世襲議員同士が争い、最後は、まさに「永田町の論理」で自民党総裁が決まった。
徹頭徹尾、自民党らしい総裁選びだったように思う。
今回の総裁候補の中で、私自身は安倍元首相の演説や言葉が最も軽く、そして危険に感じた。
総理時代、何もできなかった人が、今、「自民党の復活」や「日本の希望」を声高に張り上げてもむなしく響いたし、まして、外交・防衛では、経済リスクを無視した国防論を展開され、まさに昭和の「軍国主義」と「愛国心」の匂いが強烈にした。
地方票を見れば、石破さんが安倍さんの倍の票を取り、地方票の過半数を抑えたわけであり、自民党員・党友の方々も、「自民党の復活」とは「元総理の再登板」ではないということをよくご理解をされておられたのだろうと思うし、私が自民党員でも石破さんに一票を投じたと思う。
これは我が民主党にも言えることだが、地方や現場、そこに暮らす一人ひとりの方々の声や意思をどれだけしっかりと汲み取れるかが政治の原点ではあるが、そもそも地方組織が脆弱な我が民主党とは違い、地方の分厚い組織力を持った自民党であれば、「地方の声」を十分に汲み取られるものだと思っていた。
結果、地方票の大差を、国会議員票で巻き返した形で安倍さんが総裁になったわけだが、この結果は、国民からのみならず、党員・党友からも「脱派閥のウソ」を指摘されるのではなかろうか。
全国の党員・党友の意向さえ反映できない政党が、多種多様な今の国民の意思を汲み取ることができるだろうか。
仮に今後政権の座に返り咲くことがあっても、やはり、今回の総裁選に象徴されるように、国民不在の「権力争い」を繰り広げることになるのは容易に想像できる。
そういう国政の状況にいち早く秋田の自民党県連は反応したようだ。
現時点では詳細不明であるが、地方の意向を無視した永田町の派閥論理に抗議して、県連役員の方々が辞意を表明したそうだ。
まことに正常かつ迅速な、そして勇気ある行動だと敬意を表するし、これが単なる儀式やパフォーマンスではないことを心から期待したい。
自民党の本当の再生を秋田から果たしていただきたい。
自民党にしっかりしていただかないと、民主党も大変困るのだ。