第1回地図力検定試験 問題と解説
● 問1から問50まで、1問ごとに、問題、正解、正答率、解説、参考資料の順に並べてあります。
● 参考資料は、著者『書名』(出版社/発行年/価格)の形で掲載しました。同じ参考資料が続くときには適宜省略してあります。価格は、本体価格の場合と消費税込みの定価の場合が混在していますのでご注意ください。絶版になっている資料を参考のためあげたところもあります。興味のある方は図書館等でご覧ください。
[1] はじめて実測による日本地図を作った伊能忠敬について、次の問1〜問4に答えよ。
問1 2001年春に200面をこえる伊能大図の写しが海外で発見され大きな話題になった。これらが発見された場所を、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 米国議会図書館
(2) ルーブル美術館
(3) 大英博物館
(4) ロシア国立公文書館
(問1) 正解は(1) 正答率 57.9%
2001年3月に米国の首都ワシントンにある米国議会図書館の地理・地図部で伊能忠敬研究会代表幹事の渡辺一郎氏が発見。同年6月に渡辺氏、日本国際地図学会の鈴木純子氏ほかが詳しく調査。その結果が7月5日に「アメリカで伊能大図206枚の写し発見」と報道され大きな話題となりました。
2004年4月から全国各地で「アメリカ伊能大図里帰り展」が開かれています。日程等は、当センターのホームページでご覧ください。
参考資料−−−アメリカ伊能大図展実行委員会編『アメリカにあった伊能大図とフランスの伊能中図』(日本地図センター/2004/2,500円)
問2 伊能図は、特殊なものを除き、縮尺によって大図・中図・小図の3種類がある。このうち、中図は、全国が8面からなり、図上6分が1里に相当する。この中図の縮尺として正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 1:6,000 (2) 1:36,000 (3) 1:216,000 (4) 1:432,000
(問2) 正解は(3) 正答率 44.7%
大図は、縮尺36,000分の1(1分1町)で全214面。中図は、縮尺216,000分の1(6分1里)で全8面。小図は、縮尺432,000分の1(3分1里)で全3面。
尺貫法では、1里(り)(約3.9q)が36町(ちょう)、1町(約109m)が60間(けん)、1間(約1.8m)が6尺(しゃく)、1尺(約30.3p)が10寸(すん)、1寸(約3.03p)が10分(ぶ)に当たります。1分は約3.03o。したがって、1里は 36×60×6×10×10=1,296,000分となります。中図の場合、6分が1里なので、1,296,000÷6=216,000 が縮尺分母となります。中図の縮尺は、国土地理院の地勢図(縮尺20万分1)とほぼ同じと覚えておくとよいでしょう。
参考資料−−−渡辺一郎『伊能忠敬測量隊』(小学館/2003/3,465円)
問3 伊能忠敬のとった測量方法について述べた文として誤っているものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 歩幅と歩数から距離を求める歩測を行った。
(2) 北極星の高度を測る天測を行った。
(3) 距離と角度から位置を順番に求めていく多角測量を行った。
(4) 経度を決めるため離れた場所で時刻の同時測定を行った。
(問3) 正解は(4) 正答率54.6%
伊能測量隊の測量は、基本的に多角測量(導線法)であり、距離の計測には歩測、間縄(けんなわ)、鉄鎖(てっさ)を用い、角度の測定には彎窠羅鍼(わんからしん)(通称杖先磁石)と呼ばれる現在のアリダードのようなものや半円方位盤を用いました。遠方の山頂を見通し、それぞれの角度から自分の位置を確認する後方交会法類似の方法も用いています。測定誤差補正のため、晴天の夜は象限議(しょうげんぎ)を用いて天体観測を行いました。
問4 伊能忠敬は、「人生を2度生きた巨人」とも呼ばれる。伊能忠敬が佐原から江戸へ移住し、幕府天文方となる高橋至時に入門したのは、何歳のときか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 30歳 (2) 40歳 (3) 50歳 (4) 60歳
(問4) 正解は(3) 正答率 65.9%
伊能忠敬は、1745年上総国小関村(千葉県九十九里町)で誕生。1762年佐原村の伊能家の婿養子となり、運送業、米の売買業、酒造業などを営んだ後、1794年49歳で家督を長男に譲り隠居しました。翌1795年50歳の時、江戸深川黒江町(江東区門前仲町)に移り住み、天文学者高橋至時(たかはしよしとき)の門を叩き念願の弟子となりました。1800年の第1次測量から1816年の第10次測量を経て、「大日本沿海輿地全図」の作成に取り掛かりましたが、1818年73歳の時、八丁堀亀島町で病没。「大日本沿海輿地全図」は、1821年に完成し、幕府に上呈されました。
[2] 地図に関する歴史について、次の問5〜問8に答えよ。
問5 次の図は、バビロニアで作られた紀元前700〜500年頃のものと推定される地図である。この地図が描かれた素材を、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) パピルス (2) 石板 (3) 羊の皮 (4) 粘土板
(問5) 正解は(4) 正答率 62.6%
古代バビロニアでは、世界はバビロンを中心に円盤のように広がっていると考えられていました。大英博物館蔵。
参考資料−−−織田武雄『地図の歴史』(講談社/1973/880円)、織田武雄『地図の歴史 世界編』(講談社/1990/735円)
問6 地図は、昔も今も政治上きわめて重要な情報である。献上する地図の中にやいばをひそませ暗殺するという企ての的になった人物を、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 秦の始皇帝
(2) ローマのカエサル(シーザー)
(3) イギリスのエリザベスT世
(4) アメリカのリンカーン大統領
(問6) 正解は(1) 正答率 30.8%
司馬遷の史記列伝(刺客列伝第二十六)によれば、荊軻(けいか)が燕の太子丹(たん)に頼まれ、秦の始皇帝(当時は秦王政(せい))を暗殺しようと企てました。荊軻は、玉座の前に進み出て、樊於期(はんおき)の首と燕の督亢(とくこう)(地名)の地図を献上します。秦王が地図をひろげるうちに、地図の最後にまきこんであった匕首(あいくち)があらわれます。荊軻は匕首を取り、秦王を突き刺そうとしましたが、すんでの所で失敗し、殺されてしまいました。5年後、燕は秦に滅ぼされます。なお、その地図は残っていません。
