証言3・11:東日本大震災 福島の藤沼ダム決壊 揺れの直後、鉄砲水

毎日新聞 2011年06月28日 東京朝刊

 ◇7人死亡、1人不明 復旧手つかず、大雨警戒

決壊した藤沼ダム。150万トン近い水が写真の左から右に流れ出た=福島県須賀川市で2011年4月21日、蓬田撮影
決壊した藤沼ダム。150万トン近い水が写真の左から右に流れ出た=福島県須賀川市で2011年4月21日、蓬田撮影

 東日本大震災で、福島県須賀川市の農業用ダム「藤沼ダム」(高さ約18メートル、長さ約133メートル)が決壊し、簀ノ子(すのこ)川沿岸を襲った鉄砲水は、7人の命を奪い、今も1人が行方不明だ。家屋は、19棟が全壊、流失し、床上、床下浸水は55棟。東北地方も梅雨入りしたが、壊れたダムの堤や川の護岸の復旧は手つかずのままだ。大雨で再び被害を受けないか、不安を感じている住民もいる。【蓬田正志】

 ■木をなぎ倒し

 ダムから北東へ約1キロの同川沿いにある同市滝、高校2年、鈴木憧(しょう)さん(16)は大地震発生時、中学2年の弟、航(わたる)さん(13)と自宅居間にいた。

 テレビで緊急地震速報が流れた途端に揺れ出し、棚から食器が落ち、危険を感じて一度は外に出た。揺れが収まり、室内の片づけをしていた時だった。

 「バリバリ」。落雷のような音がした。再び外に出ると、ダム近くのスギ林から土ぼこりが上がり、濁流が木をなぎ倒しながら向かってきた。

 「逃げろ」。2人は約30〜40メートルの坂を上ったが、玄関の戸が開いていたため憧さんは自宅に戻った。濁った水は自宅まで押し寄せた。くるぶしまでつかり、戸を閉めてまた坂を駆けた。自宅を振り返ると、1階の窓を割って泥水が流れ込んでいくのが見えた。憧さんは「地震から鉄砲水が来るまで5分程度だった。家にいたら危なかった」と話す。

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