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警告
この作品には 〔残酷描写〕
〔15歳未満の方の閲覧にふさわしくない表現〕が含まれています。
15歳未満の方はすぐに移動してください。
苦手な方はご注意ください。
合わせ鏡
作者:黒うさぎ
合わせ鏡
鏡を4枚とローソクを1本準備してください。
真上から見ると一辺の長さが15cm程度の正方形になるように
東西南北の位置に鏡を立てて置いてください。

部屋の電気を消して夜の12時46分から1時13分までの27分間の間に
鏡でつくった正方形の真ん中にローソクを立てて火をつけて下さい。
あわせ鏡の中にとても怖いものが映るそうです。

試してみた人がいたらしいのですが、
ショックで口がきけなくなってしまい未だに鏡に何が映ったのかわかりません。
よほど怖かったのか入院中に自分の両目をえぐり出し、
最期に『見なければよかった』と言って死んでいったそうです。

留守番
今から20年ほど前。俺が小6の頃だったか。
父親が海上保安庁に勤めてて、舞鶴に単身赴任してる間は島根県に住んでいた。
(現在は両親も俺もそこに住んでいない)
そんな事情だったから、家には俺と母、そして妹だけで住んでいた。

学校が平日の午後から休校になったため(理由は忘れた)、俺は家でゴロゴロしていた。
同じ学校に通っていた妹は、友達の家に遊びに行っていない。
母は晩飯の買い物に行って留守。つまり家には俺1人という状況だった。

最初の内は「俺の天下!」とばかりに菓子とかジュースを飲み食いしたり
普段は見れない時間帯のテレビを見たりして満喫していたが、次第に飽きてきた。
(ワイドショーや時代劇の再放送ばかりで面白くなかったからだ)
で、寝そべりながら漫画(当時の週刊少年漫画に連載されてた、
少しエッチなファンタジー漫画)を読んで母が帰ってくるのを待つ事にしたんだ。

その時、電話がかかってきた。

一度は出るのが面倒だったので無視した。10回ほどコールして電話は切れた。
そしたら間を置かず再び電話。無視しても、今度はコールし続けてくる。

うるさいので出る事にした。
「もしもし? ○○ですけど。いまお母さんは留守で」
最後まで言い終わらないうちに、電話口の向こうで男の人が喋り始める。

早口ではあったけど、ハキハキした口調で声は聞き取りやすかった。
でも最初は何を言ってるのか理解できなかった。
なんか1人芝居のようなことを電話口でやってるのだ。ただ、ところどころで
聞きなれた単語が耳に飛び込んでくる。

「ダムド」「まじんけん」「アンセム」「よーこさん」「ダークシュナイダー」……
そして、段々と男の人が喋ってる内容が理解できてきた。というよりも、
ついさっきまで、その内容が頭の中にあったからだ。

電話に出るまで読んでた「バスタード」という漫画を朗読してたんだ。
しかも、ちょうど俺が読んでた部分を。

俺がそれに気付いて動揺したのを電話口で悟ったのか、朗読が止まった。
そして妙に湿ったような声で
「小学生なのに、こんなエッチな漫画を読んだらダメだねぇ?」
「早く続きが読みたいのかなぁ?」
「だったらお仕置きしないといけないなぁ?」
みたいな事を話しかけてきた。

ブワッと鳥肌が立って、そこで初めて「怖さ」を感じた。
受話器を叩きつけて電話を切り、部屋を見渡した。窓に誰かが覗いてる人影はない。
詳しい間取りや家周辺の説明は省くが、俺が寝転がって漫画を読んでた位置は
窓から覗いても死角になるような場所だったんだ。

俺は心底震え上がって、慌ててトイレに駆け込んで鍵をかけた。
そのあと母が帰ってくるまで何度も何度も電話が鳴ったが、もちろん出なかった。
母が帰ってくると、俺はトイレから飛び出し泣きながら事情を説明した。
信じてはもらえなかったが、同級生の何人かにも似たような事があったらしい。

そんな訳で20年経った今でも電話はトラウマ。
携帯電話すら持てないでいる。

煙草の自販機
一年くらい前に、仕事が終わった後、煙草を切らしていたもんで、煙草の自販機を探していたんだよ。
もう夜中の2時でさ、クタクタなのに中々見つからなかった。
我慢すりゃあいいんだけど、仕事のことでイライラしていたし、眠いのもあってどうしても吸いたくてさw

車でキョロキョロしながら探してると、100mくらい先に自販機を発見した。
田舎道で真っ暗なんだけど、その自販機だけボーッと光っている感じ。
車から降りて自販機を見るとちゃんと販売してる。
(外置きの自販機って夜中、販売規制してるよね?)