1998年に、日・中・仏・米4か国合作映画『始皇帝暗殺』が封切られました。ご覧になった方もおられると思います。
参考資料−−−小川環樹ほか訳『史記列伝(二)』(岩波文庫/1975/660円)
問7 ギリシャ時代の学者、エラトステネスについて述べた文として正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 子午線上の2点間の距離と太陽高度との関係から地球一周の長さを算出した。
(2) アテネの図書館長として多くの地図を収集し、医学においても業績を残した。
(3) 当時知られていた範囲の世界図を作成し、天動説をとなえた。
(4) 地球が回転楕円体であることを天体観測から明らかにした。
(問7) 正解は(1) 正答率 55.3%
エラトステネス(前275頃−前196頃)のとった算出法は次のとおりです。まず、地球は球体をなすとしました。つぎに、アレクサンドリアとシエネ(現在のアスワン)が同一子午線上にあって、資料から5,000スタディア離れているとみなしました。さらに、夏至の正午には、太陽が、北回帰線近くにあるシエネでは真上にくる一方で、アレクサンドリアでは天頂から7°12′(360°の50分の1)傾くことを観測しました。そこから、地球一周では25万スタディア(5,000×50=250,000)になると計算したのです。1スタディウム(スタディアの単数形)を178mとして換算すると、これは44,500kmとなり、実際の地球一周の長さ約4万kmとくらべて、1割ほど過大なだけにすぎません。
エラトステネスは、アレクサンドリアの図書館長でした。
参考資料−−−織田武雄『地図の歴史』(講談社/1973/880円)、織田武雄『地図の歴史世界編』(講談社/1990/735円)
問8 中世ヨーロッパのTO図と呼ばれる世界地図について述べた文として誤っているものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) エルサレムを中心に世界が円盤状に描かれていた。
(2) 陸地の周囲は、オケアノスと呼ばれる大洋で囲まれていた。
(3) キリスト教の神学的な世界観を反映するものであった。
(4) 地図の上方が南になっていた。
(問8) 正解は(4) 正答率 61.9%
TO図の上方は、楽園(エデンの園)が存在する東とされていました。
[3] 測量の基準などについて、次の問9〜問12に答えよ。
問9 平成13年に測量法が改正され、測量の基準として世界測地系が導入された。日本測地系の経緯度で表されている地点を世界測地系の経緯度で表すと、東京付近では、経度が約−12″、緯度が約+12″変化する。これを距離に変換すると、北西方向に、何mずれることになるか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 約4.5m (2) 約45m (3) 約450m (4) 約4,500m
(問9) 正解は(3) 正答率 62.3%
平成13年6月20日公布、平成14年4月1日施行の改正測量法で、測量の基準がそれまでの日本測地系から世界測地系へとかわりました。日本測地系から世界測地系への変更に伴う経度・緯度の変化は、全国一律ではなく場所によって異なります。
参考資料−−−国土地理院ホームページ(http://www.gsi.go.jp/)、日本地図センター『新版 地図と測量のQ&A』(日本地図センター/2003/1,260円)
問10 日本経緯度原点の所在地はどこか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 東京都千代田区千代田(旧江戸城富士見櫓)
(2) 東京都千代田区永田町一丁目(旧陸地測量部)
(3) 東京都中央区新川二丁目(霊岸島)
(4) 東京都港区麻布台二丁目(旧東京天文台)
(問10) 正解は(4) 正答率 45.8%
測量法施行令では、測量法に規定する日本経緯度原点の地点を「東京都港区麻布台二丁目十八番一地内日本経緯度原点金属標の十字の交点」と定めています。これは、旧東京天文台子午環の中心点に当たります。
問11 次の文の [空欄] の中に入る値として正しいものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
「地球の自転によって、時刻は経度 [空欄] につき1時間ずつずれていく。しかし、場所ごとにばらばらの時刻を用いるのは不便なので、国や地域ごとに標準時が定められている。」
(1) 2° (2) 10° (3) 15° (4) 24°
(問11) 正解は(3) 正答率 90.1%
地球一周は360°、地球の自転周期は24時間、したがって、時刻は経度15°(360÷24=15)につき1時間ずつずれていきます。我が国の標準時(中央標準時)は、東経135°における時刻であり、協定世界時に9時間を加えたものです。
世界各地の標準時を示した地図(時刻帯図、等時帯図などとも呼ばれる)は、日常よく見かける地図です。
問12 地球上で、ある地点のちょうど裏側の地点を対蹠点(たいせきてん)という。北緯35°、東経140°で示される地点の対蹠点の経緯度を、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 南緯35°、西経140°
(2) 南緯55°、東経40°
(3) 南緯35°、西経40°
(4) 南緯55°、東経140°
(問12) 正解は(3) 正答率 72.9%
対蹠点は、地球上で経度緯度がそれぞれ180°離れた地点です。絵を書いてみれば、正解はすぐわかります。
対蹠点の蹠(せき)は、足の裏あるいは踏みつけるという意味。自分と地球のちょうど裏側にいる人とは、お互いに足の裏で踏みつけあっているように見えますね。
[4] 地球の表面を平らな地図に表すために、いろいろな図法(地図投影法)が使われる。これについて、次の問13〜問16に答えよ。
問13 次の図は、国連の旗である。この中に使われている地図について述べた文として正しいものを、(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 北極中心の正距方位図法による世界全図である。
(2) 北極中心の正距方位図法で南緯60度まで描いている。
(3) 北極中心の正積方位図法による世界全図である。
