2012年新司法試験の合格者2102人が9月11日に発表された。朝鮮大学校政治経済学部法律学科3期生の金秀香さん(30、神戸朝鮮高級学校出身、関西学院大学法科大学院)と6期生の金星姫さん(27、大阪朝鮮高級学校出身、立命館大学法科大学院)が見事合格した。同学科から6、7人目の弁護士が誕生する。試験の合格率は25.1%だった。
金星姫さん
金星姫さんは、中大阪朝鮮初中級学校(当時)に通っていた初級部6年のときにテレビドラマを見て弁護士を志すようになった。中級部に進学する頃、朝大に法律学科が創設されるというニュースを聞き、「ぜひ朝大法律学科で学びたい」と考えた。
2回目の受験となった今回、金さんは1日12時間勉強したという。同胞のために昼夜働く同胞弁護士の先輩たちの姿を目の当たりにしながら、一日も早く合流したいと考えている。
また、「同胞社会を取り巻く法律的な問題を一つずつ解決し、在日同胞みんなが、朝鮮人として生まれてきたことを誇りに思えるような社会をつくるため、一翼を担えるような弁護士になりたい」と抱負を語った。
金秀香さん
一方、今回が3回目の受験だった金秀香さんは、いかに落ち着いて試験に臨めるかに重点を置いたという。合格の報を聞いたときは、「信じられないほどうれしかった」と振り返る。
朝高時代に自身が通った高砂朝鮮初級学校(当時)が休校。朝鮮学校の助成金問題の現状などを知るようになり、それまで夢見ていた「朝鮮学校教員」の夢を諦め、「学校がなくなるのを食い止めたい」と思い、法律家になるための道を選んだ。
朝大法律学科時代は友人や恩師との出会いにより、「法律家がどうあるべきか」について模索する貴重な時期だったという。
「高砂初級の最後の校長が私のアボジ(父)で、行政側に要請活動を続けていたときの姿が今でも忘れられない。今後、社会の不条理を正し、同胞社会をもっともっとよくしていくために働く、創造的な弁護士になりたい。もちろんウリハッキョ関係の仕事に多く関わりたいと思っている」
朝大研究院に所属している2人は、NPO法人「ウリハッキョ」が2009年度より実施している「在日同胞弁護士育成事業」による奨学金制度を受け、青商会をはじめとする多くの同胞の期待に応えようと、この間勉学に励んでいた。(東)