約300人が死亡した2009年4月のイタリア中部のラクイラ地震に関し、直前に「安全宣言」を出して被害を広げたとして過失致死罪に問われた科学者や政府防災局幹部ら7人に対し、検察当局は25日、禁錮4年を求刑した。
ラクイラ一帯では地震の前から微弱な群発地震が続き、市民の不安を招いていた。国立地球物理学火山学研究所のエンゾ・ボスキ所長らは、地震発生6日前に防災局幹部らとのリスク検討会に出席。検討会の後、政府は事実上の安全宣言を出したが、4月6日未明にマグニチュード6.3の地震が起きた。
検察当局は求刑理由で「検討会が市民に誤った保証を与えたことが、死を招いた」とした。科学者側は「検討会では科学的な知見を伝えただけで、結論を出すような会ではなかった。政府が安全宣言を出すとも聞いていなかった」と責任を否定している。(ローマ=石田博士)