早速財布の中から300円出して、自販機に投入。ボタンを押したんだよ。
そうしたら、煙草の落ちる音がしたあと、自販機の電光表示に『ありがとうございました』って出た。
心の中で、どういたしましてって冗談で思った途端、自販機の電気が「パシッ!」って切れた。
うわ!なんだよ!ってびっくりしたよ。

だって灯りはその自販機しかないし、周りは何もない畑道だ。
危ねー。金呑まれなくてよかった・・と、煙草を取るためにしゃがもうとしたら、
自販機がいきなり再起動した。
蛍光灯がついて、なんか電光表示に起動メッセージが出た。

まあ、接触不良かななんて思いながら、電光表示をもう一度見てると、
そこには『あえああえあああああ』と表示されてた・・・
流石に怖くなって、慌てて煙草を取ろうと手を突っ込んだら、

今度は「グニッ」と柔らかい感触が!
慌てて手を引いて走り車に乗り込み、もう一度自販機を見たら、
煙草の取り出し口の蓋がガタガタ揺れていた。

急いで逃げたね。
もう煙草とか言ってる場合じゃなかった。
本当に死ぬかと思った。

翌日、その道を通ったら、道端に花が供えられているだけで自販機はなかった。

後日談。

その一週間後、会社に早朝出社したら、机の上に、
その自販機で買ったはずの、濡れてシワシワになった煙草(マル○ロ○イトメンソール)が置いてあった。

最初は驚いたけど、ひょっとしたらさ、何か俺に伝えたかったのかな・・なんて思ったら、
切なくなって花を供えに行った。

一緒に行った彼女は、
「きっと・・同じ煙草吸っていたんだよ。だからお話したかったんじゃないかな。○○と・・」
と言っていたが・・・

ごめんな。
俺はもうちょっとこっちにいたいんだ。
彼女との結婚も決まったし。
またそっちにいったら一服しながら語ろうぜ。
って手を合わせてきた。

『享年28歳 2006年1月』
そんな文字が目の前で滲んだ。

パーキングエリア
怖い話かどうか判りませんがどうか聞いてやってください、
私の知人のAくんの話ですが。
ある夏の日の事だったそうです。Aくんが同じ会社でつきあい始めたばかりの
彼女のB子さんと休みの前の日に1泊2日で海に行くことになったそうです。

当日、仕事が終わり、家に一旦帰って、AくんがB子さんを車で家に迎えに行き、
朝まで海に着くように夜中にB子さんの家を出発したそうです。
東名高速に入り、途中眠気を覚ますためパーキングエリアに入ったときのことです。

コーヒーを買おうとAさんが助手席で寝入っているB子さんを残して、車を降りて
自動販売機の前にやってきた時、近くに停めてあった赤い軽自動車から若い
ショートヘアの割とかわいい女性が降りてきたそうです。

そのとき周りには、人がいない状況で、Aくんは特に気にも留めていなかった
そうですが、その女性が自動販売機の所に向かってくるので、缶コーヒーを
飲みながら横目で視界に入る程度に見ていたそうです、そのうちその女性が
10メートル程近くにきたときに、なぜか突如バレリーナのようにクルクルと回り始めたそうです。

横目で見ていたAくんもさすがにおかしいと思いその女性のほうを見てみると!!!!!
Aくんは背筋からゾォー!と冷たいものが体中に電気のように走ったそうです。
女性が回って後ろを向いたとき同じ顔が後ろ向きの状態でも正面を向いたそうです。

つまり・・・・顔が2つ・・・・
女性は回りながら少しずつAさんに近づいてきます・・・・・・

「ああーっ!!やめて!とめて!やめて!とめて!やめて!とめて!やめて!とめて!」!!!