(4) 北極中心の正積方位図法で南緯60度まで描いている。
(問13) 正解は(2) 正答率 60.4%
国連旗は、1947年10月20日の国連総会で決められたものであり、国連のエンブレムを淡青色の地の中心に白抜きで置いたものとなっています。この国連のエンブレムは、1年前の1946年12月7日の国連総会で決められたものであり、地図は、5本の同心円をもつ南緯60°までの北極中心の正距方位図法とされました。
問14 ユニバーサル横メルカトル図法の各経度帯の中央経線における縮尺係数は、0.9996である。では、我が国の平面直角座標系の各座標系のX軸上における縮尺係数はいくらか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 0.9993 (2) 0.9999 (3) 1.0001 (4) 1.0003
(問14) 正解は(2) 正答率 33.0%
ユニバーサル横メルカトル図法(UTM図法)では、経度6度ごとの経度帯において、縮尺係数が全体としてできるだけ1に近くなるようにするため、中央経線における縮尺係数を0.9996とし、これにより経度帯の端でも1.0006をこえないように工夫しています。
同じように、我が国の平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第九号)で用いるガウスの等角投影法では、座標系のX軸上における縮尺係数を0.9999と決めています。これにより各座標系の端でも1.0001をこえないようになります。平面直角座標系は、より縮尺の大きい地図に使われるため、縮尺係数の差がより小さくなるようにしているのです。それにともない、一つの座標系の適用区域はより狭くなります。我が国は、UTM図法では6個の経度帯におさまるのですが、平面直角座標系は19個もあります。
球面および回転楕円体面は平面に展開することができないため、すべての地点で縮尺の正しい地図というものを作ることは不可能です。地図上のある地点での実際の縮尺(たとえば、1:25,010)と、その地図が称している縮尺(「2万5千分1地形図」なら1:25,000)との比(この場合、0.9996になる)が縮尺係数だと考えるよいでしょう。括弧内の例を逆にたどっていけば、縮尺係数が1より小さいならば、その地点での実際の縮尺は地図が称している縮尺より小さくなることが分かります。もちろん、縮尺係数が1ならば、両方の縮尺は同じになります。縮尺の大小のことはご存知ですね。
参考資料−−−日本地図センター『新版 地図と測量のQ&A』(日本地図センター/2003/1,260円)、日本国際地図学会編『地図学用語辞典 増補改訂版』(技報堂出版/1998/6,600円)
問15 世界の気候を表す地図では、緯線が直線で平行になる図法を選ぶことが多い。これに該当する図法を、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 心射図法
(2) ボンヌ図法
(3) 正積方位図法
(4) ミラー図法
(問15) 正解は(4) 正答率 39.2%
当然ながら、気候は緯度の影響を強く受けます。
このため、世界の気候を表す地図では、世界の各地域の緯度の比較が容易に行えるよう、緯線が直線で平行になる図法を選ぶことが多いのです。選択肢のうち、これに当てはまるのはミラー図法だけです。
参考資料−−−学校地図帳各種
問16 海図では、航程線(等角航路)が図上で直線となる図法が主として採用されている。これに該当する図法を、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 正射図法
(2) モルワイデ図法
(3) サンソン図法
(4) メルカトル図法
(問16) 正解は(4) 正答率 62.3%
航程線(等角航路)は、一定の角で相次ぐ子午線を切る線であり、船が進路を一定に保つときの航路の線となります。メルカトル図法では航程線が直線で表されます。
参考資料−−−日本国際地図学会編『地図学用語辞典 増補改訂版』(技報堂出版/1998/6,600円)
[5] 地図の表現法について、次の問17〜問20に答えよ。
問17 次の図は、ニューヨーク市が作成した犯罪(住宅への押し込み強盗)マップである。地図上で茶色が濃くなるほど発生頻度が高いことを示しているが、発生地点が点ではなくぼかしのように表現されている。この理由として最も適当なものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 犯罪データが不正確だから
(2) 印刷上の制約から
(3) プライバシーへの配慮から
(4) 発生位置が不明確だから
(問17) 正解は(3) 正答率 77.7%
この地図のように、街路の1本1本がわかるほど縮尺が大きくなると、被害にあった家屋を特定しやすくなります。このため、プライバシーに配慮した表現が必要になります。
問18 都道府県別の階級区分図(コロプレスマップ)として表現することが適当でないものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 老齢人口の割合
(2) 人口密度
(3) 1人当たりの国民所得
(4) 人口
(問18) 正解は(3)、(4) 正答率 (3)が41.0%、(4)が33.0%、合わせて 74.0%
本問には正解が二つあるという出題ミスがありました。採点は両者とも正解としました。間違いがあったことをおわびします。
コロプレスマップは、統計区(行政区など)を基礎にして得た統計値を階級区分(段階区分などともいう)し、色の濃淡等によって表現した地図です。このとき、統計値の大小の判断に統計区の面積の大小が影響を及ぼさないよう、人口のような絶対量ではなく、人口密度などの比率を用いるのが常です。たとえば、兵庫県とほぼ等しい人口を持つ北海道を、兵庫県と同じ階級(つまり同じ色)で表現すると、面積では9.3倍にもなるので、北海道の人口の方が兵庫県の人口より相当大きいように認識されてしまうおそれがあります。したがって、(4)は正解。
国民所得は、我が国全体での値であり、都道府県別に比較しても意味がないので、(3)も正解です。
参考資料−−−日本国際地図学会編『地図学用語辞典 増補改訂版』(技報堂出版/1998/6,600円)
問19 土地の起伏を立体的に表現する方法の一つに、地表面に陰影を与える「ぼかし」の技法がある。このときの光は、地図を見る方向に対し、通常、どの方向から与えられるかを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 左上方から
