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茨城の最終処分場候補は高萩市
9月27日 12時19分

茨城の最終処分場候補は高萩市

原発事故で出た放射性物質を含む汚泥や焼却灰のうち、茨城県で発生したものを埋め立てる最終処分場の候補地として、環境省は27日、県の北部にある高萩市の国有林を提示しました。
環境省が最終処分場の候補地を示すのは栃木県に続いて2か所目です。

原発事故の影響で広がった、放射性物質に汚染されたごみの焼却灰や汚泥のうち、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超えるものについては、国が「指定廃棄物」として、発生した都県ごとに直接処理することになっています。
環境省は、今月3日、栃木県の廃棄物を埋め立てる最終処分場の候補地として、県内の矢板市の国有林を提示し、ほかの県についても候補地を絞る準備を進めていました。
27日は環境省の横光副大臣が茨城県の橋本知事を訪れ、県の北部にある高萩市上君田の国有林を県内の指定廃棄物の最終処分場の候補地として直接提示したうえで、今後の協力を要請しました。
これに対し、橋本知事は「住民には大きな問題であることも踏まえて地元と話をしていきたい」と答えました。
横光副大臣は、高萩市を選んだ理由として、住宅地から離れ、十分な広さが確保できることや、地形、地質などがしっかりしていることなどを挙げました。
また、横光副大臣は、栃木県矢板市に対しては、突然訪問したため批判が上がったことを受け、今回は、26日に環境省の職員が高萩市を訪問して説明していたことを明らかにしました。
このあと、横光副大臣は高萩市の仮庁舎に移動して草間市長とも会談し、選定の経緯などを説明しましたが、草間市長は「断固、反対を表明する」などと述べました。
処分場を設置する際には、国有地のため自治体や住民の同意は必要ないということですが、地元の理解を得て環境省は、早ければ来年夏ごろから工事を始めたいとしています。
指定廃棄物の処理を巡って、環境省は、栃木県と茨城県のほか、宮城県と千葉県についても今月中に候補地を示す方針でしたが、選定が難航しており、来月以降にずれこむ見通しです。

横光副大臣“誠意を持って説明”

茨城県の橋本知事との会談のあと、環境省の横光副大臣は「高萩市には負担をかける施設となるので、誠意を持って必要性や安全性を説明して理解をいただきたい」と話しました。
今回は事前に環境省の職員が訪問する形で説明したことについては、「批判があったことや、茨城県からも決まったら少しでも早く報告してもらえないかという意見があり、報告のしかたを変えた」と説明しました。
また、ほかの県の状況について、横光副大臣は、宮城県は国土交通省が現在進めている断層についての調査結果を待っていること、千葉県は県との調整がまだ続いていて来月以降に候補地の選定がずれこむ見通しで、群馬県については当初、廃棄物を抱える自治体ごとに処分場を設置する方向で調整を続けていましたが、調整がつかず、改めて国と県が調整を始めたことを明らかにしました。

高萩市民からは戸惑いの声

最終処分場の候補地が高萩市とされたことについて、住民からは戸惑いの声が聞かれました。
市の中心部に住む60代の女性は「山の中に埋めるというが、もし地震でもあって施設が壊れたら、中の焼却灰が周辺に飛び散るのではないかと心配です。地域には小さい子どもも暮らしているので、賛成できません」と話していました。
また、候補地近くの集落に住むという50代の女性は「周囲にどんな影響があるか、心配です。地元の農家は原発事故の風評被害でいまだに出荷できないところもあるし、地元では反対運動が起きると思う」と話していました。
一方で、市の中心部に住む60代の男性は「どこかで引き受けなければならないので、きちんと管理できるのなら高萩で処分するのもやむをえないのではないか」と話していました。

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