恐怖のあまり、Aくんはそのままコーヒーをこぼし、おズボンを汚し失神してしまったそうです。

今でもトラウマになっているそうです。

マネキンの警告
けっこう前に、
「山奥に家族構成っぽく置かれたマネキンが傷つけられてた」って
カキコミがあったと思うけど、それと似たような体験をした。

うちは田舎だから、シーズンになるとよく裏山にキノコ取りに行く。
小学生の頃は、よく採れる場所をじいちゃんに教えてもらいながら
2人で行ってたけど、中学生になると1人で行ったり、友達と行ったりしてた。

その日は日曜日だったから、友達と2人で行ったんだ。
最初は順調にいろいろ採って、そろそろ帰ろうかとしてた時、
友達がいきなり叫んで、その場にへたりこんだ。
その時は、木の枝で足を切ることがよくあるから、それかと思ったけど、
友達は上を見てる。だからも俺もつられて上を見た。
そこには首吊り死体。それも2体。

本当に驚いた時は声も出せない。
俺は後ずさって何も出来ないままパニックになってたんだが、
しばらく見てる内に、死体はホンモノではなくマネキンだと気づいた。

イタズラにしてはタチが悪いだろ!と毒づきながら友達と下山して、
うちで親父に説明し、脚立と手斧、枝切りハサミを持って
3人でマネキンを片付けに行った。

親父が脚立に上り、俺と友達は脚立を支えた。
親父は手際良くマネキンの首のロープを切って下に落とし、
こんなものはさっさと捨てようと、3人でうちの納屋に運んだんだ。

でも、そのままだとまた誤解を受けるだろうからって、
なるべく人型ってことが分からないようにバラバラに砕いてから
捨てようということになって、マネキンが着てた粗末な服を剥いだんだ。

そうしたら、マネキンの腹に赤ペンキで大きく書いてあった。
「このマネキンを下ろした人間は死ぬ」。

それを見て、その場にいた全員が凍りついた。
でも親父がもう一体の、女物のワンピースを着せられたマネキンの服を剥いだら、
やっぱりその腹にも書いてあった。
「このマネキンを下ろした人間の、最も愛する者が死ぬ」。

親父は、凍り付いてる俺と友達を宥めながら
「ジュースでも買ってこい」と言って納屋から出し、
その間、そのマネキン2体をバラバラに砕いて捨てた。

それ以来、俺と友達と親父の間ではそのことはタブーになっている。
口に出すのも嫌だからここに書くけど、
「最も愛する者が死ぬ」と書かれたことが一番辛い。

絶対に近寄るな ※閲覧注意・気配に注意
俺が高校生2年になった時、同じクラスにYという男がいた。
俺とYは気が会う友達でよくつるんでいたが、突然、夏辺りを境に、Yは俺から距離を置くようになった。
話しかけても適当にはぐらかされるし、グループ分けの時にも、俺を避けるようにしやがる。
別に俺もYも、クラス内でも地位が低いとかは無かったので、
何が原因かなとは思ったが、別に男の尻を追いかける趣味は無いので放っておいた。

その頃から、俺は体調不良でよく学校を休むようになった。
あまり長期に休むとクラスの連中に忘れられてしまうので、それでも精一杯出席した。
夏休みが始まって、俺はやっと気楽に休養できるようになった。

しかし体調が悪化して、俺は生まれて初めて入院するハメになった。
原因は不明。症状は心臓の鼓動数が一定では無い、肩が妙に凝る、視界が暗くなる、など。
一時は脳や心臓に障害があるのかと、検査を受けまくったが結果は出ず、

結局俺は、10月の半ばまで病院生活を強制された。
家族の事情(主に入院費だが)で自宅療養に切り替え、
俺の強い要望で学校に戻れた時はすでに秋だった。

夏服を学ランに衣替えして、俺が久々に学校に行ったら、皆驚いた顔して迎えてくれた。
しかし一番驚いていたのはYで、喜ぶというより不審なモノを見るような顔だった。

俺はそれを機にどんどん健康を取り戻し、病院の診断でも異常無しを頂いた。
その年の暮れも迫り、冬休み前。
学校からの帰り道、クラスから出る途中、Yに一緒に帰ろうと言われた。
久々の健康のありがたみにハイテンションが続いていた俺は、
快く承諾し、久しぶりに話しながら下校した。

