の座に。当時52歳で戦後最年少、初の戦後生まれの首相だった。「戦後レジーム(体制)からの脱却」「美しい国」などを打ち出したが、07年7月の参院選で自民党は惨敗。病気に加え、民主党の小沢一郎代表(当時)に党首会談を断られたなどとして同年9月に突然、退陣を表明。国民の厳しい批判を浴びた。
「5年前、突然首相を辞することになったことをおわびしなければいけない」。総裁選期間中の街頭演説や講演会の冒頭、安倍氏はこの言葉を繰り返した。
自民党総裁としては初の「再登板」となった安倍氏。午後6時、党本部の総裁室に入った。「懐かしい気持ちになるかと思ったが、まったくない。これからですから」。表情を引き締めた。
【写真説明】総裁戦を終え、選対の報告会で笑顔を見せる安倍新総裁(中央)=26日午後、東京・永田町の党本部(撮影・坂田一浩)