横綱昇進で、祝いのタイを手にする日馬富士(右)と伊勢ケ浜親方(神代雅夫撮影)
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日本相撲協会は26日午前、東京・両国国技館で九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)の番付編成会議と臨時理事会を開き、名古屋場所と秋場所で連続全勝優勝した大関日馬富士(28)=本名ダワーニャム・ビャンバドルジ、モンゴル出身、伊勢ケ浜=の横綱昇進を満場一致で決めた。2007年夏場所後に昇進した白鵬以来、5年4カ月ぶりに70人目の横綱が正式に誕生した。日馬富士は大関通過に22場所を要し、昭和以降では4番目に遅い昇進。九州場所では15場所続いた白鵬の一人横綱が解消され、モンゴル出身の両者が東西の最高位に並ぶ。外国出身の横綱は曙、武蔵丸、朝青龍、白鵬に続いて5人目。
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第70代横綱は緊張の面持ちで使者を迎え、力強く口上を述べた。
「横綱の自覚を持って全身全霊で相撲道に精進します」
大相撲に5年4カ月ぶりの新横綱、日馬富士が誕生した。年6場所制となった1958年以降では7番目の年長となる28歳5カ月での昇進。
口上の「横綱の自覚」はおかみさんの淳子さんの助言だった。信条である「全身全霊」は大関昇進伝達時に使い、そこに「自覚」を加えた。
「大関と横綱では全然違う。自分のことだけでなく、いろんなことを背負った方がいいと思って伝えた」と淳子さん。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も30歳0カ月で昇進した遅咲き。自らの経験を踏まえ弟子に横綱としての心得“5カ条”を訓示した。
日馬富士は背筋をピンと伸ばし神妙な顔で耳を傾け、2人の姿に淳子さんは涙を流した。そしてこの日のために取っておいた高級ワインの「ロマネ・コンティ」を開け、祝杯を挙げた。
「私は私なので、自分らしくいたい。いい運命の流れでいろんな人に支えてもらって今がある。(力士の)皆さんの見本になれるように、ファンの皆さんに感動と勇気を与え、もっと相撲を好きになってもらえば。それがボクの役目」
品格、品位が問題視されている日馬富士。しかし師匠から授けられた5カ条を「全身全霊」で守っていけば必ず立派な横綱として角界を引っ張っていける。 (竹尾和久)
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