近くの駄菓子屋で買い食いして、どこかでジュースを飲みながらダベろうか、という話になった時、
Yは近くの神社の境内で休もう、と言い出した。
俺は別に変とは思わずに、それに従った。

俺達が人気の無い神社の、賽銭箱横の石段に座った途端、Yがいきなり無言になった。
「どうした?」
「ん・・・・スマン、今まで」
「はぁ?」
「ほら・・・お前の事シカトしとったやろ、俺」
「あぁ・・・別にいいけど」
「あれな、理由あってん」
「どんな?」
「別に、嘘なら嘘と思ってくれてええねんけど・・・」
「言うてみーや」
「夏前からな、お前の後ろの変な女がおってん。幽霊、や」
「はぁ?(小馬鹿にした笑い)」
「ま、一応全部聞いてや」
Yがポツリポツリと話しだした内容に、俺は圧倒された。

時期的には夏の前あたり、Yは登校してきた俺を見て愕然となった。
俺の後ろに、まるで白黒写真から抜け出てきたような女が、ピッタリと張り付いていたらしい。
柄の無い喪服のような白と黒の着物姿に、髪の長い奇妙な女。

時々髪の間から覗く顔つきはものスゴイものがあり、
火傷のせいであろう奇形な顔に、釣り目どころか逆立ったような目が見えた。
その女が顔を吸血鬼みたく俺の首に近づけて、何か煙みたいなのを吐きかけていた、と。
体育の時間にも授業中にも、その女は、まるで俺の後ろにいるのが当然のようにそこに居て、
クラスの皆はまるで気づいていない、勿論、俺自身さえも。

毎日その女を連れてくる俺に、Yは次第に距離を置くようになった。
Yは自分の家族に、その事を相談したらしい。

すると、
「絶対に近寄るな!その女にも!そのクラスメイトにも!」
と今までの最大級の説教を受けたらしく、理由すら教えてくれない。

しばらくして、俺は学校を休みがちになった。
Yは一応その事も親に報告したらしい。
「もしかして、アイツ死ぬの?」
「知らん。ウチらには関係ないやろ」
「あの女って幽霊なん?オトンも見えるん?」
「多分、見えるやろ」
「除霊とかってあるやん?それやれば」
「アホゥ!無理や!死ぬで!下手したらウチの一族郎党死ぬで!」

Yの父親が言うには、その女は自分の色さえも忘れるほどの怨念を持った霊であり、
下手に手を出せば殺されるだろうが、気づかない振りをしていればまだ大丈夫だ。
そのクラスメートにも知らせるな。そんな女が居るかも、とすら思わせるな。
そのクラスメートが不登校にならなんだら、お前を欠席させるところやったわい、と。
Yはその意見に従い、俺の様子を窺いながらも、俺を半分死んだ人間として扱っていたらしい。

そして秋、学校に戻ってきた俺の後ろには、その女がいなくなっていた、と。

話が終わると同時に、俺はビビり隠しにYに文句をつけまくった。
「嘘言うな、仲直りしたいなら、別に嘘なんぞつかんでええやろ。
そんな女が居たんなら、なんで俺は今生きてんねん」
Yは黙って腰を上げると、そのまま俺を置いて帰っていった。
Yとはそのぎこちない関係のまま高校3年になり、クラスも変わった。

そして今、俺は大学生。あの時の話は信じていない。
だが、やはり首筋がスースーする時に、後ろを振り向くのは躊躇してしまう。
もしYの話が本当なら、俺はその女のような霊がいるかも、という認識をすでに持ってしまっているから。

この女の話を読んだおまいらも、どうなるかは知らん。
ただ、部屋の中にいるのに首筋がゾクッとしたり、妙な空気の流れを首の肌あたりで感じる時には、
後ろを向く時に注意したほうが良いかも知れん。