(2) 右上方から
(3) 左下方から
(4) 右下方から
(問19) 正解は(1) 正答率 52.4%
「ぼかし」は、地形を立体的に見せるためによく使われる手法ですが、照明方向によって効果が異なり、場合によっては、凹凸が逆転するように見える場合もあるので注意が必要です。一般には、読者に対して、光を向こう側、左上方から当てたときのように表現すると正しい起伏観がえられます。我が国の20万分1地勢図をはじめ、他の国の地図でも多くがこのような照明方向を採用しています。
問20 我が国の地理的事象を表現する場合、等値線図(段彩図を含む)として表現することが適当でないものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 桜の開花予想日
(2) 土地の起伏
(3) 植生
(4) 降水量
(問20) 正解は(3) 正答率 47.3%
等値線図は、数値が地域的にゆるやかに変化しているような地理的事象を表現するのに適した手法です。数値は、気温や土地の起伏を表す標高のようにどこにでも存在するものでもよいし、広義には、人口密度のように統計区をもとに計算で求めたものも使われます(このような地図を等充線図と呼ぶことがあります)。しかし、植生のような質的性質を表現することは適当ではありません。
[6] 国土地理院発行の地形図について、次の問21〜問24に答えよ。
問21 次の(1)〜(4)は、1万分1地形図の図名である。このうちから、京都府にはない1万分1地形図の図名を、一つ選べ。
(1) 太秦 (2) ギ園(偏は示、旁は氏) (3) 東山 (4) 桂
(問21) 正解は(2) 正答率 39.9%
京都府を含む1万分1地形図には「岩倉」、「京都御所」、「東山」、「伏見」、「太秦」、「桂」、「長岡京」、「大津」がありますが、「●園(ぎおん)(●の偏は示、旁は氏)」という図名の図葉はありません。
「●園」は、広島市安佐北区、安佐南区、東区のそれぞれ一部を含む1万分1地形図の図名です。この図葉には、「●園町」、「●園一丁目」〜「●園八丁目」、「下●園駅」、「●園新道」などがみられ、ここから図名が選ばれました。
参考資料−−−日本地図センター『国土地理院発行 地図一覧図』(毎年発行/地図販売店にあります。日本地図センターのホームページ http://www.jmc.or.jp/ でも見られます)、日本地図センター『国土地理院発行地図の地図索引図(マップインデックス)』(日本地図センター/2003/2,100円)
問22 平成15年11月から「平成14年2万5千分1地形図図式」による地形図の発行が始まった。この図式で新たに設けられたのは何の記号か。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 図書館と博物館・美術館
(2) コンビニエンスストアとガソリンスタンド
(3) 銀行と百貨店
(4) ハローワーク(公共職業安定所)と社会保険事務所
(問22) 正解は(1) 正答率 66.3%
それまでの昭和61年2万5千分1地形図図式にかわる平成14年2万5千分1地形図図式では、二つの記号が付け加えられました。ひとつが「博物館」であり、博物館法による登録博物館及び博物館相当施設をいい、国又は独立行政法人が設置する施設を含むものとなっています。実際の地形図の記号欄には「 博物館・美術館」と記されています。もうひとつが「
図書館」であり、図書館法による公立図書館をいい、分館には適用しないとなっています。
新図式で記号の形が変化したものとして「 温泉・鉱泉」があります。新しい記号では、湯気に相当する3本の縦線がそれまでの直線からS字状にゆらいだ形へと変りました。
参考資料−−−国土地理院『平成14年2万5千分1地形図図式』(日本測量協会/2003/2,800円)
問23 2万5千分1地形図で用いられている記号のうち、「」は、何を表す記号か。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) すべての学校 (2) 小・中学校 (3) 高等学校 (4) 大学
(問23) 正解は(2) 正答率 73.3%
学校の記号は、新図式でも従来のものと基本的に同じです。「」は小学校と中学校を、「
」は高等学校を表す記号です。大学、短期大学及び専門学校は、名称を注記することが困難な場合には、小・中学校の記号にそれぞれ(大)、(短大)及び(専)の文字記号を添えて表示することになっています。
参考資料−−−日本地図センター『地形図図式画報(第3版)』(日本地図センター/1996/1,500円)、
問24 地形図の用紙には、三角点の記号をかたどった透かしが入っている。これについて述べた文として正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 地形図の用紙は、独立行政法人国立印刷局(旧大蔵省印刷局)で作られているので、お札と同じように、透かしが入っている。
(2) 地形図を偽造する事件がしばしば発生しているので、それを防ぐために、透かしが入っている。
(3) 地形図用の特別な用紙であることを示すために、透かしが入っている。
(4) 「陸測の5万」と呼ばれた戦前から、透かしが入っている。
(問24) 正解は(3) 正答率 46.9%
地形図の用紙に透かしが入れられるようになったのは、1955年度からのことです。地形図には大蔵省印刷局製造の地図用紙を使用した時期もありましたが、1965年度以降は民間の製紙会社が製造した特注の地図用紙を使用しています。現実には地形図を丸ごと偽造する事件は発生しておらず、透かしは、伸縮が少なく劣化しにくく折り曲げに強いといった特別の用紙であることを示す機能をはたしています。
戦前の陸地測量部の5万分1地形図などの販売図には「大日本帝国陸地測量部」の文字とマークが刻印されていました。
参考資料−−−国土地理院監修『測量・地図百年史』(日本測量協会/1970/6,000円)
[7] 次の国土地理院の2万5千分1地形図を見て、下の問25〜問28に答えよ。
問25 Aの近くの丸で囲んだの部分の説明として最も適当なものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 河川が伏流し、水無川になっていることが明瞭である。
(2) 天井川になっていることがよくわかる。
(3) 河川の工事が進行中であることが明瞭である。
