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スペースシャトルの打ち上げについて

ディスカバリー打ち上げ記念として、スペースシャトルの打ち上げについてマニアックに解説する。

まず、打ち上げ16秒前に水消音システム(sound suppression system)が始動し、12秒くらい前にシャトルの下に大量の水がまかれる。この水は、エンジンの反響音によるシャトル本体の損傷を防ぐためのもので、約41秒でタンクに蓄えられた1100トン(110万リットル)の水が全て放水される。打ち上げ前から離陸時までの煙のほとんどがこの水が蒸発した水蒸気である。

右のタンクに水が蓄えられている。

打ち上げ10秒前に水素燃焼システム(Hydrogen Burnoff System)が始動し、エンジン下に漏れて溜まった水素が爆発しないように、火花によってあらかじめ燃焼させられる。そして、メインエンジンの燃焼室に液体水素と液体酸素が充填される。ちなみに、燃料タンクに充填された液体水素と液体酸素の割合は6:1であり、また、混合比率も6:1である(あまった水素は空気中の酸素と化合する)。

6.6秒前に大きな音を上げてメインエンジンに点火され、3秒で出力90%に達する。この時点で問題があれば、メインエンジンを停止することもできる。6.6秒前に点火する理由は、エンジン始動の勢いによって傾いた機体が、6.6秒でもとも体勢にもどるため。

0.5秒前に左右の固体ロケットブースタ (SRB)に点火され、シャトルを発射台に固定している火薬入りボルトを起爆してシャトルが上昇する。ちなみに、オレンジ色のメインエンジンの推力が5.4MN(メガニュートン)であるのに対し、SRBの推力は、その5倍以上の29.4MN(14.7x2)である。つまり、スペースシャトルは打ち上げ時の推力の8割以上をSRBに頼っている。

打ち上げ後、約20秒で、半回転し、

約2分後、SRBが切り離される。

約8分30秒後、メインエンジンが停止し、約8分50秒後に切り離される。SRBは使い捨てだが、メインエンジンは回収され、再利用される。

ディスカバリーは打ち上げから約40分で軌道制御システム(Orbital Maneuvering System)のエンジンを始動し高度約226kmの初期軌道に秒速7.77㎞(マッハ22.8)で投入される。そして、6月3日午前2時54分、上空約343kmでISSとドッキングする予定。

ちなみに、スペースシャトルのSRBの燃料であるコンポジット推進剤は、燃焼により塩化水素(有毒)を生じる。(打ち上げ後の煙のほとんどがコンポジット推進剤によるもの)。一方、ケロシン(灯油)や液体酸素などを燃料とする液体燃料ロケットは、コンポジット推進剤に比べて無毒で煙も少ない。

下の動画はケロシンと液体酸素を用いる代表的なロケット「ソユーズ」の打ち上げ。韓国人初の宇宙飛行士イ・ソヨンらが搭乗している。ソユーズは最も安全で経済的な有人宇宙船といわれている。

同じくケロシンと液体酸素のロケット「サターンV」(史上最大のロケット)。アポロ11号を載せている。

ちなみに、バラバラと落ちてくる白い物体は「氷」である。これは、第一段ロケット(S-IC)に充填されている-183℃の液体酸素で水蒸気が凍ったもの。

もうひとつ豆知識。軌道上で前を飛ぶスペースシャトルに宇宙ステーションが近づこうとして加速すると、宇宙ステーションは減速しながらどんどん上昇していってしまう。なぜなら、加速することで宇宙ステーションにかかる遠心力が上昇し、地球の重力を振り切ってしまうからだ。このように、軌道上では、高い位置に行くほど遅くなり、低い位置に行くほど速くなるのである。(同じ高度の軌道にある物体はすべて同じ速度になる)つまり、スペースシャトルに宇宙ステーションが追いつくためには、進行方向にエンジンを噴射して加速し、高度を下げる必要がある。

今回のディスカバリー打ち上げの動画はここで公開されている

視聴にはQuickTimeプレイヤーなどが必要。

ディスカバリーのミッション詳細はここ

スペースシャトル打ち上げに関する詳細はここで紹介されている

(おまけ)スペースシャトルやISSの速度や軌道周期の計算

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