再臨主論争、背後に商業的・政治的思惑

実によって見分けるキリスト者へ-マタイ7・20

2012年09月21日23時49分

 9月23日号のクリスチャン新聞で、4面、5面を用いて「異端・カルト特集」が組まれた。異端として知られる韓国統一協会教祖であり同組織内で「再臨のメシヤ」とされた文鮮明氏が死去した件に絡めて、米共和党大統領候補ミット・ロムニー氏の信じるモルモン教、その他異端と言われるキリスト教について指摘している。

 その中で世界福音同盟(WEA)の北米理事張ダビデ氏に関する再臨主疑惑について、米国の福音派キリスト教雑誌などが報じていると伝えた。米クリスチャンポスト(CP)はこの福音派雑誌の報道に対し、当該記事を執筆した記者であるケン・スミス氏が児童ポルノに関与しており、さらに、同米雑誌と韓国で異端視されている牧師崔三更氏、さらには韓国の親北朝鮮系ニュースサイト「News N Joy」が結託していることも明らかにしている。

 クリスチャン新聞では、同米雑誌の記事、つまり児童ポルノに関与した記者によって書かれた信憑性のない記事を翻訳し、張ダビデ氏が「再臨主」である疑惑問題を統一協会問題に無理にこぎつけている。

異端ねつ造者の陰謀が世界へ広まる…

 米福音派といわれるキリスト教雑誌が8月16日「再臨主義論争」というタイトルで、韓国クリスチャントゥデイの設立者である張ダビデ氏に対する疑惑を大きく報道した。同雑誌では「香港で張氏を再臨主だ」などと信じたという証人を紹介し、さらには福音派の名高いキリスト教組織として知られる救世軍の少佐でありながら、サイバーテロ活動を行う山谷真氏の証言を追加、韓国で月経胎孕論と三神論を主張し、韓国基督教総連合会(韓基総)と大韓イエス教長老会(合同)で異端と決議された崔三更氏にインタビューをするなどして「作り上げられた異端問題」を詳しく報じた。同記事の中では、米国在住の中国系人物の証言が「内部証言」として用いられている。

 しかし、同雑誌の報道が出るとすぐに米国内ではこの報道内容に関する信憑性に大きな疑問を投げかける声が浮上した。まず、米CPは、同雑誌の報道に不足している全体の文脈と証言の信憑性、さらに東アジアでの議論の全貌を詳細に報じた。同雑誌の疑惑提起のための明確な根拠資料を提示し、張氏の再臨主論議の過程を綿密に追跡・調査した内容となっている。(CPの該当記事:英語原文)。

 CPは記事の中で、同雑誌の当該記事報道に関して、崔三更氏やNews N Joy、また山谷氏がこの長文記事作成過程に深く関与した実態を伝え、張氏を誹謗中傷する人物らの中に児童ポルノに関係した人物がいることも明らかにするなど、張氏を誹謗する勢力の背景を徹底的に暴く精力的な調査報道を行った。

 CPは今回の報道の背景について、CP自体も「米国のキリスト教大学で張ダビデ氏が創設者であるオリベット大学と関連がある」という理由で、今回の疑惑に関連付けられたが、CPは同社を創設したのはオリベット大学出身者だけでなく、カリフォルニア大学バークレー校など、米カリフォルニア州地域の諸大学出身者が主であると反論した。CPは現在、米国最大のオンラインキリスト教新聞社として、米国内の幅広いキリスト教徒に支持されている。

児童ポルノ関与の米キリスト教雑誌記者、人づてに聞いた情報で記事をねつ造

 CPは記事の中で、米雑誌の再臨主疑惑報道が、すでに香港で議論が終結した事案であり、当該記事で張ダビデ氏が再臨主であるとの証言をさせられたと主張した「マー・リー氏」という香港の「自称証人」についても、同氏の元夫が公証のサインと共に、「彼女は張ダビデ氏の関連する組織と関係がなく、発言を詐称している」ことをCPに対し証言した。

 クリスチャン新聞が過去に報じた張ダビデ氏の異端問題に関する記事も、そもそもの情報源は山谷氏および元救世軍の坂井能大氏というキリストを伝える立場にありながらサイバーテロを行う二人を前面に出して作り上げられた異端問題の内容に依拠しているだけである。さらにはこの「作り上げられた異端問題」の情報が中国大陸、米国などに翻訳され、それぞれの国で利害関係を共有するネットワークに伝えられたため、今回の米雑誌の「再臨主論争」の報道にまで誇大報道されるに至った。

 「マー・リー氏」という自称再臨主の証人と米雑誌に取り上げられた人物については、その元夫の証言がなされて以後、米雑誌が当該記事の同氏による証言内容を「再臨主を信じた」から「再臨主を信じたことがない」と急きょ紙面掲載後に修正する事態が生じるに至った。

 さらには米国で唯一の「再臨主の証人である」と取り上げられた匿名の人物のコメントをも、同雑誌はオンライン紙面掲載後、元夫の証言を受けた後に「(張氏が)再臨主という事実を信じる信仰を持ったし、認めていた」から「再臨主という事実を信じたこともなく、再臨主と告白したこともない」との記述に変更した。さらには同雑誌が記事タイトルとしてつけた「再臨主論争」というタイトルを全面的に否定する、事実上正反対の記事の内容へと掲載後になって大幅に修正されたのである。