(4) 右岸と左岸の堤防の高さに大きな差があることがよくわかる。
(問25) 正解は(2) 正答率 95.2%
(1)誤。常時水流のある2条河川の記号で示されています。
(2)正。南北方向の道路が百瀬川の堤防の裾をトンネルでくぐっており、天井川になっていることが分かります。扇状地を流れる百瀬川の右岸堤防(道路になっている)の南側の等高線の走り方からも全体に天井川になっていることが分かります。
(3)誤。工事中であることを示す道路の破線部や荒地の記号の表示がありません。
(4)誤。両岸の堤防上に標高、比高の表示がなく、高さに大きな差があるとは認められません。
なお、[7] で使用した地形図は、2万5千分1地形図「海津」(岐阜16号−3)(平成11年部分修正)です。
参考資料−−−日本地図センター『地形図の手引き(四訂版)』(日本地図センター/2003/1,260円)、日本地図センター『楽しい地図入門』(日本地図センター/2001/1,050円)、籠瀬良明『地図読解入門(2000年増補版)』(古今書院/2000/2,400円)
問26 Bの付近の説明として最も適当なものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 扇状地の区分では扇頂と呼ばれ、扇状地の中で一番面積が広い地域である。
(2) 扇状地の区分では扇央と呼ばれ、宅地開発が進んでいる。
(3) 扇状地の区分では扇端と呼ばれ、針葉樹林や果樹園が広がっている。
(4) 等高線などから土砂崩れが多いことがわかる。
(問26) 正解は(2) 正答率 51.3%
(1)誤。扇頂は、扇の要にあたる部分であり、扇状地の中では一番面積の狭い部分です。
(2)正。位置的には扇頂と扇端に挟まれた中央部・扇央にあたります。道路の形から宅地開発が進んでいることが分かります。ただし、家屋はまだ少ししかありません。
(3)誤。扇端は新保や大沼などの集落がある部分にあたります。
(4)誤。等高線の込み具合から、また、がけ(土)の記号がないことから、土砂崩れが多いとは認められません。
問27 Cの付近の水田の面積が図上で8㎠ だったとすると、実際の面積はいくらになるか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 0.5㎢ (2) 1㎢ (3) 2㎢ (4) 3㎢
(問27) 正解は(1) 正答率 64.8%
2万5千分1の縮尺なら、図上1cmは実際の250mにあたると覚えておくと便利です。計算法はいくつかありますが、問題の8㎠を4p×2pの長方形であると考え、4pなら実際は1q、2pなら同じく0.5qになるので、1q×0.5q=0.5㎢ と考えると簡単にできます。
問28 矢印で示したD地点とE地点の標高の差について述べた文として最も適当なものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) D地点のほうがE地点より、約30m低い。
(2) D地点のほうがE地点より、約60m低い。
(3) D地点のほうがE地点より、約30m高い。
(4) D地点のほうがE地点より、約60m高い。
(問28) 正解は(3) 正答率 78.4%
2万5千分1の地形図では、等高線(主曲線)の間隔は10mです。このことを知っていれば簡単ですが、知らなくても、近くの三角点の標高や等高線数値から、D地点をかこむ等高線の標高は330m、E地点をかこむ等高線の標高は300mであることを読み取ることができます。したがって、正解は(3)。
[8] それぞれの図を見て、次の問29〜問32に答えよ。
問29 次の図は、同じ場所の新旧の国土地理院の5万分1地形図を並べたものである。新旧の地図に見られる地域の変貌について述べた下の文(1)〜(4)のうちから、適当でないものを一つ選べ。
昭和45年(1970)修正 平成12年(2000)修正
(1) 全体に宅地化が進行した。
(2) 自然のままの地形は、ほとんど存在しないようになった。
(3) 鉄道や大きな道路沿いに工場が新しく立地した。
(4) 複線鉄道とモノレールが引かれた。
(問29) 正解は(3) 正答率 64.8%
使用した地形図は、5万分1地形図「八王子」(東京7号)です。多摩ニュータウンの一部にあたります。30年間に、全体に宅地化が進行し、自然のままの地形がほとんど存在しないようになったことが容易に読み取れます。複線鉄道()とモノレール(注記あり)が引かれたことも読み取れます。しかし、新しい方の地図の範囲内には工場の記号が一つもないため、工場が新しく立地したかどうかを地図から読み取ることはできません。工場の記号「
」と発電所・変電所「
」の記号とを間違わないよう注意が必要です。
問30 次の図A〜Dは、地中海にある四つの有名な島をならべたものである。すべて縮尺はほぼ同じで、上が北である。このうちシチリア島はどれかを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
A B C D
(1) A (2) B (3) C (4) D
(問30) 正解は(1) 正答率 64.5%
Bはキプロス島、Cはサルデーニャ島、Dはクレタ島です。
問31 次の図は、現地時間の正午頃に撮影された、ニュージーランドのある都市の空中写真(航空写真)である。この写真の向きとして正しいものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 上が北 (2) 右が北 (3) 下が北 (4) 左が北
(問31) 正解は(1) 正答率 60.4%
ニュージーランドは南回帰線より南に位置しているので太陽は一年中北の方にあります。この空中写真が撮影されたのは現地時間の正午頃であることから、太陽はほぼ真北にあることになります。建物の影は紙面のほぼ真下の方向に伸びています。したがって、写真の向きは、上が北ということになります。
参考資料−−−日本地図センター『空中写真の知識(改訂版)』(日本地図センター/2000/1,300円)
問32 次の図は、人工衛星によるリモートセンシング画像である。場所は、アメリカ西部。大多数の円の直径は、約800m。この円形パターンの判読結果として最も適当なものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 下水処理場
(2) ミサイル基地
(3) 露天掘り鉱山
(4) センターピボットで灌漑した農地
(問32) 正解は(4) 正答率 82.8%