俺は対処法は知らんし、責任も持たないけど。

居候の叔父さん
叔父さんに殺されかけた時の話。

小学生の頃、家に叔父さんが居候してた。
叔父さんは工場の仕事をクビになり、家賃も払えなくなってアパートを追い出され、
やることもなく、毎日俺んちでゴロゴロしていた。

収入もなく、毎日安酒を飲んで寝てるだけの叔父さんだったけど、
甥っ子の俺のことは可愛がってくれ、時々アイス買ってくれたり
釣りやクワガタ採りに連れてってくれたりして俺はこの叔父さんのことを好きだった。

叔父さんが居候しだして半年が過ぎた頃、
ある土曜日の雨の深夜、親父と伯父さんが階下で言い争いをしてる声が聞こえた。
かなり激しい怒鳴りあいだったので、聞いてたラジオを消し息を殺して聞いていると
バタンとドアが閉まる音がして叔父さんがドカドカと階段を上がってきた。

げっ、俺の部屋にくんの?とビビってると隣の仏間の障子がピシャっと閉まる音がした。
俺はそっと布団に潜り込み暫くドキドキしてたがいつの間にか寝入ってしまった。

翌日の日曜、俺の両親は店へ行き、家には俺と叔父さんの2人きりになった。
俺は昨日のことは知らないふりで、日曜の昼のテレビを見ながら母ちゃんが
用意してくれてた唐揚げで昼飯を食っていた。

叔父さんが、仏間から出てくる音がして、階段を下りる音が続いた。
俺はちょっと緊張しながら「おじさん、おはよ~」と言うと叔父さんも
「おう、なんや、美味そうやな」と一緒にご飯を食べだした。
「ツトム(仮名)、飯食ったら釣り行くか?」と誘われたので
俺も子供心に叔父さんを慰めてやろうと「うん」と同意した。

釣竿を2本持ち、仕掛けの詰まった箱をバケツに入れて、俺と叔父さんはいつも
釣りに行く近所の滝つぼへ向かった。

滝つぼは前日の雨で水位が増し、コーヒー牛乳色の濁流が厚い渦を巻いていた。
「あんまり連れそうやないね」と俺が言うと叔父さんも
「どうやろか、ちょっとやってみようか」と応えた。
「こう言う時の方が帰って釣れるもんやけん。ウナギとか釣れるとぞ」
と言い、叔父さんは滝壺の方まで進んだ。
俺はこんな奥やら行かんでいいのにな~と思いながらも、言葉すくなにに早足で
進む叔父さんの後をついて行った。

「ここでいいか」叔父さんは滝壺手前の高い大岩の前で止まった。
「ツトム、この上から釣ろうか。ちょっと上ってみ」と俺を持ち上げた。
俺が脇を抱えられ岩の上に這い上がると、「どうや?水の具合は。釣れそうか?」
と叔父さんが聞いてきた。

俺は濁流が渦巻く水面を覗き込み、「魚やらいっちょん見えんよ」と魚影を探した。
暫く水面を見てた俺は、叔父さんの返事の無いことに気付き
「伯父さん?」と振り返った。
岩ノ下にいたはずの叔父さんは、俺の直ぐ背後に立ち、俺を突き落とそうとするような
格好で両手を自分の胸の前に上げていた。

振り向きざまに叔父さんの姿を見た俺は固まった。
叔父さんは無表情で力の無い目をしていた。
せみの鳴き声をバックに時が止まった。

俺は何も言えずに叔父さんの目をただ見つめ返すことしか出来なかった。
汗が頬を伝い、身動きの出来ない体の中でただ心臓の鼓動だけが高鳴った。
伯父さんも手を下ろそうとせずにただ無気力な目で俺を見つめていた。

どれくらい見詰め合っただろう。
不意に叔父さんの背後の藪ががさがさとなった。
両者ともはっと我に返り、藪に目をやった。
見るとこちらに気付く様子もなく近所の農家のおっさんらしき人が横切って行った。

俺はおじさんのよこを通り過ぎて「今日は釣れそうにないけん俺先帰っとくね」
とだけ言って歩き出した。
滝から少し離れると、俺は弾かれたように全速ダッシュで逃げた。
振り返るとあの目をした叔父さんがすぐ後にいるような気がして俺は前のめりになって全力で走った。