 同雑誌は、「米国で唯一の証人だ」と紹介した匿名の人物のコメントについて、記事の内容全体を完全に覆す記述に急きょ修正し、「事実上の同じ『元メンバー』という人は一時彼も『張牧師が再臨主という事実を信じる信仰』を持ったし、『そうだ』と認め、彼はそれを信じていた」から「事実上の『同じ元メンバー』という人物は、『張在享牧師が再臨主と信じたこともなく、張牧師を再臨主と告白したこともなかった』と明らかにした」と全くタイトルとは異なる記事内容に変更された。

 記事が修正された背景には、当該記事を執筆した記者の取材中に、取材内容の誤りがあるかどうか確認されずに掲載されるにいたったこと、同雑誌が「再臨主告白が真実ではない」ことを記事掲載後になって把握し、慌てて記事の内容を訂正した事実は、同雑誌記事の信憑性に非常に大きな打撃を与えるに至った。同雑誌読者の間でも「同じ福音主義キリスト教界内で無駄な闘争を繰り広げている」などの厳しい非難がなされた。

 さらには同雑誌の当該記事で「証人」として用いられた人物2人が、同雑誌の報道に対し、「事実ではないし、名誉毀損である」として、直ちに法的対応に出る意を伝えたこと、この記事を執筆した記者ケン・スミス氏が慌てて「私が証言者から直接聞いたわけではなく、誰かがそのように言うことを聞いていたということを、人づてに聞いただけである」と基本的なジャーナリズムの精神に対する欠落を告白するに至った。

WEAも北米理事張ダビデ氏への陰湿な攻撃へ懸念示す

 米国の福音主義キリスト教界では、WEAを積極的に支持する人々が存在する一方、韓国クリスチャントゥデイ設立者でWEA北米理事の張ダビデ氏を陰湿に攻撃する議論の背景を注視している。韓国では過去8年間、根拠のない統一協会や再臨主疑惑で張氏を陰湿に攻撃してきた親北朝鮮系ニュースサイト「News N Joy」と韓国キリスト教界内で異端とされている崔三更氏が、今回の米雑誌報道および張ダビデ氏に対する疑惑問題に深く関与していることが明らかになった。

 崔三更氏は、問題の報道が出る約一週間前、「同雑誌が再臨主論議を20日頃に報じるだろう」と側近たちに伝え、同雑誌から受けたインタビューが良かったと話していたことが韓国基督教総連合会(CCK)に報告されていた。WEAは、韓国ですでに結論の出た問題を米国で再び取り上げ、News N Joyと崔三更氏が外国の匿名の人物らと結託し、WEAの要人と国際パートナーを攻撃した背景について集中的に調査している。

 米雑誌の報道によると、韓国では唯一、「News N Joy」が同雑誌の報道内容を何ら疑うことなく「再臨主論争」というタイトルを「東洋の再臨主牧師」としてさらに歪曲して報道している。それに便乗するようにクリスチャン新聞も根拠のない米雑誌の報道記事などを引用して、統一協会教祖死去と絡めてねつ造された「再臨主問題」を再度報じるに至った。これらの動きに対し、張ダビデ氏側は法的対応に入っている。

 一方、米国の雑誌の今回の報道が張氏の誹謗中傷を目的としている状況が明らかになっているにもかかわらず、同雑誌が最終的にオンラインに掲載した記事内容で結局わかることは、「全世界のどこでも張氏が再臨主理論を教えたことがない」ということをわざわざ明らかにしてくれたということだけである。なお同雑誌の取り上げる「再臨主」理論は、「イエスの初臨が失敗して再臨主が現れ課題を完遂していくべき」というもので統一協会の作ったイエス・キリストに対する敬意のない、同協会独自の理論である。

WEA、今回の報道を機に張氏の福音活動をさらに支持へ

 WEA北米理事であり、米国オリベット大学を創設するなど福音主義キリスト教界で活発な活動を行う張氏は、CCKと韓国長老会総連合会の登録教団である大韓イエス教長老会(合同福音)の前総会長でもある。米国で張氏をよく知る福音主義キリスト教界の要人らは、張氏について、「宣教的で福音主義的な指導者」として高く評価している。

 米国南部バプテスト連盟(SBC)副総会長を務め、30年以上同教団の派遣宣教師として奉仕したウィリアム・ワグナー博士(オリベット大学総長)は、「(張氏から)オリベット大学に来てほしいと要請を受けた時、オリベット大学と関連したすべての批判的資料を検討し、香港まで出向いて調査委員会と直接面談もした」とし、「しかし、彼ら(オリベット大学関係者)は、宣教的であり、福音主義的で、主なるキリスト・イエスへの深い愛があることを発見し、このような私の確信のゆえ、オリベット大学の指導者として働く数年の間、良い感情を持って一緒に働くことができた」と述べている。

 さらにWEAのジェフ・タニクリフ代表は声明を発表し、張氏の福音主義キリスト教信仰について、全く疑いの余地がないことを明らかにした。同氏は、「過去数年間、張ダビデ牧師と神学的な議論を数回行い、多くの時間を共に過ごした」とし、「彼のキリストへの深い献身と聖書の福音主義的な理解に疑問を持ったことがない」と強調した。

 米ニューヨーク神学校学長でニューヨーク・インマヌエルコミュニティ教会元老牧師のポール・ディブリース氏(オリベット大学教授)は、同雑誌の再臨主疑惑記事について「(米国で活躍する)韓国人の牧師に対する情け容赦のない偏狭な米国愛国主義の表れであって、良いジャーナリズムではない」と非難し、記事を執筆したケン・スミス氏について「よく知りもしないことを伝えることに没頭しているようだ」と非難した。

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