センターピボットは、動力で散水アームを回転させ農作
物を育てる灌漑システムです。農地は上から見るとコンパ
スで描いたような円形になります。画像の色は光の反射特
性に応じて処理されており、この場合、赤い円は生育が進
んだ小麦畑、薄青の円は種まき前後の小麦畑です(冬小麦
と春小麦の違い)。
[9] いろいろな主題図について、次の問33〜問36に答えよ。
問33 火山、地震、洪水などの災害に備えるための地図を言い表したものとして正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) メンタルマップ
(2) ハザードマップ
(3) ナビゲーションマップ
(4) デジタルマップ
(問33) 正解は(2) 正答率 94.9%
ハザードマップは英語のhazard map からきたものです。ちなみに、2004年10月8日に発表された国立国語研究所「外来語」委員会の第3回「外来語」言い換え提案では、ハザードマップを「災害予測地図」、「防災地図」としています。定着するかどうか注目されます。
メンタルマップは心象地図とも呼ばれ、たとえば、しばしば利用する施設は大きくまた近く感じ、まれにしか利用しない施設は小さくまた遠く感じるというような、心にうつる映像を表現した地図のことです。
ナビゲーションマップは、陸海空の航行・移動に関する地図に広く使われますが、情報処理の分野では、インターネットなどでの操作や思考の流れを示すダイアグラムという意味でも使われることがあります。同じように意味を比喩的に拡張して使う例として、パレスチナ和平の「ロードマップ」をあげることができます。道路地図のように、道筋をたどっていけば目的とするところに到達することができるからでしょう。
デジタルマップは数値地図などとも呼ばれます。
参考資料−−−日本国際地図学会編『地図学用語辞典 増補改訂版』(技報堂出版/1998/6,600円)
問34 地形分類図の内容と災害の状況が見事に一致したことから、ある新聞が1面で「地図は悪夢を知っていた」と報道した。これは、どの災害についての報道か。該当するものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 1923年の関東大震災時の東京の建物の倒壊
(2) 1959年の伊勢湾台風による名古屋周辺の浸水
(3) 1960年のチリ地震津波による三陸沿岸の浸水
(4) 1995年の阪神・淡路大震災時の高速道路の倒壊
(問34) 正解は(2) 正答率 44.3%
総理府資源調査会水害地形小委員会の大矢雅彦氏が作成した濃尾平野水害地形分類図が出版されて4年後、1959年の9月、伊勢湾台風により名古屋周辺で大きな水害が発生しました。1959年10月11日付け中部日本新聞中日サンデー版は、「地図は悪夢を知っていた」という見出しで第1面にこの地図と被災状況を重ねて示し、「・・・この地図を見る人はそれがそのままこんどの被災状況にピッタリと一致することに驚かれるだろう。この地図は悲しい悪夢を知っていた。・・・」と報じました。
問35 主題図の中で統計値を扱う方法について述べた文として適当でないものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 家畜の頭数や米の収穫量などの分布を、点の密度で表現するのがドットマップである。
(2) 地域を方眼に区切り、それぞれの方眼ごとに情報を表示するのがメッシュマップである。
(3) 人や物資などの移動の経路と量を、線とその太さで表現するのが流線図である。
(4) 国や都道府県などの位置を、人口や所得などの数値に合わせて並べ替えるのがカルトグラムである。
(問35) 正解は(4) 正答率 67.0%
統計値を扱うときカルトグラムでは、相対的位置関係を大きくくずさない範囲で形状を変形し、事象を大胆に抽象化して表現します。我が国の人口分布を都道府県別に表現する場合、都道府県の形をその人口に比例する大きさの四角形に変形し、本来の位置に準拠しながら配置するのがその例です。
参考資料−−−日本国際地図学会編『地図学用語辞典 増補改訂版』(技報堂出版/1998/6,600円)
問36 地質調査所から5万分の1地質図幅などの地質図業務を引き継いだ地質調査総合センターは、どの機関に属するか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 文部科学省
(2) 資源エネルギー庁
(3) 独立行政法人産業技術総合研究所
(4) 社団法人東京地学協会
(問36) 正解は(3) 正答率 38.1%
かつて工業技術院地質調査所が行っていた地質図幅の調査・発行業務は、行政改革により、独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターが引き継ぎました。
[10] GIS(地理情報システム)について、次の問37〜問40に答えよ。
問37 次の図は、フリーソフトウェア「カシミール」を使って作成したものである。この地図の黒い部分は、富士山に関する何を表したものか。正しいものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 富士山頂が見えるところ
(2) 富士山の噴出した火山灰が到達したところ
(3) 富士山が噴火した際に被害が及ぶと予想されるところ
(4) 富士山に関する地名が存在する自治体
(問37) 正解は(1) 正答率 63.7%
国土地理院発行の「数値地図250mメッシュ(標高)」のデータから「カシミール」を使って作成した富士山の「可視マップ」です。紙面の都合により問題に取り上げた地図はその一部であり、これ以外にも富士山頂の見えるところは南から西側にまだ存在します。
問38 次の二つの図は、GIS(地理情報システム)を用いて地図データを処理したものである。左の図は、国土地理院発行の数値地図2500(空間データ基盤)と空中写真(航空写真)とを重ね合わせたものである。右の図は、数値地図2500(空間データ基盤)と何とを重ね合わせたものか。該当するものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 地形図 (2) 土地利用図 (3) 地質図 (4) 人工衛星画像
(問38) 正解は(2) 正答率 93.0%
(1)誤。等高線などの地形図にみられる情報がありません。
(2)正。機能から見た土地利用は、道路を境にこのようなパターンをなすことが多い。