大分走ったころ、自分がボロボロ泣いていることに気付いた。
俺は家に帰らず、両親のいる店へと向かった。
当時定食屋をやってた両親の店で、俺は両親が店を終わるまで過ごした。

伯父はその日帰ってこなかった。
翌日の夜に親父が警察へ届け、数日後に水死体で見付かった。
俺は滝壺であったことを一切語らず、伯父は一人で釣り中の事故で片付いた

俺が持ち帰った仕掛け箱に叔父さんの字で書かれたメモがあった。
それには”ツトムを連れて行く”とだけ書いてあった。

俺の友達から聞いた話。
友達の知り合いで一見、真面目ふうのスポーツマンだが
実際はいろんな女に声を掛けまくってる奴がいた。
その男が珍しく長く続いていた女をふったときのこと
彼女はそのショックでどっか遠くに行ってしまった。

それから数ヶ月したある夜 彼女から「ねえ、帰ってきたのよ。会いたい。」って電話がきた。
それで「今どこにいる?」って言うと山の中だって言う。
不審に思って「どこの山だ」と言っても、来れば分かると言うだけ。

男は彼女の指示通りに行ってみた。すると、山の中にぽつんと電話ボックスがある。
旧いせいか、照明がたまに弱くなっているような電話ボックスで、
男がその電話ボックスに入ると受話器が床に落ちた。
拾ってみると声がする。

受話器を耳に当ててみると、電話の向こうには彼女がいた。
「来てくれたんだね、うれしい」
直後、受話器からはテレビの砂嵐みたいな音が聞こえてきて、
彼女の声もかすれてきて、次第に男か女か分からない声になる。

気味の悪くなった男は電話ボックスから出ようとするが、
どうやっても扉が開かず、電話ボックスに閉じ込められる。

焦っていると、近くの街路灯の下に
白いワンピースを着て突っ立ってる女の姿が見える。
すぐに彼女だ、と分かって男は鳥肌が立った。
女はゆっくりこちらに歩いてくる。
電話ボックスの中なのにヒールの足音が聞こえてくる。

彼女が電話ボックスの手前に来たところで
彼女は血がべっとり付いた包丁を握り
電話ボックスの扉を開けようとする。
男は必死に扉を押さえるが、ついに扉を開けられてしまう。
死人のような肌、無表情な眼

「 私はここで自殺したの。 私と一緒に

そういうと彼女は包丁を振り上げた。
気づくと男は朝もやのなか倒れていた。

身体を調べてみるが、どこも刺された後は無かった。
山の中にいたはずなのに、男がいたのは
見知らぬ場所の電話BOXの中だった。

男はわけがわからず、とりあえず電話BOXを出ようとする。
その時 電話から「やっと一緒になれるね」という彼女の声がした。
振り返ると猛スピードで車が電話ボックスに突っ込んでくるところだった


男は重体となり生死の境をさまよったが、その事故では死ななかったらしい。
とりあえず一命をとりとめ、転院した先で友人にこの体験を話した。
数日後のある晩、病院を抜け出して
それから行方不明だという。
まだ自分で動ける状態じゃないはずなのに。

海水浴

学生時代の夏休みの話。
気づいたら横に流れる強烈なカレント。ていうか、マジ激流。
でも「リップじゃないし、沖には流されないな…」とナメてたら、
流れの先にはお約束のムキ出し岩場。

フルパドルで逃げようとしてもドンドン吸い寄せられて、ついに岩場にドーン!
たいしたセットでもないのに、水の力ってスゴイね。あいつら容赦ない。
体をしたたか叩きつけられること数回。

海パンだったから、全身キズだらけ。
買って2週間のボードもどっか吹っ飛んじゃってたが、
頭の中では生きて帰る事だけを最優先事項に切り替える。

ここから先は、今思い出してもキンタマ縮み上がるんだけど、
そのうち、岩と岩の間に頭がスポッてハマったのよ。しかも海中!
「うんしょーーっ」って外そうとしても外れない。
本気で「親父、オフクロ、先に死んで申し訳ない」って思った。(´Д` )

