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これは、ハッピーエンドが許されない物語。
それでも、少年はハッピーエンドを探し続ける。
授業中。
「……」
俺の名前は郁水行人。
「あら、消しゴムが……」
消しゴムが落ちた。
「……」
「はい」
隣りの席の女の子が消しゴムを拾って渡してくれた。
「あ、ありがとさん」
「いえいえ」
「……」
なんで手袋してるんだろ……。
「でねー、それでね!」
「うんうん」
俺のクラスメイトであるあの子は、いつも手袋をしている。寒がりだと言っても、今は夏だし、潔癖症かと思えばこの前普通に係のトイレ掃除を苦にもせずしていた。
「なんでだろう」
自分に聞いたところでわからない。そもそも、あの子とはあまり接点もなくて、こじつけるにしても、席が近い、それだけの話なのである。
「うひひーっ! あ、行人ー。何いやらしい目でこっち見てんのさー?」
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