(3)誤。地質がこのように道路を挟んで細かくモザイク状に変ることはありません。
(4)誤。地表の分光特性や熱の特性が道路を挟んでこのようなパターンで急変することはありません。
問39 地方自治体がGIS(地理情報システム)を導入している理由を述べた文として適当でないものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) いろいろな部署が別々に行ってきた地理情報の作成・管理を統合し、効率化することができる。
(2) 必要な地理情報を指定すれば、公共施設の配置計画などの意思決定をコンピュータにまかせることができる。
(3) 地図、台帳、統計書など別々の形式で保存されてきた地理情報をコンピュータで一括管理することができる。
(4) 必要な地図の作成が容易になるので、都市計画などについての住民説明や合意形成に役立つ。
(問39) 正解は(2) 正答率 81.7%
GISは、地方自治体・住民が意思決定するために必要な情報を、あるいは意思決定のたすけとなる情報を、処理したり表現したりするために導入するのであって、意思決定そのものをコンピュータにまかせるためではありません。
問40 GIS(地理情報システム)で用いられるラスタデータについての説明として適当でないものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) ラスタデータで作られた画像は、拡大していくとぎざぎざが現れる。
(2) ラスタデータは、写真などの画像を表すのに適している。
(3) ラスタデータは、ネットワーク解析を行うには扱いにくい。
(4) ラスタデータからベクタデータには変換できるが、逆は不可能である。
(問40) 正解は(4) 正答率 43.6%
ラスタデータとベクタデータは、たとえば、紙地図をラスタ・スキャンしてからベクタデータを作成したり、ベクタデータからラスタ形式のプリンタで出力したりというように、互いに変換が可能です。ただし、再変換により元とまったく同じデータにもどるとは限らないので注意が必要です。
参考資料−−−地理情報システム学会編『地理情報科学事典』(朝倉書店/2004/16,000円)
[11] 地名について、次の問41〜問44に答えよ。
問41 国土地理院では、山の名称をどのようにして地形図に表示しているか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 国連地名標準化会議に提出し、その認証を受けたものを表示している。
(2) 国土地理院、海上保安庁海洋情報部、日本学術会議地理学研究連絡委員会の3者が組織する自然地名協議会で決定したものを表示している。
(3) 国土地理院が調査を行い、また、地元に調査を依頼し、原則として、現在用いられている公称を表示している。
(4) 社団法人日本山岳会と社団法人日本山岳協会が組織する山名協議会で決定したものを表示している。
(問41) 正解は(3) 正答率 65.6%
平成14年2万5千分1地形図図式では、第70(注記の原則)の(2)で、「固有名の注記は、現在、用いられている公称とし、公称をもたないもの、もしくは、公称がほとんど使用されない場合は、最も良く知られている通称とする。」と決めています。1万分1地形図図式および5万分1地形図図式でも同じように決めています。なお、山の名称はここでいう固有名にあたります。公称の調査には、地元自治体が作成した「地名調書」などが使われます。
問42 近年、世界地図に、外国地名を現地発音に合わせて表記することが増えている。次の都市名(1)〜(4)のうちから、現地発音とは最も異なるものを、一つ選べ。
(1) フィレンツェ
(2) ムンバイ
(3) マルセイユ
(4) メキシコシティ
(問42) 正解は(4) 正答率 39.9%
メキシコシティは、メキシコの公用語であるスペイン語では「シウダー・デ・メヒコ」というように発音され、このなかでは最も現地発音と異なります。ムンバイは、従来、ボンベイと表記されていたインドの大都市ですが、近年、学校地図帳をはじめ、現地発音にあわせてムンバイと表記されることが多くなっています。
国連の地名標準化会議でエクソニム(その国での呼び方ではない地名)の使用を減らそうという勧告がなされています。
参考資料−−−カドモン著・国土地理院技術資料『地名学−地名の知識、法律、言語−』(日本地図センター/2004/3,465円)
問43 地図を見ていると、物の名前とよく似た地名が見つかることがある。次の食品名(1)〜(4)のうちから、語源が地名でないものを、一つ選べ。
(1) サンドイッチ
(2) ハンバーグ
(3) ウィンナー
(4) シャンパン
(問43) 正解は(1) 正答率 83.2%
サンドイッチは、18世紀のイギリスのサンドイッチ伯爵が作らせたのが始まりだといわれています。サンドイッチという地名は世界中に何か所かあるのですが、この食品の語源ではありません。
ハンバーグ(ステーキ)の語源はドイツのハンブルク。ちなみに、地名の元となった人名のことをエポニム(eponym、たとえばエベレスト山にたいするインド測量局長のエベレスト)、普通名詞の元となった地名のことをエポトポニム(epotoponym、この場合のハンブルク)ということがあります。
ウィンナー(ソーセージ)の語源はオーストリアのウィーン、シャンパンの語源はフランスのシャンパーニュです。
問44 地図における地名の表示の仕方について述べた文として誤っているものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 文字の大きさでその規模や序列を、書体や色でその種類を表すのが原則である。
(2) 面的な広がりを持つ地名は、できるだけ、その広がりの中に表示する。
(3) 緯線がカーブしている地図では、できるだけ、地名をそのカーブの方向に沿わせて表示する。
(4) 地名の向きは上下逆にならないように表示するのが原則だが、伊能図で地名の向きが上下逆になることがあるのは、当時のフランス地形図の例にならったからである。
(問44) 正解は(4) 正答率 48.4%
地名を地図に注記する場合、ひろく行われ慣習となっている方法がいくつかあります。(1)〜(3)がその例です。一方、江戸期までの日本の地図は、四周から眺められるように作られていることが多く、1枚の地図の中で注記の向きが上下逆になることもめずらしくありませんでした。伊能図でもそのような例が見られます。ただ、当時のフランスの地形図では地名の向きが上下逆転しないようになっていましたし、伊能忠敬がフランスの地形図にこれをならったということもありません。