もう、海中で本気泣き。
半分あきらめかけてたら、スポ~ンって頭が勝手に抜けたんだよね。
さっきはあれだけ引っこ抜こうとしても抜けなかったのに!
波ってのは押したら引くものだから、引く力も強かったわけ。

あとは、岩場に思いっきりツメ立てて必死でよじ登ってなんとか脱出。
浜に戻ったら、寝てた友達ビクーリ。
「今日、8月15日だから呼ばれたんじゃないの?」の一言で凹まされ、
もう、その後は砂浜でショボーン。

しばらく海見てたら、今度は目の前を、
血だらけの小学生がグッタリして親に抱えられて歩いてる。
もうそれ見て、速攻帰ったよ。
家に帰ったら、ばあちゃんが庭のアロエを切って全身に張り付けてくれた。

ダメな時は何をやってもダメ。
ダメになる前に手を打っておかないと、人は簡単に死ねるんだってわかった。

お久しぶり
怖い話というか、不思議ないい話です。

うちの両親は東京で知り合ったんだけど、どっちもたまたまA県A市出身。
学生の頃から東京で暮らしており、仕事関係で知り合い結婚して、そのまま東京在住。

3歳の頃、父、母、8歳上の姉、俺が集った晩飯時。
いきなり俺(名前はM本良K)が、
「ねえお母さん、そこに知らないおじいさんが立ってボクを見て笑ってるよ」って言い出した。
そこには誰もいないので、父も母も姉もさすがにびっくりしたって。
父も母も、「何言ってるの良K(俺の名前)、誰もいないでしょ」と言ったらしいが、
俺は頑に「いるよそこに!笑ってるもん!帽子かぶってるおじいさんいるよ!」って言い張ったとか。
ちょっとして俺は、「あ、おじいさん今いなくなった。手を振ってたよ」と言い、食事に戻った。

すると父がいきなり、「あ!良秀おじさんじゃねえか?」と言いだして、母は「やめてよ!」と怒ったらしい。
ちょっとした後に家の電話が鳴り、父が出ると、
A県A市の親戚から「良秀さんが今亡くなったよ」という知らせ。
全く知らない俺は普通に食事をしているが、父も母もかなり驚いたそうだ。

その良秀さんというのは俺の父の育ての親みたいな人。結婚してるが子供がいなかった。
俺の父の父(祖父)は早くに亡くなり、代わりに祖父の弟である良秀さんが
父の母(祖母)と、父と、父の姉をいろいろ面倒見たという話だった。

自営業を営んでいて、いつも帽子をかぶっていたらしい。
察するところ、きっと作業着だと思う。父はそれでハッと気づいたのではないかと。
良秀さんは俺が生まれたとき、すでにその頃入退院を繰り返していたがわざわざ東京まできて、
父に、「お願いだ。名前に良の字を入れてくれ。俺は子供いねえから、
何か残したいんだ」と懇願し、父も快諾して俺の名前に「良」の1文字が入る事になった。
良秀さんの奥さんも2年後に亡くなり、その後、良秀さんの自宅もなくなってしまった。

※この話は、3歳の事なので俺自身には記憶はない。父と母と姉から聞いた話。

俺の父は、俺が小学5年の冬に病気で亡くなってしまった。
小学6年まで東京にいたが、結局、中学からは両親の実家があるA県A市で暮らす事になった。
母の実家で暮らす事となったが、父の実家(父の姉が住んでいる)の家もけっ2ページ目へ
こう近く、
年に2回は必ず母と姉と3人で顔を出していた。そのときは良秀さんの遺影にもちゃんと挨拶してた。

結局俺は高校卒業後、東京の大学へ行き、サラリーマンをして1人で暮らしていた。
29歳の時にA県にいる母の体調が悪くなり、翌年に母の実家へ戻る事となった。
しかし、戻ったはいいけど、いかんせんやりたい仕事が見つからない。
職安に行っては悩み、結局動かず、みたいな日々を繰り返していた。

そうこうして2ヶ月くらい経ったある日、近くに住む高校時代の友達から電話がきた。
「気分転換にでもちょっとドライブ行くか?」と誘ってくれたので、友達の車で週末に出かけた。
生粋の地元民である友達は俺の知らない地域をいろいろと案内してくれて、かなり遠くまで行った。