[12] 次の問45〜問50に答えよ。
問45 英語で、通常、地図のことをマップ(map)という。では、地図帳のことをなんというか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) ガゼッティア(gazetteer)
(2) チャート(chart)
(3) アトラス(atlas)
(4) プラン(plan)
(問45) 正解は(3) 正答率 88.6%
(1)誤。ガゼッティアは、地図に関係した意味としては、地名辞典、地名集。
(2)誤。チャートは、同じく、海図、航空図。
(3)正。メルカトル作成の地図帳(1595年出版)の表題が『アトラス、または世界の創造と創造された世界の姿についての宇宙誌学者(コスモグラファー)の考察』とされたことに始まります。
(4)誤。プランは、図面、平面図、縮尺の大きな都市地図。
参考資料−−−織田武雄『古地図の博物誌』(古今書院/1998/4,300円)
問46 複写機で拡大・縮小コピーすること、または、大きさの異なるコンピュータ画面で見ることを想定して地図を作るときには、縮尺の表示法に注意する必要がある。このときの表示法として最も適当なものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) のような物差しによる表示
(2) 1/10,000 のような分数による表示
(3) 「図上1インチが1マイルに当たる」のような文章による表示
(4) 1:50,000 のような比による表示
(問46) 正解は(1) 正答率 76.6%
地図のなかに、(1)のような物差しによる縮尺表示をしておけば、複写機、写真機などで拡大・縮小しても、また、大きさや解像度の異なるコンピュータ画面でみても、地図本体と同じように物差しの大きさも変るので好都合です。(2)〜(4)の表示法では、地図の大きさが変っても縮尺表示の意味するところはそのまま残るので注意が必要になります。
問47 岐阜市の岐阜県図書館にある地図収集・展示施設はどれか。正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 世界分布図センター
(2) 日本地図センター
(3) 地図と測量の科学センター
(4) 国際地図文化センター
(問47) 正解は(1) 正答率 13.2%
岐阜県図書館の世界分布図センターは、国内外の分布図・地図を可能な限り収集し、閲覧、展示するとともに、さまざまな分野の研究材料やコンピュータのデジタルデータとしても活用できるようにしています。同センターは、日本や世界183か国の分布図・地図があり、関連図書を含め全部で約12万点の資料を所蔵しています。
参考資料−−−岐阜県図書館ホームページ
(http://www.library.pref.gifu.jp/library/libra_j.htm)
問48 下の図は、次の文で略述されるある家族4人の生活史を空間的・時間的に示したものである。図の中で「彼」を表す線はどれか。最も適当なものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
「彼の父母は、同じ年に生まれた。母は、北東の方向にある村から、父の村に嫁いで来た。彼とは双子である姉は、結婚して母の実家のある村に移り住んだ。彼は、父母と一緒に父の村で生活した。」
(1) (2)
(3)
(4)
(問48) 正解は(3) 正答率 90.1%
(1)父。時間軸に平行な線は、その間、場所の移動がないことを意味します。
(2)母。父母の生年は同じなので、両者の線の始点は同一時間断面(北軸と東軸とで定義される地理的な平面)上にあります。(2)の実線の始点は、(1)の点線の始点から見て、北東の方向に位置しています。
(3)彼。
(4)姉。北東−南西の移動を示す2本の線のうち、時間的に遅い方にあたります。
問49 地図にちなんだお菓子に「子午せん」がある。これについて説明した文として正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) 本初子午線にちなんでイギリスのグリニッジで作られているクッキー。
(2) 佐原名物のせんべいで、推歩先生・伊能忠敬にちなんだもの。
(3) 北緯40°、東経140°の交点にある大潟村名産の新米で作ったせんべい。
(4) 明石名物のせんべいで、東経135°の子午線にちなんだもの。
(問49) 正解は(4) 正答率 86.4%
明石といえば日本標準時。その明石市本町1−6−1にある(有)人丸というお菓子屋さんが作っている煎餅(せんべい)が「子午せん」です。表面に砂糖で日本列島と子午線が描かれています。「シゴ
センベイ という名前は、日本の標準時を決める東経135°の子午線からとったものです。」という意味の英語の説明文もついた洒落もの。
参考資料−−−『月刊・地図中心』(日本地図センター/2004年4月号/年間購読料4,700円)
問50 次の絵には、壁に掛けられた大きな地図(現在のオランダとベルギー)が描かれている。この絵を描いた17世紀の有名な画家は誰か。正しいものを、下の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。
(1) ファン・ダイク
(2) フェルメール
(3) ルーベンス
(4) レンブラント
(問50) 正解は(2) 正答率 33.7%
フェルメール(1632−1675)は、生涯のほとんどを故郷のデルフト(オランダ)ですごし、室内の風俗画やデルフトの風景画などを描きました。現存する作品は30数点と少ないのですが、好んで作品の中に壁掛地図や地球儀を描きこんだことでも知られています。
ここに取り上げたものは、「絵画芸術」あるいは「画家のアトリエ」と呼ばれる作品です。背後の壁面の大部分を占める壁掛地図のタイトルは「低地ゲルマニア17州新訂精図・・・」と判読され、西を上にして、ネーデルラント17州(オランダとベルギー)が描かれています。この地図が描きこまれた意味についての研究もなされています。ウィーン美術史美術館所蔵。
この絵は、2004年4月から10月まで東京都美術館と神戸市立博物館で開かれた「栄光のオランダ・フランドル絵画展」で展示されました。絵画展のポスターにも使われたので、新聞、雑誌、テレビ、電車の中つり広告などで見られた方も多いでしょう。
参考資料−−−織田武雄『古地図の博物誌』(古今書院/1998/4,300円)