夕方くらいに県境付近まで来て、その郷愁感にも影響された俺と友達は帰りたくなくなってきて、
「このまま、この辺で酒飲んで泊まろうか」って話になった。
ホテルを確保して少し付近を歩いてみると、居酒屋を見つけたのでそこへ入った。

最初は、東京での仕事話やA市のいた頃の話なんかをして盛り上がっていたが、
飲むに連れてついつい愚痴っぽくなって、「こっち全然仕事ないよな~、どうしようかな~」と言い出し始め、
それを友達が「いいことあるよ、頑張れよ」的な感じになりグダグダしていた時、
通路を隔ててはす向かいの席にいる老人がなぜか俺をジッと見ていることに気がついた。

東京の話してるから珍しいのかな?なんて思いながら、俺もその老人をちらちら見て目が合っていた。
まあでも、こっちも酔ってきたので気にせず、相変わらず俺は愚痴をこぼしていた。

そのうち友達もかなり酔ってしまい、2人して大声でワイワイと会話していた。友達が、
「M本良K(俺の名前)、しっかりせい!頑張ればなんとかなるで!よし、景気漬けにキャバクラだ~」
なんて言い出して、そろそろここを出るかという矢先に、
はす向かいの老人が「あなた、M本さんっていうの?」と、立ち上がって口を開いた。

間違いなく俺に向かって話しかけている。
俺は「はい、そうですけど」としか答えられなかった。少し良いが覚めた。
老人を背にして座っていた友達は何がなんだかわからないという顔。
老人は「今日はA市から来たの?」と聞いてきて、俺はまた「はいそうです」とだけ答えた。

「何を、耳そばだてて聞いてたんだこの人は」と思って、俺はたぶん訝しい顔をしたはず。
さらに「あなたの親戚で良秀さんって人、おじいさんだと思うけど、知りませんか?」と聞いてきた。
俺はすごい驚いたが、「親戚でいましたけど…」と答えた。

すると老人は、根掘り葉掘り聞き始めてきた。
話すと、意外に感じは悪くなかったので、つい俺もいろいろと丁寧に答えてしまった。
「A市のT町で小さい会社やってたって聞いてないですか?」と聞かれて、
「もうとっくの昔になくなりましたけど、やってたそうですよ」と答えた。

すると老人は突然、「ああ、私ね、良秀さんに世話なったんだよ~、はあ~~信じられない」と涙を浮かべた。
この話に友達が急に身を乗り出して、老人に話しかけた。もちろん俺も聞いてみた。

いろいろ話してみてわかったこと。
この老人(K谷さんという)はその付近に住んでいる人。
良秀さんの経営する小さな会社で5年間働いていたが、都合がありA県A市を離れた。

それからずっと近隣の県で暮らしていた。
身寄りのいなかったK谷さんに良秀さんはすごく優しくしてくれたそうで、
自己都合で退社する際に旅費まで出してくれた、と話していた。
「苦しい時代にあれだけ他人に思いやりをもっていた人はいなかったよ」と。

K谷さんは仕事を引退してからA県に戻ってきて今のところに住んでいた。
ずっと良秀さんに会いたかっけど、会う術を知らなかったとかで、悔やんでいたと。
俺を見たときに「なんだか似てるなあ」と思い出したそうで、だからジッと見ていたらしい。
(ちなみに祖父も父も良秀さんも俺も、みんな顔が似ている)
話を聞いていると俺の名前が出てきて、名前まで似てると。それで声をかけたそうだ。

翌日、K谷さんの家に行く約束をしたので、昼に待ち合わせてからお邪魔した。
K谷さんは、良秀さんからもらった手紙をいまだに保管しており、タンスから出して準備してくれていた。
俺はもちろん良秀さんのことはよくわからないが、とにかく感動した。

俺はA市に戻ってすぐ母にこのことを話し、翌日には電話で父の姉にも話した。
その後、翌週にK谷さんはA市まで1人で何時間か電車に乗って出てきた。
何十年ぶりかに、良秀さんの遺影に向かって「おひさしぶりです」と涙を流していた。
こんなことってあるんだなあ、と本当に不思議だったが、必然以外ありえないよねこれって。

おわり
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